日々雑記

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医療介護分野での政府の動き(2)―――7月の動向

2014-08-05 19:15:43 | 日記

6月に医療介護総合法が成立したあとも政府による社会保障制度に対する攻撃は止みません。7月に起こった動きを見てみました。

医療・介護分野では国民の負担を増やすための計画が進めれれています。

入院給食の個人負担の増額、大病院受診への規制、など個人負担の増額による医療費抑制改革が進められています。

制度上の改訂としては、ヘルスケアリートによる高齢者施設の営利化、都道府県ごとの医療費支出目標設定と罰則による医療費抑制計画が進められています

以下それぞれの政策についてみていきましょう。


 

社会保障審議会の分科会には厚生労働省から入院給食の負担増が提案されました。現在入院患者の食費一食640円のうち、260円が個人負担です。残りは医療保険から給付さあれます。厚生労働省は「調理費分」として、個人負担を増やすことを提案しています。

厚生労働省の言い分は、在宅療養患者は自費で食事をしているので、これと「公平性」を保つために値上げするというのです。

しかし、入院中の食事は治療の一部ですから、薬代と同じように医療保険から給付されるべきです。もし在宅療養との公平性を考えるのならば、在宅患者にも管理栄養士による指導を充実させるのが先だと思います。

厚労省の目的の一つは、負担増による「患者追い出し」でしょう。しかしこんなことをすれば病状が悪化して、保険財政をかえって悪化させることになるのではないでしょうか。

 


 

 

厚労省はまた紹介状なしで大病院を受診する場合、従来の自己負担に加えて負担増を求める案を社会保障審議会医療保険部会に示しました。最大1万円の大幅な負担増が狙われています

これもまた、医療費削減のため受診を締め出すのが狙いだと見られます。だれもがいつでも何処でも受信できる権利を脅かし、早期発見・早期治療を妨げるなど重大な問題をはらんでいます。

この案に対し、委員の間からは「大病院に行ける人、行けない人の格差がひろがる」など懸念の声が上がっています。

 


国土交通省は、サービス付き高齢者住宅など高齢者施設、住宅の整備をすすめるためとして、「不動産の証券化」による投資対象とするさいのガイドライン(ヘルスケアリート活用指針)を定めました。

「不動産の証券化」とは投資家から集めた資金をもとにオフィスやマンションなどを購入、賃貸収入などを投資家に配分する「不動産投資信託(リート)のことです。これまで高齢者施設に特化したものはなく、認可もされてきませんでした。

安倍内閣の「日本再興戦略」で、医療・介護サービス分野への営利企業の参入を進めることになったものです。

リートの最大の特徴は営利を追求し投資家に配当を行うことです。このため収益があがるような料金設定や人員配置や料金設定などが行われることになります。逆に想定する配当を下回れば賃料値上げなど利用者の負担増やサービス削減を招く危険性があります。

医療や介護は安全や安心を守るため非営利が原則とされてきました。それを投資の対象にすれば、営利追求によって脅かされることになります。くにには社会保障を守る責任があり、営利化の持ち込みはやめるべきです。

 

 


厚生労働省は、都道府県ごとに医療費の支出目標を設定させ、医療費抑制を進めようとしています。この案を社会保障審議会で議論し、来年の通常国会に、医療法改正案として提出する構えです。

同省は医療費抑制を進めるために、目標設定を義務付け、算定方法も国が示す予定です。

さらに財務省は、市町村国保や各健康保険組合に対しても医療費目標を設定し、達成できない場合、後期高齢者医療制度に対する支援金の負担を増やすなどペナルティーを科することを求めています。

都道府県ごとの医療費支出目標に対しては日本医師会が「適切な地域医療を阻害する」として反対しています。

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