ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

伝香寺地蔵会 ~はだか地蔵着せ替え法要~

2017-08-03 08:33:21 | 仏教彫刻探訪

奈良国立博物館見学後、伝香寺の地蔵会を1時間15分後に控えて
ホテルに行くか伝香寺に直行するかで迷った挙句
先にホテルにチェックインすることにしたぴすけ。
実は、なにをまかり間違ったのか、ぴすけはこの日
JR奈良駅4番バス乗り場から18時30分に発車する「夜の奈良公園・平城宮跡めぐり」
という夏限定の季節観光バスに申し込んでおり
発車20分前までにJR奈良駅2階にある定期観光バス案内所で
乗車手続きを済ませなければならなかったのである。
ぴすけを悩ませたのが、乗車手続きが可能な時間帯で
18時30分発のバスだから18時10分までに乗車手続きをすれば良いのだが
案内所の営業時間は8時30分から16時30分までという、腑に落ちないものだった。
その不安もあって、まずは乗車手続きを済ませてからホテルにチェックイン。

乗車記念品は、鹿と平城宮大極殿がデザインされた団扇だった。
ホテルにザックを置き、身軽になって伝香寺へと向かう。


ホテルから伝香寺へは徒歩10分ほど。

表門には、「はだか地蔵尊」の提灯が下がっている。
伝香寺の地蔵菩薩立像は、「裸のお地蔵さん」として知られ
裸形の木像の上に、布製の法衣が着せられている秘仏である。
3月12日の本堂内拝観と、7月23日の地蔵会の時のみ、地蔵菩薩が特別開扉される。
地蔵菩薩衣更会(着せ替え法要)は、興福寺の妙法尼が母の菩提を弔うため
1228年より始められた、と伝わっている。
ぐるりと回って、拝観受付のある北門へ。

エッ
エエーッ
法要20分前に到着したが、並んでいる…。
20分前では遅かったのか?
しかも、列は遅々として進まないばかりか、やっと境内に入れたと思ったら
既に本堂には足の踏み場もないほど大勢の人が上がっており、入り込む余地はないように見えた。
しかし、気後れしているぴすけを尻目に
後から来た人たちが、次から次へと本堂に上がっていく。
ひょえ~
皆さんの、その意気込みたるや、すごいものがあるな
広縁の高さは120cmくらいだが、ぴすけはぎゅう詰めの中に入っていくことはおろか
広縁の際ギリギリに立っている人を見ているだけで、怖くて本堂に上がることができない。
そうこうしているうちに、人の股の間や頭越しに見えていたお地蔵様のお姿も
押し寄せる人波にかき消された

人が左右に揺れる一瞬、お地蔵様のお姿が見えた。
お、お美しい…

16時になり、読経が始まると少しして、お地蔵様の着せ替えが始まったようだった。
ぴすけの位置からは、お地蔵様の様子はまったく窺えなかったが
思わぬことで裏技発見
本堂に上がった人が着せ替えの様子を撮影しているカメラやスマートフォンの画面を通して
かなり詳細に把握することができるではないか
しかも、ご丁寧にアップにしてくれたりもするので、けっこうよく見えるのだ。

お着替え後のお姿がこちら。
橙色の衣も、お似合いですな。

でも、あ、あれ?
襦袢が左前?
ありゃりゃ
これでは法要後に、またお着替えかな。
参列者は順番にお布施を納め、焼香して進むと
お手伝いの男の子が、お札とお守りを手渡してくれる。

そして、この日の主役であるお地蔵様の後ろで、静かに微笑まれていたのが
本堂の本尊であるお釈迦様。
1585年の作で、京都・方広寺の大仏(焼失)のモデルにもなったといわれている。
また、通常は地蔵会の時には扉を閉じておく春日大明神板曼荼羅という板絵が
この日は手違いで開扉されたままで、僧がせっかくなのでご覧下さいと案内していた。
天翔る白狐に乗った神々が、色彩も鮮やかに描かれている曼荼羅だった。


伝香寺は、大和郡山城主であった筒井順慶(1459-1584)の菩提所として建立された。
1228年に春日四所明神の本地仏として造立された地蔵菩薩立像は、客仏である。

1983年、筒井順慶の400年遠諱の際、大和筒井家の子孫によって全国筒井氏同族会が結成され
この御堂と順慶坐像が造立されたそうである。

さて、こちらが法要後にいただいたお守りとお札。
守り袋は境内にある奈良三名椿の一つ、武士椿(もののふつばき)に因んだ柄か。
中には、前年にお地蔵様が着ていた衣が、裁断されて入っているという。
かわいらしい柄と、諸願成就・安楽往生に功徳があるお守りだということで
母に持って行ったところ、お札の「延命地蔵大菩薩」が目に飛び込んできたとみえ
「延命地蔵?延命はいらないわ
と、あっさり受け取り拒否
ぴすけとて、延命はいらないが、受け取り手がいないのであれば大切にするしかあるまい。



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