『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

物語が災害時に役立つ!?

2017-10-19 08:51:39 | 自然系
 

『キャンプでやってみる子どもサバイバル』(ベース・ボールマガジン社)
『ブッシュクラフト-大人の野遊びマニュアル:サバイバル技術で楽しむ新しいキャンプスタイル』(誠文堂新光社)


タイトルの答えの前に、まずは今日の二冊はコチラ!著者は同じ、一般社団法人危機管理リーダー教育協会の川口拓さんで、WILD & NATIVEを主催してる方。こちらの二冊は、実践的で、災害時にも役立つおすすめ本です。眺めているだけでも、楽しいのでぜひ一家に一冊

拓さんがまだWILD&NATIVEを始めたばかりの頃、何回かワークショップに参加したことがあります。懐かしいな~。参加のきっかけになったのが、こちらの本↓



文明を拒み『古来の道』に生きた最後のインディアン―“ストーキング・ウルフ”の探求の生涯を描いたもので、彼が孫とその白人の友だち(トム・ブラウンジュニア)にネイティブの教えを伝授した本。なんと実話です

この作者トム・ブラウ・ンジュニアが、アメリカで開いているトラッカースクールに拓さんも通って、日本で開校したというわけ。ネイティブアメリカンの自然観は、日本人が古来持っていた自然観と共通するものがあるので、他の西洋から輸入したサバイバル術とは一味違うんです。自然は征服すべき敵ではなく、生きるために必要なものを与えてくれる存在なんですね生きる力を育む。そんな生きるための力は、3つに分けられる、と拓さんの本では書かれています。

「受け入れる力」
「感じる力」
「同調する力」


子どもサバイバルのほうも、写真がいっぱいで、大人にもおすすめです!
ナイフは必需品ですが、あとはできるだけ道具に頼らない。テントなしでどう過ごすか、飲み水をどうやって作るか、などなど。だから、本当に災害時に役立つ情報がいっぱい。しかも、ネイテイブアメリカンの教えだから、なんだかワクワクする!大地と共にある感じ。

とはいえ、元々インドア派の私、物語の力を借りなければここまで楽しめなかったかも、と思います。弓キリ式火起こしとか・・・実は一度体験すればいいや、っていうタイプです(あ~、言っちゃった)。頭の中に『グランドファーザー』(絶版・図書館でぜひ)があるから、楽しめた。


動物のこん跡を見つけるトラッキングでは、こんな物語も思い出します↓



『ジャングルの少年』以前の紹介記事はコチラをクリック。足跡をよく観察することで、動物が来た時間まで推測できてしまうんです!山の中で遭難してしまったときとか、危険動物を回避するのいも役立ちますよね。

そして、災害時。このとき、一番ダウンしてしまうのは、精神なんじゃないかなと思うのです。そんなときね、物語の力を借りて、想像力があれば過ごせる気がするのです。妄想力でもいいかな。あのアウシュビッツでも生き残った人たちは、希望を失わなかった人たち。常に想像力を働かせて楽しい状況を考えていたという話も聞きました。こんな映画もあったな↓



本でなくても、映画でも漫画でもいいのかもしれない、そこに物語があれば。いい物語に必ずある‟行きて帰りし物語”は、どんな大冒険や困難をくぐり抜けても、必ず元いたところに戻ってくるんですね。逃避じゃない。力を得て現実に戻る。そういう物語は、困難な状況にあるとき、自分にも力を与えてくれる

災害時に必要なのは、もちろんそれに適した技術や知識。けれど、そこに物語の力がプラスしたら、最強。力が湧いてきて、楽しんでできるような気がしています。災害時に楽しむなんて不謹慎!?いいえ!それが、希望に、生きる力につながるのならば、とても大事なことだと思います