日々雑記

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安倍首相は「河野談話」を否定するのではなく擁護すべきだ

2014-10-05 18:15:31 | 日記

「慰安婦」問題に関する朝日新聞の記事撤回以来、朝日新聞バッシングが続いています。この動きは政権幹部を巻き込んで、「河野談話」否定、日本軍による性奴隷制を否定の動きとなっています。

自民党は国際情報検討委員会で決議し、朝日の記事が取り消された以上性的虐待の事実を否定しました。

 安倍晋三首相は3日の衆院予算委員会で、朝日新聞が日本軍「慰安婦」問題で「慰安婦を強制連行した」とする吉田清治氏の証言を取り消した報道に関連し、「日本のイメージは大きく傷ついた。日本が国ぐるみで性奴隷にしたと、いわれなき中傷が世界で行われている」と述べ、性奴隷制という「慰安婦」問題の事実を完全に否定する重大な発言を行いました。

 一方で菅義偉官房長官は同じ衆院予算委員会で、「慰安婦」問題で日本軍の関与と強制性を認め謝罪を表明した「河野官房長官談話」(1993年)の作成過程に関し、「吉田清治氏の証言は客観的事実と照らしてつじつまが合わなかった。他の証言者の証言と比較して信用性が低かったことから『河野談話』に反映されなかった」と述べ、「河野談話」が「吉田証言」なるものをまったく根拠にしていないことを認めました。安倍晋三首相も「官房長官が答弁した通りだと思う」と述べざるを得ませんでした。安倍首相は、官房長官でさえ関係ないという吉田証言と「河野談話」を結びつけ、「河野談話」を否定しようとしているのです。

これについては「河野談話」の作成にかかわった、当時の石原信雄副官房長官が「河野談話」の作成過程で吉田証言を問題にしていなかったと証言しています。

 

石原氏が断言するように、「河野談話」はもともと「吉田証言」を根拠にしていないのですから、「吉田証言が崩れたから河野談話の根拠もなくなった」などという安倍晋三首相の議論は成り立つ余地などありません。

また石原氏は「慰安所の運営につきまして深く政府が関わっておった」「輸送について安全を図ってほしいとか、あるいは慰安所の運営について衛生管理あるいは治安の維持をしっかり頼むという趣旨の文書は出てきた」とも言っています。政府が「慰安婦」の輸送、衛生管理などに関わったという証拠はあったのです。

また元「慰安婦」の聞き取りについて、「募集の過程で、かなり強引な募集が行われたことがあったようです。結果的に脅かされたとか、だまされたとか、あるいは当時の官憲ですね、まあ巡査なんかが関わってかなり強制的に慰安婦に応募させられたという人がいることが証言から否定できないということになりました」


 

 自民党と安倍首相は吉田証言が否定された以上「性的虐待はなかった」、「性奴隷制はなかった」と主張しています。これは吉田証言が否定されたのは吉田氏が言う「人さらい」のような「慰安婦がり」が否定されただけであり、「性奴隷制」と言う事実が否定されたわけでないことを無理に捻じ曲げる議論です。

 女性たちがどんな形で「慰安所」に来たにせよ、それがかりに本人の意思で来たにせよ、強制で連れて来られたにせよ、一たび日本軍『慰安所』に入れば監禁拘束され強制使役の下におかれた――自由のない生活を強いられ、強制的に兵士の性の相手をさせられた――性奴隷状態とされたという事実は、多数の被害者の証言とともに、旧日本軍の公文書などに照らしても動かすことができません。それは、『河野談話』が、『慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった』と認めている通りのものでした。この事実に対しては、『河野談話』見直し派は、口を閉ざし、語ろうとしません。しかし、この事実こそ、『軍性奴隷制』として世界からきびしく批判されている、日本軍『慰安婦』制度の最大の問題です。

各国の議会の決議や日本政府に対する韓国が問題にしているのは、「強制連行」の有無ではありません。軍(政府)による「慰安所」における強制使役=性奴隷制度こそが、国際社会からきびしく批判されている問題の核心なのです。

安倍首相は「河野談話」を継承すると言いながら、一方で慰安婦問題を否定することで問題をうやむやにしようとしています。

「河野談話」は日本政府の公式見解として出されたものであり、今でも効力がある見解です。安倍首相はこの見解を順守しする義務があります。首相が先頭に立って否定に回ることなどあってはならないことです。


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