日々雑記

政治、経済、社会、福祉、芸術など世の中の動きを追い、感想を述べたい

生活保護基準を引き下げていいのかーー国民みんなの問題

2013-01-24 15:52:07 | 日記

私のところにはいろいろな方が受診される。「金持ちも貧乏な人も」と言いたいが、金持ちと言えるような人はあまり来ない。おそらく別のところに受診するのだろう。あまり肩が凝らない人の方がいいので、私の方もそれで満足している。

生活保護を受けている人(以下「受給者」と書く)も来られる。普段は受給者かどうか意識することはない。気がつくのは福祉事務所から要求されて、「医療が必要」だという書類を書くときくらいだ。

最近受給者から聞く話。
「最近、生活保護受けてるひとは、悪人のようにテレビで言うでしょう。つらくって、肩身が狭くって・・・・」
「福祉事務所に行くのつらくて・・・いろいろ言われるから・・・」
「本当は生活保護なんて止めたいんだけど・・・生活できないから・・・・・・」
「身体が悪いのに・・・働けと言われるし・・・・」、
(「まだ仕事に出るのは早い」という医者の言葉に)「福祉から言われるから」と無理に働きに出ようとする人もいる。
この様なことがある度にうつ病が悪くなる人も珍しくない。

受給者ではないが生活に困っていることが見て取れる人もいる。
(「治療のためにも生活保護を受けた方がいいのでは 」とすすめると)「一度福祉事務所に行って、いろいろと言われて、嫌な思いをしたから・・・」
「だって税金でしょう。いやです」
「親兄弟に問い合わせが行くんでしょう。居所を知られるのもいやだから」
「夫に 暴力をふるわれてやっと逃げてきたのに、居所を知られるのが嫌だから」
などと言って生活保護を受けようとはしない。

こんな折、政府は生活保護基準の切り下げをすすめようとしています。
生活保護費が多すぎるから減らすのだという。
たしかに受給者の数は年々増えて、昨年10月には214万人を超えたという。

大変なことです。大変なのはお金がかかるからではありません。こんなに多くの人が貧困にあえいでいることが大変なのです。そうして貧困をこれだけ広げたのはなぜだろうか。小泉純一郎氏に始まる構造改革、それによる格差の拡大にあることは 誰でも認めることではないでしょうか。そうだとすれば生活保護費を減らすための方策は違ったものになるでしょう。貧困を減らすこと、そのために失業者を減らすこと、最近また増えているリストラをやめさせること、いまや勤労者の中心になってきたかに見える非正規労働者を正規雇用にすること、最低賃金を上げること――――など政府のやるべきことは沢山あります。いま生活保護費が増えて財政負担が増えたからといって予算を減らそうとしている人たちは、この根本のところで間違っているのではないでしょうか。

保護費の減らす理由にも問題があります。政府は物価が下がっているから保護基準を下げるべきだというのです。しかし物価指数の変化をよく見ると、下がっているのは家具・家事用品、教養娯楽費であり、光熱水量が上がっています。テレビやパソコンのようなものの値段が下がっているわけですが、収入が低い人でも毎日必要なガス代、電気代があがってます。生活費は下がっていないのです。それなのに、生活保護費を減らされてはたまらないでしょう。

保護費の悪徳受給者がいるというのも理由になっています。この話はマスコミにも盛んに流されていて、一般の人を憤慨させています。たしかに人間の社会ですから悪い人もたくさんいます。しかし大多数の、悪いことをしていない人達は、悪い人と一緒にされてはたまらないと思います。大体どんな制度でも悪い人がいるからといって全部をその対策に向けていたら制度として成り立たないでしょう。悪い人のことはきちんと摘発すればいいことです。ただでさえ肩身の狭い思いをしている人たちをこれ以上委縮させる必要はないでしょう。

やり方も汚くなってきています
現在の法律によれば、生活に困っている人は 誰でも生活保護を受けられるはずです。しかし現実にはいろいろと細かいことをかれて、すっかり滅入って帰ってきたという話をよく聞きます。申請のための書類ももらえないで帰される例もあるようです。さらに法律にはないことですけど、親族に問い合わせたり、援助を依頼することも多いようです。このために事情があってこれまで付き合ってこなかった親族に居場所を知られていやな思いをしたり、嫌がらせを受ける例があるようです。
こういったことはいまでもある話ですが、今度の政府の案では扶養義務者に対する調査を必ずやるようになるそうです。はずかしい思いをさせて受給をあきらめさせようしていると言ってもいいでしょう。

生活保護受給者と、非受給者のうち収入が一番低い人たち(10%)の収入を比較したら、受給者のほうが収入が多かったと言う調査結果をもとに、保護基準を下げるべきだと言っています。しかし、ここに現れた非受給者は、生活保護制度について知らなかったり、知っていてもいろいろな事情で利用を断られたりした人達も含まれています。この人たちが「健康で文化的な最低限度の生活」をできているとは限らないのです。このような人たちを十把ひとからげにして平均をとることに意味があるとは思えません。こんな乱暴な計算で生活保護が高すぎるなどという結論を出されては困ります。
やはり憲法に則って、「健康で文化的な生活」をする ためにはどれだけのお金が必要かを計算して、生活保護の金額を決めるべきではないでしょうか。

最後にこのブログを読んでいる多くの方は受給者ではないと思いますが、自分のことではないと考えないでください。生活保護基準は日本社会のいろいろなことと関係があります。第一に最低賃金です。生活保護基準が下がれば最低賃金が切り下げられるでしょう。さらに一般のサラリーマンの給料にも跳ね返ってきます。介護保険料、国民健康保険料など国民生活の広い分野に影響があります。「自分には関係ない」と考えないで、関心を持つことが大事です。

「最後に」をもう一つ付け加えたくなりました。何十年も医者をやっていると福祉事務所との付き合いも少なくありません。以前ーーといっても40年くらい前、美濃部知事の時代には、親身になって受給者の相談に乗るようなケースワーカーが沢山いました。最近はずいぶん減ったように思います。わたしはこのような自分の経験をふりかえって、福祉事務所の評判が悪いのはケースワーカー個人の問題ではなくて、受給者の数を減らしたい、保護費の総額を減らしたいと考えている為政者の問題だと考えています。---蛇足ながら一言付け加えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

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スポーツクラブは楽しい

2013-01-22 20:37:22 | 日記

70歳になってからスポーツクラブに通い始めた。

若いころから運動に縁がなく何も運動をしたことがない。
知り合いの人たちがジョギングやテニス、ゴルフなどをやって楽しそうにしているのを見ても何もやらなかった

長年腰痛に悩まされていたが、整形外科の医者にすすめられて簡単な体操、ストレッチをしたら非常に楽になった。
一旦楽になると 欲が出てくる。
丁度そんな時期に近所にスポーツクラブができた。
運動をすれば体調が良くなるかもしれないと考えて入会した。
今から7年以上も前のことである。
チェーンの倶楽部で、ブームに乗って出来たものだった。

スポーツクラブと言えばベルトコンベアの上を歩くのかと思って、あまりおもしろくなさそうだと思った。
実際に入ってみると思っていたよりも面白い。
まず健康のための運動には「ストレッチ」「筋力トレーニング」「有酸素運動」の三種類があるらしいことが分かった。
有酸素運動は、初めに想像していたような、コンベアの上を歩いたり、走ったりする運動だった。自転車こぎもある。
筋力トレーニングはよくドラマで見るように、器械を使って 筋肉を一つずつ鍛えていく。脚の筋肉、腿の前側と後ろ側、内側、外側、ふくらはぎ、腹筋はいわゆる腹筋運動のほかにねじる運動、背筋、などなど、筋肉を一つずつ鍛える。器械を使わないスクワットなどの方法もある。
ストレッチは逆に筋肉を引っ張って伸ばす運動だ。自分でやる方法もあれば、トレーナーに引っ張ってもらう方法もある。

頼むとトレーナーがトレーニングの指導をしてくれたり、ストレッチを手助けしてくれる。トレーナーは若い人たちで、的確に教えてくれる。

スポーツクラブには他の科目もあるエアロビクスやダンスもある。女性たちが一生懸命に立っている。
水泳のクラスもある。
はてはホノルルマラソンに参加するための練習をしているグループもある。

トレーニング自体は大変なこともあるが、運動しているおかげで体の衰えがいくらか遅くなっているように感じる
初め一週間に三回通っていたが、最近は1-2回に減ってきている。
体調はよく腰痛もどこかに消えてしまった。 

私より年上に見える人もいる。
私ももう少し頑張ろう!!


 

 

 

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慰安婦問題 (5)日弁連と大韓弁護士協会の共同提案(2010年)

2013-01-18 10:33:52 | 日記

 従軍慰安婦問題に関する国内の重大な発言として日本弁護士連合会と大韓弁護士協会の共同提言「日本軍『慰安婦』問題の最終的解決に関する提言」を紹介します。

 

日本軍「慰安婦」問題の最終的解決に関する提言

 2010年12月

 日本弁護士連合会 大韓弁護士協会

 

はじめに

日本軍「慰安婦」問題は,女性に対する暴力であり,女性に対する差別の問題で ある。

この問題について日本政府は,1993年8月,河野洋平内閣官房長官談話を発 表し,この問題が,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけ た問題であることを認め,被害を受けたすべての人々に対し心からのお詫びと反省 の気持ちを表明した。そして,日本政府としての責任の取り方について検討すると ともに,歴史研究と歴史教育を通じてこの問題を後世に伝え,歴史の教訓とするこ とを言明した。ところがその後,政権政党や閣僚の中からもこの談話を否定するような発言がな されるなど,この河野談話が日本政府の基本的な立場であることを曖昧にする事態 が起こってきた。また,その後発足した「女性のためのアジア平和国民基金」は,被害者に対し国 庫からではなく日本国民の募金から「償い金」を支払ったために,日本政府の責任を曖昧にするものとの批判を受け,事業を実施した国々においても多数の被害者が その「償い金」の受取りを拒否した。さらに,当初から事業の対象としなかった国も多く,基金自身が認めているように,多くの未解決の問題を残したまま,同基金 は2007年に解散した。
他方,国際社会は,1992年から国連人権委員会や差別防止少数者保護小委員 会(人権小委員会)で議論がなされ,1996年にはラディカ・クマラスワミ特別報告者が,1998年にはゲイ・マクドゥーガル特別報告者が日本軍「慰安婦」制 度を特に取り上げ,それぞれの報告書の中で日本政府に対する強い勧告を記載した。
さらに女性差別撤廃委員会では,1994年,2003年,2009年の各日本政 府報告審査の最終コメントでいずれも強くこの問題の最終解決を勧告した。同様に国際人権(社会権)規約委員会でも2001年に,拷問等禁止委員会では2007 年に,国際人権(自由権)規約委員会では2008年に,それぞれ日本政府に対し勧告を行ったが,国際人権(自由権)規約委員会の勧告はそれまでの各委員会の勧 告を集大成するかのように,謝罪と補償,加害者の処罰,市民の教育,事実を否定する企てに反論すること等を含む強力な勧告となっている。ILO(国際労働機関) も条約勧告適用専門家委員会の見解として,毎年のようにこの問題は強制労働禁止条約に違反するとの前提で早急な被害者の救済を求める意見を公表している。
さらに2007年には,アメリカ下院,オランダ下院,カナダ下院,EU議会の 決議として,日本政府に真摯な謝罪と補償等を求める決議が可決され,日本政府に伝達されている。このように10年以上にわたって,これほど多くの国際機関から勧告を受け続け た問題は,日本の歴史上かつてなかったといってよい。

日本は,改組された国連人権理事会の理事国に自ら立候補し,世界の人権保障の模範となること,及び人権に 関する国際条約等の率先遵守を国際的に公約した。この日本政府の立場からみて,女性への差別や暴力を根絶しようとしている国際社会において,日本政府がこの問 題の最終的解決を図ることは絶対に避けて通れない課題である。

日本の国内でもこのような国際社会の動きを受けて,全国で36の市町村議会(2 010年11月5日現在)が,政府に対してこの問題を早急に解決するよう求める 意見書等を採択している。この問題が日本の社会に明らかになってから既に19年が経過し,名乗り出た被 害者の多くが亡くなったり,健康を悪化させている。生きているうちに名誉の回復を,と望んでいる被害者にとって,残された時間はますます少なくなっている。今 こそ日本政府は,最終解決に向けて本格的な取組を行わなければならない時である。

今年は韓国併合条約100年の記念すべき年に当たり,本年8月10日には,菅 直人内閣総理大臣が談話を発表し,「歴史に対して誠実に向き合いたいと思います。
歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち,自らの過ちを省みる ことに率直でありたいと思います。この植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛
に対し,ここに改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明いたします。」 と述べた。
上記のように国際社会が日本政府のこの問題に対する対応を注視する中で,この 内閣総理大臣談話の趣旨を具体的な本件課題においてどのように実現するのか,日 本政府の取組が問われている。
日本弁護士連合会は,既に1995年に「『従軍慰安婦問題』に関する提言」を 発表し,日本政府に対し,①真相の究明,②公式謝罪と補償,③常設仲裁裁判所の
利用,④歴史教育における事実の継承等を求めてきた。そしてその後も,繰り返し 会長声明等により,この問題の早期解決を求めてきた。
今年,韓国併合100年のときに当たり,日本弁護士連合会と大韓弁護士協会は, 女性の人権の発展を祈念し,日本政府のこの問題に対する根本的最終的解決を求め
て,両弁護士会の総意として以下の提言を発表する。

 

 提 言

 第1 日本軍「慰安婦」制度被害者の被害救済のための立法を行うこと。その法律 には下記の内容を含めること。

1 日本軍が今次大戦及びそれに至る時期において,直接的あるいは間接的な 関与のもとに設置運営した「慰安所」等における女性に対する組織的かつ
継続的な性的行為の強制が,当時の国際法・国内法に違反する重大な人権 侵害であり,女性に対する名誉と尊厳を深く傷つけるものであったことを 認め,日本国として被害者に対し謝罪すること。
2 日本国として上記の責任を明らかにし,被害者の名誉と尊厳の回復のため の措置として,金銭の補償を含む措置を取ること。
3 事業実施にあたっては,内閣総理大臣及び関係閣僚を含む実施委員会を設 置し,被害者及び被害者を代理する者の意見を聴取して行うこと。


第2 日本軍「慰安婦」問題のより徹底した全容解明のために,国会あるいは行政 府内に調査機関を設けるなど適当な措置を取ること。

第3 教育,広報等を通じて,この問題の真相が社会に広く定着し,さらに広く広 がるように配慮する。特にこれまでくり返し明らかにされた日本政府の見解 を貶める言説については,政府として反論をし,政府の立場を明確にするこ と。


提言の説明

1 「日本軍『慰安婦』問題」の名称について
従来,日本弁護士連合会では,「従軍慰安婦問題」と呼称してきたが,この呼
称に被害者から異論が出ていることも踏まえ,両弁護士会協議のうえ,「日本軍
『慰安婦』問題」とした。

2 被害者救済のための「立法」提案であること

法律を制定するまでもなく,内閣のもとに,この問題解決のための特別委員会 あるいは関係閣僚委員会のようなものを作って,内閣の主導のもとで直接行政手 続として事業を実施すればよい,という意見もある。
しかし,事業の目的を明確にし,安定的に事業を実施すること,受給の条件等 を客観的に明確にしておくことなどのために,法律の制定は必要である。

 

3 被害把握の対象期間
1931年から1945年までとするが,表現としては「今次大戦及びそれに 至る時期」とする。


4 対象事実
旧陸海軍が直接的あるいは間接的な関与のもとに,女性に対し組織的かつ継続 的な性的行為の強制を行ったこと,とし,旧陸海軍の行為であることを明確にす る。


5 対象事実の評価
当時の国際法・国内法に違反する行為であったこと,そしてそれが女性の名誉 と尊厳を深く傷つけた行為であったことを明確にする。このことは,河野内閣官 房長官談話をあらためて再確認することでもある。


6 法の目的
この法律は,日本政府として事実を認め,すべての被害者に対し謝罪し,その 名誉と尊厳を回復する措置を定め,実施するための手続を定めることを目的とする。そしてこの「慰安婦」問題の最終的な解決を図ることによって,日韓両国の みならず被害国と日本との間の真の友好関係を強め,人権の伸長と国際平和に貢 献することを目的とする。


7 名誉と尊厳の回復のための措置
名誉と尊厳回復のための措置としては,金銭による補償を含み,その他の方法
(例えば医療給付やリハビリなど)もあり得るという含みを持った表現とした。

 

8 実施の具体的方法
具体的な事業実施については委員会の設置が必要であると考える。そしてこの 委員会の構成には,政府や関係省庁の協力を確保するため,内閣総理大臣をはじ
め関係閣僚を含むこととする必要がある。また,被害者の意見を代理するものを 含めるとするか,あるいは実施に当たってはこの委員会が被害者を代理する者の
意見を聞いて行うとするか,いずれにしても被害者の意見を尊重する仕組みが必 要である。


9 全容解明のための措置 

日本軍「慰安婦」問題は,いまだ十分に解明されていない。各政府機関に存在する記録等の開示を含め,日本政府としてさらに徹底した全容解明のための機関 を作り,予算措置を講ずるなどのための立法措置,行政措置等可能な措置を講ずる必要がある。それらを含んだ表現として「適当な措置」としたが,内容は前記 の実効的な方法を取ることである。


10 教育及び広報について
1993年に河野内閣官房長官談話が政府の基本的な立場として明確にされ, その後の内閣総理大臣は例外なくこの河野談話の立場を承継すると言明してきた。しかしその内閣の中で閣僚からこの談話を否定するような発言が出され,し かもそのことについて日本政府の立場として非難したり,訂正したりすることなく放置されてきた。そのために,日本政府は極めて不誠実な態度をとっていると の国際的な非難を免れなかった。
このようなことが再々起こる背景には,日本の社会のなかでこの問題の実情や 問題の本質が十分に知られていないことがある。そこで,教育を通じて次代の世代に,また広報を通じて現代の日本社会のなかに,この問題の実相がきちんと定 着するようにする必要がある。
そして,もし今後河野談話を貶めたり,否定する言説が行われた時には,日本 政府の立場としてこれを否定し,反論し,政府関係者であればその責任を問う必要がある。そのようにして初めて日本政府の立場が一貫するといえるからである。

 

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従軍慰安婦問題 (2)国連、各国議会、日本の地方議会の動き

2013-01-15 18:09:39 | 日記

 従軍慰安婦問題をめぐる国連の動き

1.国連の初めの動きは、ラディカ・クマラスワミ(国連人権委員会特別報告者)の報告(1996年)です。
クマラスワミは「女性に対する暴力戦時における軍の性奴隷制度問題に関して、朝鮮民主主義共和国、大韓民国及び日本への訪問に基づく報告書」にまとめました

その日本語訳が http://www.awf.or.jp/pdf/0031.pdf にあります.

2.1998年には国連人権委員会差別防止と少数者保護小委員会にだされたゲイ.J.マクドゥーガルの最終報告書「現代的形態の奴隷制:武力紛争下の計画的レイプ、奴隷制、奴隷に近い状況」があります。その日本語訳は http://www.awf.or.jp/pdf/0199.pdf にあります。

3.この二つの報告書の内容はぜひ原文にあたってほしいと思いますが、簡単にまとめると (1)慰安所が日本国政府と軍の管理、運営のもとにあったこと、(2)慰安婦が奴隷といってよい状態にあったこと、(3)これに対して日本政府が責任を負う義務があること、(4)日本政府は謝罪し、補償する義務があることを主張しています。

4.2008年には、国連・自由権規約委員会で決議が行われ、第2次世界大戦中の従軍慰安婦問題で、謝罪と補償措置を求めるなど日本に厳しい注文が多く出されました。
またこれまで行われた元慰安婦への補償措置を「十分でない」と批判。日本政府に対し、同問題での法的な責任を受け入れるとともに、被害者の大半が受け入れるような十分な謝罪と適切な補償措置を早急に講じるように求めました。


各国議会の動き
http://homepage2.nifty.com/osakaaala/sab7ianfuby0gikaiketugi.htm#ianfuketugiTOP

アメリカ、オランダ、カナダ、フィリッピンの下院で日本政府に謝罪を求める決議がなされました。
欧州議会、韓国国会でも同様の決議が行われました。


日本の地方議会での動き
http://homepage2.nifty.com/osakaaala/sab7ianfuby0gikaiketugi.htm#ianfuketugiTOP

全国38自治体の議会で決議・意見書が決議が採択されています 

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従軍慰安婦問題 (1)安倍内閣とニューヨークタイムズの批判

2013-01-14 18:44:03 | 日記

安倍総理が慰安婦問題での政府見解を修正しようとしています。これに対し、欧米諸国は敏感に反応しています。

特にニューヨークタイムズは1月2日付で社説を掲載し、厳しい批判を加えました。
 以下はその全文です。文中聞き苦しい言葉がありますが、日本以外ではこのような言葉遣いが普通であり、世界の人たちの気持ちを表していると考えられるので、そのまま使いました。


「歴史を否定する新たな試み」(ニューヨークタイムズ1月2日社説)

アジアの安定のために日本と韓国の間の関係は一番大事だろう。日本の新首相安倍晋三氏は韓国との関係をさらに難しくする誤りを犯そうとしているようだ。彼は、第二次世界大戦における侵略に関する日本の謝罪の変更を示唆した。変更しようとしている謝罪には韓国などの女性を「性奴隷」にしたことに関する謝罪も含まれる。

日本軍が、軍の売春宿で数十万人のアジアやヨーロッパの女性たちを強姦し、奴隷化したことを、日本政府は1993年の河野談話で認め、残虐行為について謝罪した。1995年に当時の村山富一首相は、慰安婦の問題だけでなくさらに広げて、日本は「植民地支配と侵略によって」「多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」と認めた。(村山談話)。

ロイター通信によると、右翼、民族主義者安倍氏は、産経新聞とのインタビューで、1995年の村山談話を「未来志向の」談話に変更したいと語った。安倍氏は「日本軍の性奴隷たちが強制されたという証拠はないことが、第一次安倍内閣の時の調査で分かった。」主張する。一方菅義偉官房長官は、安倍氏は1995年の村山談話を変更しないだろう」と語る一方、「1993年の河野談話を修正するかもしれない」と示唆した。

現在のところ自由民主党総裁である安倍氏がこれらの談話をどのように変更するのか明らかではない。しかし以前に日本の戦時中の歴史を書き換えたいという希望を隠さなかったことは事実である。安倍首相が、このような犯罪の存在を否定したり、河野談話、村山談話の謝罪を薄めるようなことをするならば、戦時中の日本の野蛮な支配に苦しめられた、韓国、中国、フィリッピンの人々を激怒させるだろう。 

安倍氏の恥ずべき欲求によって、たとえば北朝鮮の核兵器計画のような問題での、地域内の重大な協力関係が脅かされる可能性がある。過去の清算などではなく、長期低迷の経済の改善に集中すべき時に、このような変更をしたら、日本はかえって困難を抱え込むことになるだろう。

 

同じニューヨークタイムズは1月1日に「日本は女性の権利のチャンピオンになれる」という皮肉なタイトルのマリーMマッカーシーによる解説的な文章を載せている。その内容を紹介します。


日本は女性の権利のチャンピオンになれる(ニューヨークタイムズ1月1日)

 「彼らは私たちを一人ずつ引っ張り出そうとしました。・・・・・私はテーブルの下に隠れましたが、すぐに見つかってしまいました。・・・日本の将校は・・・剣を抜いて私につきつけて、言うことを聞かなければ殺すと言って脅しました。私は逃げ場を失った獣のように部屋の隅にうずくまりました。」

1923年ジャワ生まれのオランダ人女性、J.R.オヘルネさんは、2007年のアメリカ議会の小委員会の聴取に対して、第二次大戦中日本軍のもとで「慰安婦」(性奴隷)としてうけた虐待について、このように話しました。

19歳の時に強制収容所から、日本軍人用の売春宿に“強制的に連れ出され”た後何カ月もの間昼も夜も強姦を耐え忍ばなければなりませんでした。先ほどの証言はその第一回目にすぎませんでした。日本帝国軍のため性的強制労働を強いられた人々は20万人に上ります。オヘルネさんもその中の一人でした。20万人の中の大部分は朝鮮人でした。そのほかに中国、オランダ、日本、フィリッピン、インドネシアなどの国々の女性がいました。

日本政府はこのような事実を数10年にわたって否定し続けてきましたが、1993年、当時の官房長官河野洋平氏は、政府の広範な調査に基づいて、事実を認め謝罪する談話を発表しました。日本の保守派の多くは河野談話を認めようとはしませんでした。特に新首相安倍晋三氏はそうでした。安倍内閣の官房長官菅義偉氏は、河野談話には学識経験者による再検討が必要だと述べました。長い間保守派の改廃要求のなかで、謝罪そのものの行方が分かりませんが、元慰安婦たちが求めているのは日本政府の公式の謝罪(閣議決定)と国家賠償です。これまでの数十年と同じくこの要求の実現は困難だと思われます。

このような謝罪改廃の雰囲気は、日本と近隣諸国との間のスムーズな関係の障碍になっています。このことはアメリカにとっても重大な関心事です。この地域におけるアメリカのもっとも重要な同盟国である日本と韓国の関係が慰安婦問題で異常な状態にあるのですから。

しかし、この問題は日本の外交やアメリカの戦略的関心、あるいは歴史の問題であるだけではありません。その意味するところは、今日の世界中の紛争地域に住む女性たちの現実の生活と深い関係があります。

2007年にアメリカ下院はこの問題で決議をしました。日本に「女性たちを強制的に性奴隷にした」事実を認め謝罪するよう求める決議でした。それ以来、慰安婦問題は女性の権利と人権の問題に変わりました。慰安婦問題は国内的にも国際的にも広い支持を得るようになりました。それは野蛮な人身売買にまきこまれた女性たちの苦しみによるものです。国連によると現在240万人が人身売買の犠牲になっています。そのうちの80%は性奴隷にされました。ボスニアやコンゴ共和国にみるように、性的暴行(国連の定義によると強姦、強制売春を含む)は軍事紛争に伴って引き続き起こっています。

この問題は歴史問題でも、単に日本と韓国の間だけの問題でもありません。人権と女性の権利の問題なのです。

先月日本の選挙民は自由民主党を再び権力の場に戻しました。日本人が新政府に望んだものはリーダーシップです。これまでのところ、安倍氏は自分のリーダーシップを示すために歴史を修正する道を選びました。第一次安倍内閣同様、安倍内閣は多分それほど長続きしないでしょう。前の1年間の任期中安倍は強制的に慰安婦にされたという考えを否定しようとしました。しかし、結局は女性たちに「総理大臣として」謝ることになり河野談話を継承することになりました。

日本の雰囲気から考えてこの政府のもとで慰安婦問題のこれ以上の進展があるとは思えません。日本を人権の守り手、弱者の味方に変えることによって日本の若い人たちに国に対する誇りを植え付けて、日本人の意見を変えさせる機会はあります。その時性的強制労働と強姦の問題は初めて本当の意味で歴史問題になるでしょう。

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