国会が95日間という異例の長さの延長になりました。安倍政権は国民が息切れするのを待つ戦術に出ました。あわよくば60日ルールで参議院の審議も省略しようとする算段です。
戦争法案が国会に提出されてから、この法案を正当化しようとする論拠は総崩れになってしまいました。
政府は、武力行使する米軍への「後方支援」は武力行使と一体化しないから合憲だと主張しています。武力行使と一体化すると「武力の行使は・・・永久にこれを放棄する」と明記すした憲法第9条に違反するからです。しかし、政府が「後方支援」と呼ぶものは、国際的な軍事用語に当てはめると「兵站」と呼ばれるもので、武力行使と一体のものです。質問に対し「国際法上『一体化論』が通ると言ったことは一回もない」とこたえ、政府の言い分が世界に通用しないことを認めました。
政府はまた、海外派兵された自衛隊による”自己防衛”のための「武器使用」は「武力の行使」ではないから違憲ではないと主張してきました。しかし外務省は「武器の使用」という概念自体が国際法上存在しない――と認めました。武器の使用が違憲ではないという主張が、二つとも言葉の遊びだったのです。
政府が戦争法案を正当化するために持ち出したもう一つの議論が「日本を取り巻く安全保障環境が根本的に変化した。」という主張です。しかし「根本的変化とは何か、何時起きたのか」という質問には、まったく答えられませんでした。
また政府が主張する「存立危機事態」についても、「他国への武力攻撃で『存立危機事態』におちいった国が世界で一つでもあるのか」との質問にも、実例を示すことができませんでした。
すでに国会の論戦では政府はグーの音も出ないほど負けているのです。今回の会期延長は、論戦で負けたものを議会の中の数の力と、逃げ切り作戦で取り返そうとするものです。国民が政府の作戦に乗らずに、大多数の国民が反対の意思を表明すれば必ず安倍首相を止めさせ、戦争法の成立を阻止できると思います。