日々雑記

政治、経済、社会、福祉、芸術など世の中の動きを追い、感想を述べたい

所信表明演説を読んで

2014-09-30 17:37:28 | 日記

安倍総理の所信表明演説を読みました。正直言ってがっかりです。

中心は「地方創生」と「女性が輝く社会」ということです。

 

地方創生」では、色々な実例を挙げながら「やればできる」と言いました。まさに自己責任でやりなさいと言うことに尽きています。このような政策で地方の活性化が出来るのでしょうか。この話の中には重大な問題が抜けていると思います。それはなぜ地方が疲弊したかという問いがないことではないでしょうか。歴代の自民党政府が大企業の利益を図るために農業をないがしろにしてきたことにあるのではないでしょうか。安倍内閣自身もやっています。減反制度の取りやめ、農業委員会の弱体化などがあります。首相は、同じ演説の中でTPPの推進を主張していますが、このような政策こそ地方経済を破壊する政策ではないでしょうか。一方で農業破壊の政策を進めながらいくら「やればできる」といってみても、地方の再生は困難でしょう。

 

「女性が輝く社会」を唱えています。待機児童ゼロは前進しているとのべました。しかし実態をみると、厚生労働省の発表でも現在41,000人を超える待機児童がいます。前の年と比較しても、1370人減少するにとどまり、依然として高水準となっています。政府の言う待機児童の中には認定保育所などの質の低い保育施設にいる児童は含まれていません。本来国の基準で運用されている認可保育所に入れない児童を待機児童と言うべきですが、政府の統計はそれよりはるかに少ない数字になっています。また待機児童ゼロを数字の上で実現するために巧妙な数字の操作が行われているといわれています。この状態では女性が安心して働くことはできません「女性が輝く社会」を作るためには安心して子供を育てられる社会が必要ですが、首相はそのような具体策を何も示していません。

問題は、首相が目玉にしたこと以外にあります。国民が望んでいることにこたえているでしょうか

震災の復興はどうでしょうか。首相は「8割を超える事業がすでに始まっている」とアピールしました。実態はどうですか。宮城県の担当者は「設計段階に入れば“着手”とみなす」ことになっているのだそうです。この計算では迅速に進んでいることになるかもしれません。実際には3年半たっても24万7千人が避難生活を送っています。

沖縄県民の8割が反対している普天間基地の辺野古移転問題について、「日米合意に従い全力で取り組む」と言っています。県民の意思も名護市議選挙で示された市民の意思も無視して強権で押しつぶそうという宣言です。

国民の過半数が反対した集団的自衛権の行使容認にはまったく触れていません。「安全保障体制の整備に向けた準備を進めていく。」と述べています。要するに国民に説明することをやめ、法案の作成を進めていく強引な政治を進めようとしているのでしょう。「今後もていねいに説明し、理解を得る努力を続ける」という約束はすっかり忘れたようです。

国民の関心が強く、多くの人が反対している“消費税10%”への増税については一言の言及もありません。国民の反対は無視するのでしょうか。それとも理解は得られたとでもいうのでしょうか。無責任としか言いようがありません。

原発問題については、国民の不安が強いのを無視して、川内原発の再稼働をすすめようとしています。ここでも国民の意思を無視した強権政治を進めようとしています。

このような政治を行おうそしている安倍政権に対しては、私たち国民は見切りをつける以外にないのでしょうか。

 

 

 

 

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朝日新聞の誤報に悪乗りした「河野談話」見直し派――慰安婦問題

2014-09-14 10:24:59 | 日記

朝日新聞が続けざまに記事を二つ取り消しました。「慰安婦」問題と原発「吉田調書」の記事です。新聞にとって大きな記事を取り消さねばならないようになったことは重大な問題です。読者としては今後絶対に繰り返さないよう求めたいものです。

一方最近の週刊誌、一部の新聞、そうして総理大臣や官房長官まで含めた朝日新聞に対する非難は、「誤報」に対する批判とは考えられない内容が含まれているように思います。それは「慰安婦」問題をなかったかのようにいい、「河野談話」を取り消そうとする動きです。朝日新聞の誤報に悪乗りして、自分の政治的な意図を実現しようとする動きです。

朝日新聞が取り消したのは、「慰安婦」を強制連行したという「吉田証言」です。この証言がなくても、慰安婦に対する強制性の事実には変わりがありません。また「河野談話」がとり消されるものでもありません。そのことは、この6月に国会に報告された政府の検証報告が「河野談話」を否定できなかったことでも明らかです。

安倍首相や菅官房長官は、国連や諸外国で日本が批判されたのは朝日新聞の誤報のせいだと主張し、「国益が傷つけられた」といいます。しかし日本が国際的な批判にさらされているのは、なにも朝日新聞の記事を根拠にしているわけではありません。外国の批判の多くが根拠としているのは、まず第一に事実です。、また日本政府の見解である河野談話です。日本政府自体が河野談話で認めておいて、朝日新聞のせいにするのは、国連や外国の人々に失礼だというほかありません。日本の名誉を傷つけ、国益を損なったのは、戦争中に「慰安婦」制度を作った日本政府と旧軍隊の行為そのものです。また「河野談話」で謝罪しておきながら、それを取り消そうとする態度もまた日本の名誉を傷つけているでしょう。

 

従軍慰安婦問題でもう一つ付け加えておきます。

それはこのブログで私が取り上げた日本共産党の見解です。3月16日の「従軍「慰安婦」問題ーー共産党志位委員長の「見解」」と題するものです。また共産党の見解自身はここをクリックしてください。

この見解の内容をここに繰り返すことはいたしませんが、河野談話を事実に基づいて詳細に検討して擁護するものです。また「河野談話」発表後20数年の間の日本の裁判所の判決を検討して、そのすべてが「慰安婦」制度の存在と日本政府および旧軍の関与を認定していることを述べています。

この見解は新聞3ページにわたる詳細なものですが、発表後6カ月を経た今日まで一度もまともな反論がありません。「河野談話」見直し派が論理的には破たんしていることの証明でしょう。

 

 

 

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安倍内閣閣僚が所属する日本会議とは何だろう

2014-09-07 18:07:52 | 日記

「しんぶん赤旗」によると新しい安倍内閣の閣僚のうち、安倍首相以下15人が日本会議国会議員懇談会に所属しているそうです。

 

日本会議とは何か。ウィキペディアから調べてみました。

公式ホームページでは「美しい日本の再建と誇りある国づくりのために、政策提言と国民運動を行っている民間団体」と自称しています。

1997年5月30日に「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」とが統合して組織されました。「守る会」は、神道・仏教系の保守的な政治観を持つ宗教団体によって1974年4月に結成、政治課題に対して様々な政治運動を行っていました。一方、「国民会議」は、元号法制化を目的に、やはり最高裁判所長官を務めた石田和外らの呼びかけによって1978年7月に結成された「元号法制化実現国民会議」をもとに、これを改組してつくられ、やはり政治運動を行っていました。

現在の会長は最高裁判所長官を務めた三好達です。

神社本庁、生長の家等、宗教団体、宗教系財団法人等が多数参加しています。特に神社本庁とは、「建国記念の日奉祝式典」や皇室関連の問題への取り組み等、人的交流も盛んです。

日本会議と連携する国会議員の組織に日本会議国会議員懇談会があります
自由民主党を中心に、289名の国会議員が超党派で参加しています。自民党以外にも民主党、日本維新の会、次世代の党、みんなの党、無所属の保守系議員が加盟しています。

 

日本会議の主な活動には以下のものがあります。

  • 日本の皇室関連の運動
    • 男系による皇位の安定的継承を目的とした皇室典範改正
    • 皇室の地方行幸啓の際の奉迎活動
  • 改憲運動
    • 地方、中央に於ける憲法シンポジウム・講演会の開催
    • 憲法改正要綱の作成
  • 教育関連の運動
    • 学校教科書に於ける「自虐的」「反国家」な記述の是正
    • 「親学」にもとづく、親への再教育、いじめ撲滅等を目的とした「家庭教育基本法」の制定
    • 教育委員会制度の改革
    • 「公共心」「愛国心」「豊かな情操」教育等を盛り込んだ「新教育基本法」の制定(2006年制定)
    • 「国旗国歌法」の制定(1999年制定)
  • 国防関連の運動
    • 海上保安庁法等の改正(一部改正)
    • 平時における自衛隊の領域警備に関する役割を定める法律の制定
    • 自衛隊法の改正等による「有事法制」の整備
  • 靖国神社関連の運動
    • 首相の靖国神社参拝
    • 靖国神社に代わる無宗教の「国立追悼施設」建設反対
  • 極端な男女平等思想への反対運動
    • 「選択的夫婦別姓法案」反対
    • 「ジェンダーフリー」運動反対
  • 日本の主権を侵害すると見做した動きへの反対運動
    • 「外国人参政権付与法」反対
    • 「人権機関設置法」反対
    • 「自治基本条例」制定反対

 

 

日本会議は外部からどのような組織とみられているのでしょうか

主張内容から、この団体を「右翼団体」や「日本最大級の国粋主義者団体」と評する意見が日本国外のマスコミにもあります。

アメリカの新聞ニューヨーク・タイムズは「ナショナリスト(国家主義者)組織」と評したことがあります。

イギリスの雑誌、エコノミストは「伝統的価値」への復帰と旧日本軍の悪行への「謝罪外交」の否定を主張する「ナショナリスト・シンクタンク」と報道しました。

韓国の聯合ニュースは“日本の右傾化の流れに相当な影響力を行使している”と報じています。

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安倍改造内閣は何をやりたいのか――新閣僚の発言からさぐる

2014-09-05 15:07:16 | 日記

安倍改造内閣が成立しました。この内閣は国民の期待にこたえられるのでしょうか。その就任の弁から探ってみます。

菅義偉官房長官

米軍基地の抑止力と、普天間の危険除去を考えたとき、唯一の解決策は辺野古移転だ。(県知事に)埋め立て承認をもらったので、粛々と進めていきたい」

 負担軽減といいながら、沖縄県民の圧倒的世論を無視して辺野古移転をすすめる考えをいささかも変えないつもりのようです。

麻生太郎財務大臣

(消費税10%への再増税について)「法律で決まっている。従がって、景気が確実に上昇・継続していくような施策をやっていかねばならない」 消費税を10%にあげることに迷いはありません。

(増税を遅らせることについて問われると)「今の段階で引き上げないことを前提にした話は考えていない。」と問題にもしない返事です。

 一方、法人税減税については来年度から通年で法人実効税率を20%台まで引き下げる」と大企業減税には熱心です。

甘利明 経済再生大臣

(消費税増税の判断に向け)「適正な指標がそろうように環境整備をしていきたい」「消費税を引き上げても日本経済が再びデフレの状況に戻らないということを見通すことが大事だ」と消費税増税のための環境作りに熱心です。

 またTPPについては「しっかりと国益を踏まえて、そして全体益に資するような大筋合意に向けて最大限の努力をしていく」と推進する構えを示しています

小渕優子経済産業大臣

「原子力規制委員会によって安全性が確認された原子力発電所の再稼働を進めること」を安倍首相から指示されたという。

(国民の間に反対や不安の声があることを認めながら) (原子力規制委員会が定めた)「新規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し、原発の再稼働を進めるということにしている」と再稼働を進めることを明言する。

 これでは原発については、いかなる事情よりも安全性を最優先させていかなくてはならない」という言葉も実行が伴っていない。

 塩崎恭久厚生労働大臣

(年金積立金の運用見直しについて)「ベンチャーや未公開株への投資もあり得る。」 「国債の運用に偏っていたものを分散投資することによって、安全で効率的な運用をすることだ。」「今まで6割以上も単品メニューに投資してきたリスクも考えないといけない。」といい、国民の大切な積立金を、危険な株式投資に使おうとしている。株価をあげるという安倍内閣の大目的のために年金積立金を使おうとしています。

 (とくに危険が大きいベンチャー投資について問われると)「ベンチャー投資が危ないという既成概念で投資しているプロは世界にいない。」と開き直ってしまいました。

 塩崎氏はまた、首相から次の4点を指示されたといいます。(1)持続可能な社会保障制度の構築、(2)子供を産み育てやすい国づくり、(3)雇用の創出、(4)失業なき労働移動が出来る雇用政策。
ここに並んでいるのは、これまで安倍内閣が進めてきた年金削減、医療ベッドの削減、要支援者の介護保険はずし、派遣の常態化などを推進する政策です。

 石破茂地方創生大臣

石破氏は、安倍首相から道州制の導入をめざした検討を指示されたとので「道州制の導入を与党との議論を踏まえよくすり合わせながら検討を進めていく」と語った。道州制は市町村の再編を進めるもので全国町村会などが強く反対しています。

 


ざっと見てきましたが、辺野古移転と米軍再編、消費税増税、社会保障切り下げ、原発再稼働など国民の願いとは程遠いようです。

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