日々雑記

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12月8日は開戦記念日(1) 「開戦の詔勅」に見る明治憲法の恐ろしさ

2016-12-10 16:19:43 | 政治

少し遅れてしまいましたが、12月8日。いつもは忘れていてもその日が来ると必ず思い出す日です。昭和16年12月8日は太平洋戦争が始まった日です。

この日に出た天皇の「開戦の詔勅」、若い読者の多くが読んだことがないと思いますので冒頭部分を現代語訳と一緒に紹介しましょう。

(「開戦の詔勅」の冒頭部分)

天佑ヲ保有シ萬世一系ノ皇祚(こうぞ)ヲ踐メル大日本帝國天皇ハ昭ニ忠誠勇武ナル汝有衆ニ示ス朕茲ニ米國及英國ニ対シテ戰ヲ宣ス朕カ陸海將兵ハ全力ヲ奮テ交戰ニ從事シ朕カ百僚有司ハ勵精職務ヲ奉行シ朕カ衆庶ハ各々其ノ本分ヲ盡シ億兆一心國家ノ總力ヲ擧ケテ征戰ノ目的ヲ達成スルニ遺算ナカラムコトヲ期セヨ(後略)

(現代語訳)

神々のご加護を保有し、万世一系の皇位を継ぐ大日本帝国天皇は、忠実で勇敢な汝ら臣民にはっきりと示す。私はここに、米国及び英国に対して宣戦を布告する。私の陸海軍将兵は、全力を奮って交戦に従事し、私のすべての政府関係者はつとめに励んで職務に身をささげ、私の国民はおのおのその本分をつくし、一億の心をひとつにして国家の総力を挙げこの戦争の目的を達成するために手ちがいのないようにせよ。(後略)

  • 原文は難しい文章ですが、現在語訳で読むとすぐわかるように、詔勅とは国民に対する天皇(君主)の命令書です。天皇はアメリカとイギリスに対して戦争を始めたから、「すべての国民は・・・総力を挙げこの戦争の目的を達成」せよと命令しているのです。当時の憲法では天皇の命令は絶対で、違反することは許されませんでした。しかも「総力を挙げこの戦争の目的を達成」せよというのですから「死んでも勝つまで戦え」という命令です。
    今の憲法では天皇は元首ではありませんから、こんな命令を出すことはできません。国政の大事なことは国民の代表による国会が決めることになっています。
  • それに、たとえ国会であっても戦争を始めることはできません。戦争放棄を定めた憲法9条があるからです。
  • また戦争を始めたとしても、現在の憲法では、国民に対して「死んでも勝つまで戦え」などと命令することはできません。憲法で「平和的生存権」「職業選択の自由」「苦役からの自由」などの基本的人権の尊重が定められているからです。

 

私たちは戦前に比べると素晴らしい時代に生きていると言えます。この憲法を戦前に戻そうとしている人がいます。自由民主党の人たちです。私は天皇の命令で戦争に行かされるのはごめんです。

まさか私のような高齢者を兵隊にすることはないでしょうが、私の子や孫は行かされるかもしれません。そればかりか、現代の戦争は兵隊だけが戦うものではありません。太平洋戦争でも空襲で多くの人が殺されました。その後世界に起こったどの戦争でも兵隊でない国民が大勢殺されていることは新聞を見るとすぐにわかります。

国際紛争を戦争などという野蛮な方法で解決するのではなく、国際法と外交交渉で解決するような世の中にしなければならないと思います。

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2 コメント

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Unknown (おおかわ)
2016-12-11 17:34:20
憲法9条の武力や戦争放棄以外に25条平和的生存権、18条苦役からの自由の条項から見ても戦争を国民に強制することはできないことを改めて認識しました。
日本国憲法は命や暮らしを守る砦ですね。
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Unknown (くー)
2019-12-09 20:37:54
昭和天皇の「開戦の…(漢字が読めないです、すみません)」の全文章をちゃんと口語訳をしてください。 全文を紹介してから読む人々に解釈を委ねるべきです。
 日本が開戦を選択していなかったら日本国民及び周辺国がどうなっていたか、有色人種の国々の独立がどうなっていたかなど、読む人にそこまでの解釈ができるようにしてくださいね。
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