日々雑記

政治、経済、社会、福祉、芸術など世の中の動きを追い、感想を述べたい

わが家に介護保険がやってきた(3)――利用の準備

2016-08-20 10:48:26 | 政治

数日後にAさんと一緒にケアマネのYさんが訪ねてきた。Yさんは素朴な感じの穏やかな男性だった。前回Aさんと打ち合わせた今後のサービスについて具体化していくことになった。

まず通所リハビリについて。話をしているうちに、Yさんの所属している企業がいろいろなサービス施設を経営していることが分かった。その中には通所リハビリの施設もあるという。妻も興味を示した。何よりも送迎があることが気に入ったようだった。「それでは一度見学に行こう」ということになった。

歩行器についても具体化が進んだ。福祉用具を作ってレンタルしている会社はいくつかあるらしい。どの会社のものにするか話をしたのち、次の機会にP社のカタログを持ってくるという。

 

通所リハビリ見学の日はすぐにやってきた。出迎えの車に乗っていく。同じ市内なのでそんなに遠くない。老健施設に併設された新しい建物だ。玄関を入るとすぐにリハビリ室だ。広い空間にいくつかのリハビリ器具がおかれている。器具の数はそんなに多くはない。老人たちが器具を使ったり、室内を杖で歩き回ったりしている。椅子に座ってお茶を飲んでいる人もいる。ここでは時間の流れがゆったりとしている。

5階にも案内される。ここでは知的な訓練が行われているらしい。20人くらいの高齢者が椅子に腰かけ、ホワイトボードでゲームのようなことをしている。和気あいあいとしていい雰囲気だ。

妻が気に入ったようなので、この施設に通うことに決める。「要支援2」だと毎週2回利用できるそうだが、とりあえず週1回、午前だけ行き昼食を済ませて帰宅するという。

 

この日は忙しかった。もう一つ仕事があった。午後にはケアマネと一緒にP社の人が来た。二種類の歩行器を持ってきた。妻は早速歩行器を使って歩く。行きつけの診療所まで行ってみる。すぐ近くだが、自動車道路の信号を渡らなければならない。杖で歩くより大分楽だというので、妻が気に入ったのを置いていってもらう。

P社は家屋改修もやるとのことで、手すりを付けるための図面を書いていく。

 

こうして、介護保険利用のための準備は進んだ。しかし本人にとってはこれからが大変だ。歩行器は便利だというものの、なれない器械なので相当に疲れるものらしい。通所リハビリは新しい人間関係を伴うので、慣れるまでにはいろいろな問題が生じてくるだろう。

 

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わが家に介護保険がやってきた(2)――ケアマネージャーとの出会い

2016-08-14 12:04:42 | 政治

 介護保険の認定通知が来たので早速市役所に電話した。数日して担当の人が尋ねて見えた。たしか市の包括支援センターのケアマネージャー(介護支援専門員=〔略称〕ケアマネ)Aさんだと名乗った。

その人の話だと、「要支援」の利用者の場合には、実際に介護サービスを担当する民間業者のケアマネと、市のケアマネが協力するということだった。また「要介護」の場合にはやり方が違うという話もしていた。複雑でよく理解できなかったっが、必要な時にはまた説明してくれるだろうと思って聞き流した。

たしか昨年の法改正により、「要支援」は基本的に介護保険からはずされ市区町村の事業になったという話を聞いたことがあるが、ケアマネに関するこのような複雑なシステムも、この制度改正と関係があるのかもしれない。おいおいに勉強していきたい。

面倒な制度の話は別にして本題に戻ろう。

訪ねてきた市のケアマネAさんは、家族の生活状態を具体的に聞き出す。「誰が食事を作るのか?」「掃除は?」「洗濯は?」「外出はどうしているのか?」「お子さんは?」等々。これだけ詳しく尋ねて生活状態を把握してもらえると必要な介護サービスも分かってもらえそうだ。

Aさんの次の質問は、必要な介護サービスは何かということだった。Aさんは「要支援2」で受けられるサービスを簡単に説明しながら聞いてくる。妻はまず「通所リハビリテーション」に興味を示した。定期的にリハビリテーション施設に通ってリハビリを受けられるということだった。話をすすめて近日中に見学に行くことにした。

妻と私からつぎに出したのは歩行の問題だった。車いすを借りられないかと聞くと、「要支援2」では制度上困難で、「要介護2」以上の重症者でないと借りられないいう。歩行器ならできるという。ケアマネが決まったら話を進めることにする。

もう一つは「家屋改修」だった。我が家は玄関を出てから道路までの間に階段が4段ある。元気な時には何でもなかったこの階段が外出にとって非常な障害になっている。この場所にせめて手すりでもつけられないだろうかと相談すると可能だという。これもケアマネが決まったら具体化することにする。

最後の話題はケアマネのことだった。市役所とは別の、民間業者のケアマネのことだ。「どんな人がいいか」と希望を聞いてくれたので、希望を言ったうえで、お任せした。

数日後に電話で打ち合わせしたうえで、ケアマネのYさんが訪ねて見えた。

 

 

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わが家に介護保険がやってきた(1)ーーどうすれば利用できる、申請と介護認定

2016-08-09 21:03:24 | 政治

10数年にわたって介護保険にかかわってきた。あるときは介護サービス提供業者の一員として、ある時は役所の介護認定審査会の一員として認定業務に携わってきた。

今回は私自身も高齢になり、家族も高齢になったため、初めて介護保険利用者としてこの保険にかかわることになった。利用者の立場に立ってみるとこれまでとは全く違った景色が見えてきたので、新たな景色を描いてみよう。

数年前から家族が歩行障害になり、次第に進行してきている。昨年から調べてもらったところでは、脚だけの病気ではなさそうだ。進行性の病気のようだ。

それで主治医の勧めで介護保険を利用することにした。

私も家族もすでに十分に高齢なので何年も前から介護保険の加入者になっている。必要なのは要介護度の認定だ。介護保険を利用するには身体や精神がどの程度の介護を要する状態なのか認定を受ける必要がある。介護度には1から5の段階がある。もっと軽いところでは要支援1と要支援2という段階がある。この段階のどれに該当するかによって提供されるサービスに違いが出てくる。

私はまず市役所の担当課に行って説明を受ける。申請書類は役所の人が手伝ってくれて提出することが出来た。これからが本当の認定手続きだ。役所から書類が回って主治医が意見書を書いてくれる。一方役所からは認定調査員が我が家にきてどの程度の病状なのか詳細に調査する。―――歩けるのか。電話を掛けられるのか。食事は作れるのか。自分で風呂にはいれるのか。外出出来るのか・・・・。その結果をコンピューターで判定し、最後は認定審査会で審査して決めるのだという。

いずれにしても書類を出せば自動的に進むので面倒なことではない。

ひと月ぐらいたつと市役所から手紙が来た、「要支援2」という結果だ。受け取ったときの気持ちは複雑だ。「軽くてよかった。もっと重い人もたくさんいるのだ。」という気持ちとともに、「もっと重い判定をしてくれたらたくさんのサービスを受けられるのに」という気持ちにもなる。

認定通知と一緒に「市役所に連絡をするように」ということが書いてあった。

(続く)

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