生命の起源は何かと言う事には非常に興味が有る。地球型生命の明らかな特徴はDNAでコードされた機能性タンパク質で構成されていることにある。これが地球上の全ての生命(RNAウイルスを除く)の共通構造なのだ。
この構造がどのようにして発生したかについて現在の主流の仮説はRNAヌクレオチド鎖が出来そのRNAが直接酵素反応を起こしていた、というRNAワールド仮説が言われている。しかし、実際には機能性RNAが出来うるのは極めて限定的な条件でかつ限定的な機能に限られ、この仮説から実際の生命発生過程を説明するには幾多の困難がある。
これに対して奈良女子大の池原教授の提唱するGADV仮説というのがある。この仮説のミソはGADV(グリシン、アラニン、アスパラギン酸、バリン)の4つのアミノ酸で構成されるタンパク質がランダムにつながったとしても親水性、疎水性比の観点で球状構造を安定的に持ち、酵素機能を発揮しやすいという点にある。
生命の材料であるアミノ酸は無機材料に紫外線照射、放電、過熱等の条件を与えると比較的容易に合成される。また、隕石の中や星間物質からもアミノ酸は検出されている。つまり、材料はある。さてその材料がいかにして機能性を持ちかつ自己複製を行うことが出来るようになったかが生命発生の謎であるが、GADV仮説ではこの4つの限定的なアミノ酸が偶々つながって出来た原初GADVタンパク質の表面の酵素機能でランダムにGADVタンパク質が擬似複製されGADVタンパクワールドが出現したという説です。この説では擬似複製でランダムにタンパク質が出来、それもGADVであれば球状構造を持ち何らかの機能性を持ちうる、と言う点でRNA仮説に対して優位性を持ちえる。
ここで出来上がったGADVタンパクのなかで複製機能の強力なタンパク質がはびこり、その配列がRNAヌクレオチドに逆コードされ遺伝情報として残った。これが生命の発現である。
このような議論を聞いているとワトソン・クリックの二重螺旋の発見から生命の発現の過程説明の距離はあまり遠くないように思える。私が生きている間(後30-40年位か?)に、より理解が進み事態がクリアになれば心置きなく死ねると言うものだ 逆も真で、知るまでは死ねないな
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