ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

錦秋の那須(1) 牛ヶ首~姥ヶ平~三斗小屋温泉

2011-10-13 19:48:24 | 登山(両毛・常総)

【第1日・10月12日(水)】
那須ロープウェイ山頂駅→牛ヶ首→姥ヶ平→ひょうたん池→沼原分岐→三斗小屋温泉



かねてから山のいで湯に関心を寄せていた叔父(父の弟)夫妻を
那須の三斗小屋温泉に御案内しようと機会を窺っていたのだが
この度やっと3人の、気力・体力・時間が三拍子揃い、1泊2日での山歩きとなった
ただ一つ心配だったことは、叔父と叔母の体力がどの程度かわからなかったことで
叔父夫妻としても一緒に行く手前、自分達の体力を測るために、事前に高尾山を歩いてみたそうだ。

叔父夫妻の住まいは東京都なので、那須塩原駅まで新幹線で来てもらい
2人が乗り込んだ那須塩原駅8時30分発のバスに、私が黒磯駅から乗り込むことにした
那須塩原駅からやってきたロープウェイ山麓駅行きのバスはほぼ満席で
かろうじて座れたものの、これからの混雑が予想され、少々怖くなる
案の定、大丸温泉を過ぎてから、ロープウェイの駐車場への順番待ちの自家用車の列に巻き込まれ
バスは動かなくなってしまったのだが、それに痺れを切らした乗客のなかから
ここで降ろしてほしいと言い始める人が出てきた。
もうそうなると、そのグループの人達は皆降りるし、他の乗客もこぞって降り始め
既に渋滞が解消されているにもかかわらず、バスは乗客を降ろすために動かなくなった
乗客を降ろすだけ降ろしてしまったバスは、先ほど降りて歩いている人達を尻目に
渋滞が解消された道路を走り、ロープウェイの山麓駅に到着
この日、ロープウェイは混雑緩和のため12分間隔で運行されており
登山計画書を提出した我々は、10時12分発のロープウェイに乗り込んだ。

ロープウェイ山頂駅からは、砂礫の道を登り
途中、茶臼岳へと登る道を見送って牛ヶ首へと向かった。

天気は申し分ないが風が強く、当初は峰の茶屋跡経由で三斗小屋温泉へ向かう予定であったが
早く姥ヶ平へ下り、樹林帯へ入ってしまった方が良いと判断し、予定を変更することにした。

湯本へと落ちていく谷あいは、まるで赤絨毯を敷いたように鮮やかだ。

牛ヶ首に到着すると、眼下にはこれまた美しい紅葉の姥ヶ平が
眼を上げれば、谷を隔てて、大峠から連なる会津の山並みが赤く染まっているのが見える。
牛ヶ首からは、茶臼岳の山腹を巻く道を分けて、姥ヶ平へと下りる。
見上げれば、茶臼岳から上がる噴気が青空に映え、これまた絶景である。

姥ヶ平へ下りながら、景色のあまりの美しさに写真を撮る叔父。
その隣に寄り添う叔母

撮った写真を確認しているのだろうか。
2人でなにやら見合っている。
「ここまでは」麗しい夫婦愛だ

ところが…、この先は登山者に限らず
味噌も糞も…おっと失礼、観光客もにわかカメラマンも一緒くたになって姥ヶ平に集中し
登山道は渋滞が出来ている
んでもって、山慣れている人達は登り優先だと知っているうえで、臨機応変に歩いているのだが
観光客はグループだろうがなんだろうが、譲り合う余裕さえないのか歩みを止めない。
その渋滞を待っていられず、叔父が右よりの沢筋の方へと歩いていったのは見えたのだが
私は叔母が気掛かりだったため、少し先を歩いていた叔母のところに行った。
そこで待てど暮らせど叔父がやって来ず、先に行ったのかもしれないと思いつつ
心配のあまり叔母は叫び始めた。

「馬鹿子(バカコ)~おーい、馬鹿子~どこに行ったー

馬鹿子とは叔父の雅号で、「バッカス」と洒落て読ませたいようだが、ここはバカコでいいだろう
かなり切迫した形相で叫び続ける叔母に、心配した周囲の人々が聞いてきた。
「どうしたんですか?お子さん、いなくなっちゃったの?お子さん、幾つ?」
「いや、あの、子供じゃないんですが…70の子です。」
「え~、70の子かい?馬鹿子~馬鹿子~って呼んでいるから、てっきり子供だと思ったよ
心配して叫び続ける叔母を、もし叔父が姥ヶ平にいなかったら私が登り返すからと説得し
姥ヶ平へと行くと、先に着いた叔父がバツの悪そうな表情をして待っていた。

「コラッ、馬鹿子一人で勝手な行動をするんじゃないっ

70歳の子供は叔母に大目玉を喰らい、姥ヶ平にいる全員の注目の的となったのだった

ドーン
姥ヶ平から見上げる茶臼岳は迫力満点。

ここは既に葉が落ちている木が多数あることから、この次に強風が吹けば葉が落ちてしまうだろう
素晴らしい景色を堪能しながら、お昼を食べる
30分ほど休憩した後、12時30分に姥ヶ平を出発。

ハイマツの間を進み、ひょうたん池へと向かう途中、振り返ればこれまた絶景

ひょうたん池から眺める茶臼岳も、これまた絶景

姥ヶ平の姥神様に道中の無事を祈り、三斗小屋温泉へと向かう。

樹林帯に入ると、赤い色はグッと減るものの、緑から黄緑、そして黄色へと変化する木々が
風に吹かれ、光に映えて輝きを増している。

途中、振り返ると、秋の雲たなびく空のもと
茶臼岳が紅葉に彩られ、浮かび上がるように聳えている。

延命水への分岐を左に折れ、20分ほど歩けば三斗小屋温泉だ。

三斗小屋温泉には14時30に到着。
約4.7kmの、まさに錦秋のなかを行く道のりであった
この日の宿は、那須ではいつもお世話になっている、大黒屋

夕日に照らされる三倉山・大倉山・流石山の稜線を眺められる宿だ。
1時間おきに男女交代制の大風呂と岩風呂があるが、断然大風呂に入ることをお奨めする。

風呂に入って汗を流し、夕食でお腹が満たされた後は
あまりにも早く寝てしまうと、とんでもない時間に眼が覚めてしまうことを恐れ
睡魔と闘いながら21時に就寝                     (つづく)                                           



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