日々雑記

政治、経済、社会、福祉、芸術など世の中の動きを追い、感想を述べたい

日本のジャーナリズムの異常さ アメリカからの指摘

2016-03-13 16:58:34 | 政治

最近アメリカのしんぶんニューヨークタイムスの元支局長の著書とワシントンポストの社説に、安倍政権の言論弾圧に関する記事が出ました。

ワシントンポストは「安部政権が行なっている報道の自由の圧殺について」と題する3月5日の社説でこの問題を扱っています。(翻訳の引用はhttp://kobajun.chips.jp/?m=201603&paged=2 による )
安倍首相は「3本の矢」を放つと公約しました。
3本の矢の中身は財政刺激、金融緩和、そして構造改革です。
安倍首相は金融緩和の分野において最も劇的な手法を用いました。
その中心を担ったのが日本銀行であり、もっとも最近では市中銀行が日銀に預金する際の金利をマイナスにするなど、大胆な反デフレーション政策を試みました。
しかしその結果は見える限りにおいては、思わしいものではありません。
2015年10~12月の第4四半期の国内総生産の伸びはマイナスに終りました。
経済の先行きに対する日本国民の懸念は深まり、内閣支持率も低下しています。

と言います。

一方で近隣の中国と北朝鮮による軍事的圧力の増大も、日本の国内世論に強い作用を及ぼしています。
こうした良くない報告が続くようになると、権力の座にある者は往々にして情報の運び手に攻撃の矛先を向けるようになります。
実際、安倍首相もその例外ではないようです。

と述べて、窮地に陥った権力者の言論弾圧だと指摘します。

そうして安倍政権が行った言論弾圧の具体的な内容を並べます

まずNHKの会長人事について「2014年1月、はっきりと体制支持者であることが明らかな人間を公共放送であるNHKの会長に任命した事でした。」と指摘します。

さらに「ここ数週間において目についたのは、テレビ・ジャーナリスト – 安倍政権に嫌われていることが誰の目にも明らかな3人が、安倍首相の支持者である各放送網の経営陣の圧力によると思われる状況下、辞表を提出したという出来事でした。」と三人のキャスター、国谷、古館、岸井 三氏の辞任問題を指摘します。

これらの事実を指摘した後

しかしいかなる課題があるにせよ、日本が第二次世界大戦(太平洋戦争)後に成し遂げた中で最も誇るべきものについて忘れるべきではありません。
それは『奇跡の経済成長』ではありません。
独立した自由な報道機関を含む、自由主義制度の確立です。
安倍首相が最終目標とするものの達成のため、する価値がある、できる、あるいはするべきである、どのように考えているにせよ、この自由主義制度を壊すことだけは決してやってはならないことなのです。

と日本の民主主義の問題として締めくくっています。

アメリカからのもう一つの指摘はニューヨークタイムズから来ました。

2月26日のlivedoornews「ニューヨークタイムズ前支局長が安倍政権の海外メディア圧殺の手口を暴露! 「日本の報道は安倍に分断されている」と警告」によると日本取材歴20年を誇るアメリカ人ジャーナリスト、マーティン・ファクラー氏が、新著『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』(双葉社)のなかで、その実態を告発しているということです。

〈そもそも安倍首相は、他の総理大臣に比べてぶら下がり会見を含め、記者会見の回数がやけに少ない。そのうえ記者会見に出ても、限られた時間の中で、まず記者クラブメディアの記者が優先されて指名される。私のような海外メディアの記者は当てられるかどうかはわからないし、仮に質問できたとしても、まるで政権公約を要約したような通り一遍の答えしか出てこないのだ。〉(『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』より、以下同)

という

ファクラー氏によれば、〈そもそも、選挙前ともなるとFCCJ(外国特派員協会)は自民党からほとんど無視されてしまう〉という。FCCJでは海外の記者会見のスタイルを踏襲し、記者からタフな質問が次々と飛んでくる。どんな質問が出るのか、事前に把握することは難しい(本来、当たり前のことなのだが)。自民党の議員たちはその論戦に耐えられないと考えているのだろう。自分たちがコントロールできない場所は、戦う前に避けているのだ。〉

 

ファクラー氏は日本の記者クラブが、想定問答の範囲の質問しかしないことを批判している。また日本の記者が「特落ち」をおそれて、横並びの取材しないことを批判する

本来、記者クラブはメディアが権力に対抗するために生まれた組織だ。今こそ記者クラブメディア同士で連帯し、安倍政権のメディア・コントロールと真剣勝負で戦うべきだ

と批判している。

ファクラー氏の本はまだ入手していないが、日本のジャーナリズムに対する貴重な意見が述べられていると感じる。ぜひ読みたいと考えている。

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事故から5年  福島原発事故はなにも終わっていない 

2016-03-06 15:00:06 | 政治

今朝サンデーモーニング「東日本大震災から5年」をみました。福島第一原発事故後5年を描いていました。一応知っているつもりでも深く考えさせられました。

原子炉については熔けてしまった核燃料をどうやって取り出すのか、取り出したものをどこにどうやって保管するのか全く分かっていません。それどころか取り出したほうが良いのか、チェルノブイリのように取り出さないで原子炉全体を「石棺」にいれたほうが良いのか、それすら分かっていないようです。

汚染水問題もそうです。原子炉の地下に地下水が流れ込み、そこで汚染され、海のほうに流れていく。いまは海に流れ込まないようにして、タンクにためています。今のままでは汚染水タンクが際限なく増えるだけです。それで炉の周りの土を凍らせて「凍土壁」を作り、水が出入りしないようにする工事が進められています。汚染水を少なくしようということでしょう。安倍総理が「(汚染水は)コントロールされています」と大見得を切った凍土壁です。しかし聞いてみると、この凍土壁にはいろいろな意見の方がいるようです。番組で一番びっくりしたのは原子力規制委員会の田中委員長が出てきて「凍土壁」に期待していないと明言したことです。その上で汚染水は「きれいにして捨てる以外にない」といったことです。専門家、それも規制の責任者かこんな意見がでてくるのに総理大臣が国際的な場で約束していいものでしょうか。さらに田中委員長は簡単に「捨てる」と言いました。しかし、私にもわかることですが、汚染水の中には大量のトリチウムがあります。トリチウムは弱いとはいえレッキとした放射性物質です。トリチウム水を水の中から除くことは今の技術では不可能といってよいでしょう。だからと言って、大量のトリチウム水を海に捨てて海洋を汚染することは許されることではないでしょう。

もう一つは除染です。番組では山林の除染の問題が出てきました。政府がやったのは落ち葉を除くことでした。しかしこれでは不十分なことが分かりました。表土5センチ除くことが有効だといっていました。福島県は山林が多い県です。実行するのは大変なことでしょうが、必要なことならやるべきでしょう。

5年たっても事故の後始末が何も進んでいない。原子炉の廃炉も、汚染水対策も、除染対策も。これが日本の現状だということが分かり、あらためて恐ろしくなりました。

それにしても、この日本の現状を考えるとき、原子炉の再稼働を着々と進めている政府や電力会社のトップが何を考えているのか全く理解できません。あの人たちは後世の人たちに責任をとれると考えているのでしょうか。





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