おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

「どの指を使っているかがよく分からない」子供(第12号)

2012年05月10日 | 苦手なことがある子供たち
自分が今、どの指で弾いているかがよく分からない生徒さんがいます。

隣の音を隣の指で弾くことができない、指を順番に使えないのです。
3回くらい指摘しても気付かず、私が「ほら、この指」と言って触って初めて気付きます。

指の感覚がはっきりとしていないのでしょうか。
腕と同じように、何か指の神経の発達に関係しているのでしょうか。

私の経験では腕の感覚がはっきりとしていない生徒は、指の感覚も曖昧な所があります。
どちらの手のどの指を使うかを触って伝えなければわからないことがあります。

もちろん、普段どれだけ家でピアノを弾いているかも関係していると思います。
ピアノは実際に弾いて覚えたり見つけ出したりしていくものが多いですし、指を1本1本様々な組み合わせで使うことなど日常ありませんので、やはり練習量が多い生徒はそれだけ多くの感覚が発達するのは速いと思います。

では、このような生徒さんにはどのようなことをして指の感覚を目覚めさせると良いでしょうか。

良い方法があります。
これは以前、若い先生から教わった方法で私が考え出したものではありませんがご紹介させていただきます。



各指でスーパーボールを転がすのです。

ただ転がすのではありません。紙に道を書いてそれに沿って転がすのです。
「音が読めるようにならない子供たち2」でご紹介した、逆あみだや迷路に沿って転がしてもよいです。

どの指で転がすかを決め、片手ずつ行います。
右手の2の指ができたら左手の2の指という具合にです。往復行います。

大体1回のレッスンで、両手の同じ指が行えます。
但し、器用ではない生徒さんはそうはいきません。1回のレッスンで片手の一つの指でやっとです。
私は1の指は行いませんでしたが、両手の2~5の指をすべてやり終えるのに6カ月かかった生徒もいました。

スーパーボールは自閉症の生徒にも行いました。
私も一緒に反対側から転がし、歌を歌いながらどちらが早くゴールできるか競争しました。

どの生徒も初めは指をスーパーボールに密着させずに転がすので、しょっちゅうあちこち転がしてしまい球拾い状態です。
自分で転がしたものは自分で取りに行くようにします。運動不足の生徒には足腰を使う効果もあって良いと思います。
但しピアノに頭をぶつけないように気を付けて。これは空間認知の力を養う効果もあるはずです。
自分と周りの物の距離感を養う感覚です。

ピアノを弾きながら指の感覚をつける方法ではありませんが、確実に効果があります。
すぐにバーナムやハノンに進むのも良いですが、その前の段階が必要な生徒さんもいらっしゃると思いますので、
気分転換も兼ねてお試し頂ければと思います。

若い先生から教えていただいた時には、指先の感覚を鍛えるとおっしゃっていたと思います。
耳で音の響きや音色を探す段階に達した生徒さんにも使えます。

スーパーボールは習い始めの生徒さんには大きめのものが良いです。
私は直径3センチ程のものを使っています。


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追記 2017年1月

<手のボディイメージ>

「ド」の音を人差し指で弾こうと頭でわかっていても手が思い通りに動かない、リコーダーを吹くと指の位置や動かし方がわからなくなり吹き続けられない。

これは「手のボディイメージの未発達」によるものなのだそうです。

ボディイメージとは次の3つのものを指します
①触覚:皮膚でものに触れる時に働く感覚
②固有覚:筋肉や関節の動きを感じる感覚 体を動かした時に働く。動作のコントロールに関わる。
③前庭覚:バランス感覚 体が揺れたり回転した時に働く。姿勢の維持や利き手の発達などに関わる。

対応

手のタッチング
・腕から手、指の順番で大人が素手でギュッと握る
・目を閉じてもらい子供の指や手を2か所同時に軽く触れどこに触れられたか当ててもらう

砂文字なぞり
・モコモコペンで書いた図形や文字を目隠しをしてなぞり、どんな形、文字か当ててもらう

手探り遊び
・タオルや袋で手を見えなくして、大人が子供の手に触りどの指に触れたか当ててもらう
 指を当てられるようになったら指の第1関節、第2関節、付け根のうちどの部位を触ったか当ててもらう
・袋の中に日用品を入れて(タワシ、スポンジ、ブラシなど感触の違うもの)触ったものを当てる

まねっこポーズ
・向かい合って座り、指先でポーズを作りまねてもらう(キツネ、OKの形など)




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