徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

イタリア旅行 最後の晩餐

2011年05月24日 | 旅行

しばらくブログをご無沙汰して、イタリアに旅行に行ってきました。ローマ二泊、フレンツェ二泊、ベネチア二泊、ミラノ一泊の旅でした。イタリアは本当に見所が多く、色んな所を歩き回り、正直言ってヘトヘトになって帰ってきました。

その中でのハイライトの一つが、ミラノでレオナルド・ダ・ビンチの最後の晩餐を見ることでした。左の写真がその壁画があるサンタマリア・デッレ・グラッチェ教会です。この教会は第二次世界大戦で爆撃を受け壊滅したのですが、奇跡的に最後の晩餐の描かれた壁は残り、最近になってダ・ビンチが描いた当時の状態に精密に再現されています。

ここへは15分毎の人数限定で入場が制限されており、中央写真の入場切符を手に入れるのが中々大変です。我々は12;45からの組でしたがアメリカ人の団体が20人ほどと、我々と数人の個人客25名ほどで同時入場しました。

内部は薄暗く、壁画だけに比較的弱い照明が当てられている状態です。写真撮影は禁止なのですが、フラッシュ無しでこっそり撮影したのが右の写真です、ゴメンナサイ。因みにこんなに薄暗いのに手ぶれなく取れるのはSONYの裏面CMOS+高速多重露光技術のおかげです。

イタリアではバチカン博物館やフレンチェのウフィッチ美術館などの壁画や絵画をたくさん見ましたが、この最後の晩餐のような絵は一枚もありませんでした。色使い、人物の表情、伝統的宗教絵画ルールからの逸脱など、その他のノッペリ、ベッタリした宗教絵画とは一線を画す絵で、映画を見ているようなリアルでストーリー性がある素晴らしい絵です。敢えて申し上げると、日本の上質なアニメに通じるトーンの絵です。(素晴らしすぎるアニメとでも言いましょうか...)

この絵は伝統的なフレスコではなくテンペラ手法で描かれています。フレスコ画は生乾きの漆喰の上に顔料を使って描く技法で、一発勝負で色の混ぜ合わせ無しに描く必要があります。完成後は1000年経っても色があせないほど耐久性があるのですがどうしても生の顔料のベッタリとした色調しか使えません。ダ・ビンチはそれを嫌って敢えてテンペラ手法でこれを描きました。そのおかげで、今見られるような中間調を使った写実的な壁画に仕上げることが出来たのです。しかし、テンペラは湿度に弱くダ・ビンチの存命中から傷みが入りボロボロと顔料が剥がれ始めました。これを修復・復元したのが現在の絵です。

この絵の意味する寓意はダビンチ・コードで詳細に指摘されているところですが、正に西洋キリスト教文明の根幹に関わる秘密をダ・ビンチは描き入れています。使徒ヨハネの女性としての姿、その姿勢とキリストとの間の寓意をこめた空間、聖杯なき卓上。これらは明快な意思の基に描かれた事は明らかです。つまりフランス・メロヴィング朝に繋がるキリストの血脈を示していると思われます。これが、単にダ・ビンチの思い込みなのか、真実なのかは私には判りませんが少なくとも、世界的に有名なこの壁画に明らかなメッセージが込められている事は間違いはありません。

あとつまらない事ですが、実物を見て初めて知ったことは、この絵には足が描かれていることです。絵画集や絵葉書ではテーブルから上しか印刷されていませんがテーブルの下には各人物の足がしっかり描かれています。ともかく、この絵は持ち運びが出来ず、現地に来て見るしかないのですが、それが出来る幸運に恵まれ非常に満足しています。



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