おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

スラー一つで音楽は変わる

2020年10月03日 | 不思議な音の国
スラーは音楽をニュアンスに富んだ豊かなものにしてくれます。

だからノンレガートとレガートの弾き分けがまずは必要です。

ノンレガートとレガートは下ろして上げることは全く同じです。
レガートには水平な動きが加わります。

そこにフレーズに合った手首の使い方が加わっていきます。
下ろすスピード、上げるスピード。深く下ろす、浅めに下ろす、浮くギリギリ一歩手前までしか下ろさない。etc.・・

スラー一つで音楽がガラリと変わる。
これは現代に近い作曲家で自身も優れたピアニストだった場合、本当に熟考して書かれています。

さてさて、不思議な音の国では、下巻の第14章8分音符の章で初めて左右で異なるスラーを同時に弾き分ける曲が出てきます。

フレンドという曲です。

バースデーパーティーをお祝いしてもらったミミズクさんが、家に帰る時間になり寂しがります。
そこでミツバチが元気づけてあげようと飛んできます。

ミミズクの頭の上でブンブン言っているミツバチのイラストが、いつ見てもシュールで笑えます。

ちなみにオリジナルはクマの誕生日の話になっていて、クマの頭の上にミツバチです。

この曲の最後のスラーが、左右で終わるタイミングが違うのです。
その前も右手の4分休符と左手のスラーの終わりが同時にならないよう気を付けます。
異なるタイミングだけではなく、左右同時に上げるところもあります。

これなのです!
他の子供の教本で、習い始めにしかも短い曲でこんなに盛沢山な曲があったでしょうか。

なかったのです。

曲が難しくなると出てきますが、難しくなる前に注意深く楽譜を見てそのニュアンスを作り出す。
これはピアノならではです。

大人の生徒さんでクライスラー=ラフマニノフの「愛の悲しみ」を弾いている方がいらっしゃるのですが、ラフマニノフ自身が大ピアニストでしたので、スラー一つで魔法にかけるることができるとわかっているような曲です。

そのスラーを無視するとあの洗練された曲が台無し・・

スラーはただ離せばいいでは、この曲の左右で異なるたくさんのスラーから魅惑的な音楽は生まれません。

スラーは呼吸を表すことが多いですが、様々な息の吸い方があるはずです。

新鮮な空気をいっぱいに吸う時もあれば、花の香りをそっと嗅ぐような時もあります。

小さな子供たちに、面倒だと思われようが、しつこいと思われようが、スラーのことは指摘し続けますっ。

それはピアノに命を吹き込むことでもあるので。

超絶素敵なギルトブルグの演奏です。

ギルトブルグは姿勢が悪いのではありません。肩甲骨のあたりに筋肉がしっかりついているのだと思います。直接お会いすると、歩く姿はバレリーナかと思うくらい美しいです。



コメント
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