大学生の僕が掃除のバイトをしている病院では、不思議なウワサが水面下で流れている。
余命いくばくもない病人の前に、黒い服装に身を包んだ御仁が現れ
「一つだけ」願いを叶えてくれるらいしってな話だ。
ある日僕は、ひょんな事から一人の老婆の願いを聞いてしまった。
その後この病院には、例のウワサに尾ひれが付いた。
「一つだけ願いを叶えてくれる人は、どうやら掃除夫の恰好をしているらしい」っと…。
さて、ホンモノの請負人は誰なのか? それをする目的は…?
本田氏は1971年生まれだと言うから、この話を書いた時は31歳か…若いな。
でも、この人の若さは侮れない(笑)
多分人は、突然「死」と対峙すべき環境に直面しない限り
30代では、ここまで「死」について考えられないだろうっと思う。
最近ようやっとこの歳になって、「死」について色々考えるようになった私でも
「ほ~~」っと唸る場面が、この作品には多々あった。
「死」がテーマになっている以上、重い空気が流れて当然なのだが
若さゆえの「サッパリ」とした文脈が、レース越しに風を受けているような…
そんな柔らかさがこの作品には漂っている。それに、根底に優しさがあるのもエエな。
ホンモノの死が目の前にぶら下がっている「巨匠」と呼ばれる年代の人達が
「死」をテーマに書いた作品よりも、水が濁っていない分、スーっと体に染み込んだ(笑)
しかしあれだの、ナゼに歳を取ると作家ってのは文章に粘りが出過ぎるのかねぇ~
書きたいことが沢山ありすぎて、それを整理する頭脳がおっつかないのかね。
ま、それはともかく(笑)
この作品の続き「WILL」が出ているそうな。前作から7年経っている。
7年経って彼の「死」に対する考えに、どんな変化が見られるだろうか?
ちょっと楽しみな作品である。
「MOMENT」、良い作品に出会えて幸せであった。
「このミステリーがすごい!2000年版」のベスト10に入ったそうな。
短編集なので実に読みやすいが…これ、ミステリーかぁ~?と読了後に思った(笑)
「眠りの海」は、なんか文章が硬いな~っと思ったら、デビュー作だった。
小説推理新人賞を受賞した作品。ほらね、やっぱりミステリーじゃなかった(ハハハ)
最近はあれかね? 少し分類に困ると何でもミステリーに入るものなのかね。
「蝉の証」でのセリフ。
一年に一度でいい。一分でも一秒だっていい。自分が死んだあと、
生きていた日の自分を生きている誰かに思い出してほしいと願うのは、
そんなに贅沢なことなのかい? 死んだ途端に、はい終わりじゃ、
だって、あんまりにも寂しいじゃないか。
主人公の祖母が言ったセリフだが…好きと嫌いにハッキリ分かれるセリフだな。
私はバー様の孫の中で一番下っぱである。
バー様がこの世を去ったのは、私が22歳の頃だから…私が80歳で死んだとして
バー様没後58年は、私の思い出の中で彼女は生きている。
私自身は子どもを持っていないので、姪や甥の思い出の中に薄く残る可能性もある
それが嬉しいもんだろうか。
生前ウチのバー様は別なことを言っていた。
「いずれみんな死ぬんだべさ。
でも、アンタの中に私しゃ居る。アンタの子どもの中にも私しゃ居るのさ。
そう考えたら人間み~んな繋がっておる。なんも寂しいことなんぞないさ。
バーちゃんが死んだら、絶対に幽霊になって出てやっから。
楽しみだべさ。色々二人で実験するべ。
ほしたらバーちゃん、あの世さ行って楽しく暮らすから
バーちゃんのことなんぞ忘れて、お前も楽しく暮らせ~」
彼女が亡くなる少し前に、実に可愛らしい程度にボケたもんで
孫との約束を忘れて、一気にあの世とやらへ行っちまった(笑)
怖いけど…幽霊になって出てくるのを待っておったんだがの~
思い出して欲しいと願う前に、
思い出さずには居られないほど一生懸命に生きるべきだと、私は思う。
それほど、私のバー様はインパクトがあった(アハハハハ)
この短編集は確かに面白い。どの作品も読んでソンのない作品ばかりだと思う。
ただ、でも、読後の感覚が冷え切ってしまう
それはどの短編の登場人物たちも、冷えているからじゃないかと感じた
自分が関わり、目の前に問題があるのに、まるで第三者のように覚めた目で見
他人事のように遠くから眺めているような…そんな登場人物たちの冷めた態度が
今時を感じさせてナゼか虚しい
誰一人として、一生懸命じゃないのだ。
だから上のようなセリフが出てくるのかもしれん。
ストーリーに古臭さを感じるわりには、昔の作品のような熱さがないので
違和感を感じてしもうた(笑)
もう、一生懸命ってなのは古いのかね~~。
確かにゴルフの全英オープンでリポーターをしたアノ方ほど熱いと…うっとおしいけどの
(アハハハハハハ)
でも、暑い夏には、もってこいの作品かもしれん
心がヒュ~っと冷えたからの~(ハハハハハハ)
ポチっとで、作者のヤル気でるかもです(笑)
←満天書店入り口
難しい・・・。やっぱり考えると怖いので、、。
悔いのないように好きなことして((爆))
一生懸命生きるのだ!! と思っています。。
満天さんの
おばあさま。素敵です!!
幽霊になったおばあさまとお話してみたい。。
私も幽霊になって出てきたいです。
死に対して怖くなる年齢っていうもんがあると思うのだ
私の場合、若い頃は本当に全然怖いと思わなかったし…
自分が何時か死ぬなんてことすら考えられんかっただ~
それが40歳の後半あたりから「人生も半ば過ぎたか」っと思った瞬間怖くなっての
こうやって、歳を取って死と抜きあい
様々な人の死に触れて人は何かを学んで行くのだな~っと思うようになっただ
ウチのバー様は90を超えていたからか…
ヒョウヒョウとしておった(笑)
あんな風になりたいなっと思ってます
自分の体を風が通るような、そんな人でありたいな
人に強要するのではなく、人のために考えられる人。
まだまだ修行は続きそうです~(アハハハハ)
50歳後半という自分の年齢と連れ合いを亡くしたということで考えざるを得ません。
以前TVで、一人暮らしの女性が
「死ぬ時は自分がこの世にいたことを全て消す位に何も残さず逝きたい」
と言っていたのでびっくりしました。
その時は若かったからその方の考えが良く分からなかったけれど今はまあ、分かることは分かります。
自分がそう思うかというのとはちょっと違うけれど。
子供のいない私。
代わりに世の中に名を残して死にたいとは思わないが、友人・知人の記憶には長く残っていたいよね。
ワシ…実は…
トミーどんが以前に言っていた「夫婦お茶漬け茶碗」をプレゼントしたくって
セッセと作っておっただよ
ところが丁度出来上がって送ろうとしていた時
ご主人の訃報を聞いての~。
だから私の心の中にも、トミーどんのご主人は生きておるんよ
何ヶ月もご主人が健康になりますようにと願いを込めて作っておったでの
どこで人の縁というものが出来るか解らんの
まるで会ったこともないのに、ブログとかでウワサを聞いているだけで
とても身近な存在に感じておっただ
それと同時にトミーどんのブログから色々と学ばさせて頂いておるだ
どんなところで私の記憶が残るか解らんが
死に対して考える事もしつつ
精一杯生きることに全力投球していれば、きっといつか、私らしい答えが出るんじゃないかと
そう思っているだ~(笑)