ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

“LA LA LAND” ~予想に反して元気出ず~

2017-02-28 19:57:13 | 映画

昨日のアカデミー賞での作品賞の発表時の混乱ぶりでも話題になった“LA LA LAND"
ダーリンは、日曜日がまるまる休みになった日に
映画を観ることで案外リフレッシュできると感じたらしく
『沈黙 ―サイレンス―』に続き昨日も二人で映画鑑賞へ。
この“LA LA LAND"、『沈黙』の時に予告編を観て、ぴすけが観たいと思った映画だ。
「へ~、どうした風の吹き回し?ミュージカルが観たいだなんて、珍しいじゃない」
「私、ミュージカルを全く観ないわけじゃないんだよ。
 『サウンド=オブ=ミュージック』はこれまでに観た映画の中で3本の指に入るし
 『レ=ミゼラブル』も『ウエストサイド=ストーリー』も観ているよ。
 『エリザベート』は舞台を観たし、大好きな歌舞伎は和製ミュージカルだもん」
「僕はいいかな。突然歌い出したりするの、苦手かも」
「私だって苦手だよ。でもね、なんだか予告編を観たら、元気が出そうな気がしたよ」
そう、ぴすけは元気が出そうという、漠然とした予告編の印象だけで
“LA LA LAND"を観に行ったのだった。
というのも、薬を減量したことによる離脱症状はなくなったものの
崖っぷちを歩くというか、一輪車で平均台に乗っているというか
全てがなんとなく危ういバランスを取りながら、なんとか日々を過ごしている感じで
全然やる気も起きず、元気も出ないし活気もない。
ならば、歌いまくって踊りまくるミュージカルを観たら、元気が出るかな、と思ったのだ。


ところが…、“LA LA LAND"はミュージカルだ。
ミュージカルだが、「歌いまくって踊りまくる」というのとはちょっと違う。
これはわざとそう演じている(演じさせられている)のだと思うが
俳優は歌を朗々と歌わない。
日常の鼻歌、口ずさみの延長のような感じなのだ。
突然歌い出すことは歌い出すのだが、突然感があまりなく、あくまで自然な感じ。
日常の心の機微のなかで、思わず口ずさんでしまった、といった感じなのだ。
ダンスも同様、踊りはするが、踊りまくるほどではない。
ただ、主人公・ミアがオーディションで歌う場面では
オーディションという場を借りてミアに熱唱させている。
そこは、夢を追う人々へのメッセージとともに、効果的な照明もあって心に響いた。
おそらく、映画が好きで、その「好き」というのがのめり込むほどで
往年の数々のミュージカルを繰り返し観てきたような人が観れば
数々の伏線とオマージュに彩られた「たまらない映画」なのかもしれない。
そういう点では、『エヴァンゲリオン』や庵野秀明作品にのめり込み
往年の数々の特撮を観つくしてきた人にとっての『シン・ゴジラ』がそうであるように
ファンのための「たまらない」作品ともいえるだろう。


ぴすけは映画は好きだが、観まくるほどでものめりこむほどでもない。
自分の興味のある題材や俳優の作品だけ、観に行くだけである。
映画に関する知識もなく、漠然と「元気になるかも」と抱いた印象で観た“LA LA LAND"は
予想に反して歌いまくりも踊りまくりもせず、主軸がラブストーリーだったので
ぴすけの場合は元気が出るどころか、「なんだかな~」になってしまったのであった。
いやはや、じつはぴすけ、ラブストーリーは大の苦手なのである。
この作品だけでなく、どうも恋をしている二人への共感性に乏しいというか
どうしてかわからないが、退屈になってしまうのだ。
だが、それはこの映画が退屈な映画だということではない。
全てのピアノシーンにおいて本人が弾いているという、ライアン=ゴズリングの演技や
美しい旋律で、心に残る楽曲も多いし
衣装と映像の色彩感覚の素晴らしさ(というか、雄弁さ)には、とても引き込まれた。
ただ、私と同じく「元気」を求めてこの作品を観ようとしている方がおられたら
「元気」はあまり期待しない方が良いかもしれない。
「元気」の代わりに、いろいろな場面で私が感じたのは「切なさ」だった。 
「切なさ」を感じちゃったら、元気は出ないよね~ 



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