墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

整形と成形

2005-07-15 21:03:07 | 駄目
 パン屋のやる成形と、整形手術の整形はまったく違う。
 わかっている人には当たり前の話しだが、すがたかたちがグダグダしているパン生地に形を与えるのが成形。まとまってない容姿を整えるのが整形。整形と成形は同じ読みだが、正体と整体なみに全く違う作業だ。
 でも、たまに「正体」の看板を出している整体院がある。
 体を整えるんでなくて、体を正しくする?たぶん、宗教がらみのマッサージ屋だ。手かざしで抜かれる。近寄らない方がいいかもしれない。
 
 ところで、俺はクセにならないなら自信があるなら整形した方がいいんじゃないのと思う人をたまに街で見かける事がある。
 若くてきれいなのに、くちびるの上に鼻くそみたいな黒いイボをつけてる女性などを見かけるとそう思う。
 でも、そのイボを取っちまったら、もう二度と「そのイボも含めて君が好きだよ」と言ってくれる人には巡り会えないであろう。


退社というが別に逃げるわけではない

2005-07-15 19:54:34 | まち歩き
 家に帰る為、中央線に乗る。夕方の五時すぎの各駅停車。

 席は空いていたが、窮屈そうなので敬遠する。
 すいている車内の中程まで進み、手すりにつかまりながら、ぼんやりと家に帰ってからの事を考える。今夜は熱帯夜になりそうだ。今日は久しぶりに太陽が照り、暑い一日だった。ビールがきっとうまいだろう。
 考えるのにも飽きたので、車内吊り広告にひととおり目をとおしてみる。各停なのでまだ立川駅には着かない。ヒマだから車内の人間観察でもしてみるか。

 俺の目の前は7人がけのシート。
 シートにはビッチリ人が座っている。
 右から。
 脇腹を出して足を開き、髪をたらして眠りこける若い女。
 背筋をのばして顔だけうつむいて目を閉じて寝ている老女。
 大股開きで鼻の穴をご開帳しながら眠る中年サラリーマン。
 最後の動きのままでカクンと固まったまま眠りに落ちたと思われる幼い男の子。
 男の子を見守る母と思われる中年女性。
 白いスーツの若い女性。何故だか不安そうで浅くシートに腰掛けイライラとしている。
 こじんまりと座り込み、うなだれた上半身のみを左右にユラユラ揺らしている女の子。

 コレが目の前のシートに座っている計7人。
 なんだか、ほぼみんな寝ている。
 さて。どいつを俺の観察眼の餌食としようか?
 普通なら、若い女性に食指が動くところだが、特に右はじの女性のむきだしな脇腹とかな!
 ところが今日はどうしても幼い男の子に目がいってしまう。目が放せない。
 この子、可愛い。
 赤いほっぺたに整った目鼻立ち。歳は二三才であろうか。
 お母さんがしてくれたのだろう、タオル地のお手拭きをよだれかけにしている。
 寝かたのポーズも可愛らしくまとまっている。
 どのくらい可愛いのか?飢えた中年男が若い女性のむきだしの脇腹観察より、その子の可愛らしさを見守り続ける事を選択したのだ。そんくらい可愛いのだ。
 はしゃぎ疲れたのか、死んだように眠っている。いや、むしろ死んでんでないの!可愛いポーズのまま、お人形のようにピクリとも動かない。もし、死んでいるんだとすると幼いのにご愁傷様なことであるが、死んでるはずはないだろう。ぜひ生きていてくれと切に願う。

 車内に国立駅で停車する事を知らせるアナウンスが流れる。子供の母親がいきなり、大股開いて寝ている中年サラーリマンの腕をムンズとつかむ。
 あっ。痴女だ!
 と思ったら違った。旦那であったらしい。旦那を乱暴に起こした母は、今度は子供の肩をやんわりとゆすり優しく起こす。
 
 モジモジと子供は起動しだす。あっやっぱり生きてた。あー良かった。
 体と頭をイヤイヤと左右にゆすり、可愛らしい手で目をこする。
 あぁ!可愛らしい。もし、ご両親がくれると言ったら、もらって帰りたいほどに可愛いらしい。でも、エサ代とか大変だろうな。やっぱ俺に子供の養育は無理。


出勤したとたん

2005-07-15 19:09:26 | 駄目
 俺はパン屋のバイトをしている。
 電車を降り、朝の商店街をパン屋に向けて歩く。昨日はなんかぼんやりと考え事をしながら仕事を流してしまった。金もらって働いてる以上、こんな事ではいけないよな。今日からは仕事に集中して働かないと。

 そう思いながら。
 決意も新たに出勤したとたん店長に怒鳴られた。

「バネつけてないじゃないか!」

 あっ!
 モロダーのバネを元に戻しとくの忘れた!
 モロダーとは、パン生地をローラーでのばす機械。帰るときの最後の仕事でモロダーの掃除をする。その時に、ローラーと刃の間も掃除したんだが、掃除のあと刃を固定しているバネを戻し忘れちまったのだ。
 やっちまった。
 刃のないローラーは、パン生地を巻き付けボロボロに粉砕した上に、機械の内部に生地の残骸をベタベタこびりつけさせている。

「だいたい、ココは毎日掃除しろとは言ってないだろ?」

 ローラーと刃の間を指差し店長は俺を怒鳴りつける。

「すいません」

「すいませんじゃすまないよ!勝手な事をやられたおかげで、生地も時間も無駄にしちまったじゃないか!」

 パン屋の朝は、大変に忙しい。その貴重な時間にモロダーの分解掃除をしなくてはならなくなったんだから、怒られるのは当然だ。
 せっかく、さいきん物忘れ系のうっかりミスをしないですんできたのに。やっぱり、ボンヤリ仕事をしていると、どこかでとんでもない失敗をしてしまう。
 もっと、しっかり集中して仕事しないと。

 作業着に着替えて、工場に下り、さらに新たにしっかりやらねばと決意を固めなおして作業を開始したとたんに、店長からまた怒鳴られた。

「内山クン!!」

「ハイッ!」

 出勤したとたんに怒られたばかりなので、今度は何を怒られるのだろうかと、非常にビクビクドキドキする。俺はさっきのアレ以外にどんな怒られるような事をしでかしてしまったんだろう。

「口くさい!」

「え?」

「口が臭いよ!いったいナニ食べてきたの?」

「今朝はなにも。昨日の夜はギョーザと野菜炒めです」

「ギョーザ?とにかく、ニンニク臭いよ!はっきり言ってこの臭さは犯罪だよ。いや、冗談じゃなくってさぁー」

 店長がマスクを出してくれたので、今日は一日、マスクをして作業した。
 店長に聞かれる。

「マスクしてると自分で自分が臭いでしょ?」

「はい、そうですね」

 店長は朝の一件を忘れて、少し楽しそうだ。

「でも、マスクしててもまだ臭うよ」

 俺には発言権だけでなく、息を吐く権利すらないらしい。
 でも、吸うばかりだと肺がパンクするので、鼻からコッソリ息を抜く。 


今朝

2005-07-15 06:10:18 | 携帯から
今朝は晴れかな。 薄雲が空をおおうが、空は明るい。 風はなく、やや蒸す。今日は暑くなるんだろうか。

中央線の車内に朝日が差し込んできた。目前の人々の顔に陰影がつく。 車窓から見える街にも朝日はふりそそぐ。街も陰影を持ち、久しぶりに立体感を取り戻す。