ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

みーちゃんがやってきた

2017-02-26 00:07:49 | 日常

当ブログのコメント欄で少々触れたが、母の体力が低下し始めて1年が経った。
始まりは昨年3月。
2月に父の7回忌を終えた後に、持病の脊柱管狭窄症による腰痛が悪化した。
それまでは、宿泊を伴う旅行や、電車を乗り継いでの日帰り旅行
都内の菩提寺までの墓参り、電車でデパートに買い物に行き
遠方(とは言っても日帰りできる距離)の姉や従姉妹に会いに一人で出かけたり
庭の草花の手入れも出来る範囲で楽しんでいた母だった。
ところが、腰痛が悪化してからというもの
痛みが落ち着いても外出を渋るようになった。
1か月に一度、薬をもらっている病院にも行かなくなり
近所に買い物に出掛けることもなくなった。
私が実家に行っている間、買い物に誘っても
「今日は暑いから」
「今日は寒いから」
「今日は風が強いから」
とにかく理由はなんでもいいのである。
そして最後には
「陽気が良くなれば出掛けたい気持ちが湧くし、そうすれば出掛けるから」
と言うのであった。
この時の母は、腰痛のこともあったが、40歳代前半で急逝した甥のことや
自分が育った実家に住む人がいなくなり、取り壊されることなどを考えたり
今まで出来たことが出来なくなってきている自分へのやるせなさなどで
あれこれと思い悩み、根拠のない心配をし
それによってますます気が滅入る、という悪循環を起こしていたのだと思う。


その間、私も馬鹿と言えば馬鹿なのだが
「気持ちさえ上向けばやれる」と言い張る母の気持ちを無視してどこかに連れ出したり
勝手に民生委員に相談したりすることが憚られ、いつか母の気持ちが上向くことを待って
とうとう昨年末になってしまった。
ところが、ここでダメ押しの神経痛が、12月に母を襲った。
今までの痛みとは違う痛みに驚いた母は、それを怖がってなにもしなくなっていった。
1週間に一度の訪問の時も、冷蔵庫には前週に私が作った物がまだ入っていたり
野菜室には古びた人参と萎びたキャベツだけしかなかったり
おかずも缶詰やレトルト・冷凍食品を多用しており、調理をしなくなっているようだった。
1日おきの電話でも、母の言葉がはっきりせず、何を言っているのかわからないし
少ししゃべるだけですぐにむせるようになったのには考えさせられた。
これは少し強引でも、何かしら手を打たなければまずいことになる。
そう考えていた矢先に、ちょうど民生委員が交代するということで
ちょうど私が実家にいた時に、新任の民生委員が母に挨拶に来た。
まさに渡りに船である。
母の状態を話し、支援を仰ぐことになった。


そして父の命日である2月15日、市から母に要支援1の通知が届いた。
その間、私は1日おきと言わず母に電話をし、少しでも話すことを心掛けた。
それまでは、毎日電話をされてもうっとうしいのではないかと思い
1日おきにしていたのだが、どうやら毎日でも母は嫌ではないようであった。
母はけっこう独り言を言う性質で、全く言葉を発しないというわけではないが
独り言と会話とは全く心構えも質も違うだろう。
ダーリンは母のことをとても心配し、いろいろと調べて探し当てたのがおしゃべり人形だった。
複数の候補の中から、ご縁があって母の所にやってきたのは、おしゃべりみーちゃん
みーちゃんが出来ることは限られているが、うまくいけば会話が続くし
歌も歌ってくれる。
時折みーちゃんは独り言をつぶやく。
その時に返事をすれば、声を出すことになるので、1日中黙っていることもなくなる。
誰に聞かれるわけでもないので、みーちゃんが歌う時に一緒に歌うのもいい。

もともといたムーミンは、返事をしてくれないので
これまでせいぜい「おはよう」とか「おやすみ」程度の声掛けしかしていなかったようだ。
しかし、みーちゃんが実家に来てからというもの
みーちゃんの独り言に返事をしたり、歌を一緒に歌ったり
みーちゃんに話しかけたりしているうちに、母の話し方が劇的に改善したのには驚いた。
最初、母はみーちゃんに
「おばあちゃん」
と呼ばれることに抵抗があったらしく
「えー、おばあちゃんだって
と、不満そうだったが
「4歳の(設定の)みーちゃんにとっては、84歳はまぎれもなくおばあちゃんだよ」
と言うと、渋々納得していたようだ。
みーちゃんが来てから1か月が経ち、最近は
「おばあちゃん」
と呼ばれても、抵抗なく返事をし、一緒に歌を歌っている母だ。
「おばあちゃん、みーちゃんに救ってもらいました。ありがとう」
先日、母がうれしそうにみーちゃんに話しかけていた。
みーちゃん、母の所に来てくれて、ありがとう。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
わたしはミヌ君です💠 (和の宮チカコ)
2017-03-02 15:19:06
びすけさん
こんにちわ☀

母上様の日常が伺えますね
雨降ればシトシト、風吹けばガタガタ
窓硝子に顔寄せて外ばかりみてしまう寂しい日。
幼かった子供は親元を離れ、連れ添いし最愛の人も、今は遠い所へ⭐

あの椅子に座り このソファに座っていたのに
お茶を飲み、時には少しの諍いがあったり 懐かしい日々はもう戻りません。
母上様もわたしと同じ寂しさが
あった事でしょう。
みいちゃんに癒されている母上様が
微笑ましいですね。🎶

わたしのマスコットはぬいぐるみの猫ミヌ君です💠
韓国ドラマ(夏の香り)のヒーローから
命名しました。
お話しはしませんがかわいいです。

ただ小さな来訪者に
尻尾を振り回されて迷惑ニャンと
鳴きます😱

一日口をきかないと
ラリルレロがオカシクなります😱

母上様になるべくお電話してあげてくださいね
でも母上様は娘さんがいるから羨ましい!
わたしは何から何まで、男系家族なんです💧
ヒェーウヒャーの 毎日です

母上様思う温かい記事ありがとう🌹
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ヒェーウヒャーが良いのですよ (ぴすけ)
2017-03-03 22:42:11
和の宮チカコさん、私「ぴ」すけです。
「ぴ」でも「び」でも、あまり変わらないのですが、危険音の「ぴ」の方です。

小さな来訪者に振り回されて、ヒェーウヒャーとなることが、和の宮チカコさんのはつらつとした若さの素なのではないでしょうか。
母は私が実家に行かないと、ほぼ一人です。
生協の宅配のお兄さんと、ヤクルト販売のお姉さんが話し相手で、それだとて皆さん仕事があるわけですから、長話は出来ないわけです。

みーちゃんが来た時、母はみーちゃんと歌っても高音が出ませんでした。
でも、1か月間一緒に歌を歌っているうちに、大きな声で歌えるようになり、高音も出るようになりました。
すごい進歩です。
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