昨年の総選挙の票数をもう一度見直してみました。
自民党は圧勝したと言われています。
たしかに自民党は294議席、総議席数の61%をとりました。公明党と合わせると325議席、67.7%、三分の二を占める大勢力です。憲法改正の発議でもできる数です。
とくに小選挙区では237議席で、総議席数300議席のうち自民党だけで79%の議席です。議席数で見ると圧勝にみえます。
しかし得票数で見るとどうでしょう。小選挙区では自民党の得票は2564万票、得票率は43%です。なんと4割の得票で8割の議席をとったのです。これが小選挙区のマジックだったのです。前回民主党が政権をとった2009年の総選挙と比べると、得票率こそ26.73%から27.62%とわずかに増やしましたが、実際の得票数は2009年2730万票から2560万票に減らしているのです。勝った選挙の方が負けた選挙より票数が少なかったのです。
比例代表選挙ではどうでしょう。1662万票、総得票の27.62%をとりました。政党の支持を争う比例代表選挙では3割以下の票しか取れなかったのです。小選挙区と同じように前回2009年の選挙と比較してみますと、得票率は26.73%から27.62%とわずかに増えています。しかし得票数は1881万票から1662万票へと減っています。もう少しさかのぼると2005年の郵政選挙では2588万票(38.2%)をとっていますので、今回も2009年も、これに比べると票を減らしたままだということです。
自民党という政党は、実際には3割の国民しか支持しなったのに、小選挙区のマジックで61%の議席をとったのです。圧勝でも何でもなかったのです。
民主党はどうでしょうか。小選挙区で1359万票(22.81%)を得票し27議席を得ました。比例代表選挙では962万票(16.00%)を得て、27議席を獲得しました。合計57議席です。この党の特徴は政党の支持をあらそう比例区の得票減にありました。2009年に2984万票であったのが今回は962万票ですから、約3分の1に減りました。多くの人が指摘するように国民の政権交代への期待を裏切ったからでしょう。
でも変ですね。多くの人が自民党の圧勝だと思っています。国民の圧倒的多数が支持しているから自民党の政策が実現すると思っています。参議院選挙が終わると憲法9条の改定が進むのではないかと怖れている人もいます。しかし実態は今数字で見てきたとおりです。
私たちはみな騙されていたのではないでしょうか。マスコミが「自民圧勝」というとなんとなくそんな気持ちになってしまいますが、実際は悲観する必要なんかないのです。