日々雑記

政治、経済、社会、福祉、芸術など世の中の動きを追い、感想を述べたい

無責任な政府の方針 再除染は拒否 被曝管理は自己責任 

2013-06-30 16:40:23 | 日記

6月29日の朝日新聞朝刊1面トップの記事を見て驚いた。「被曝量、自己管理を提案 福島で政府説明会 再除染応ぜず」という記事だ

 政府が福島県田村市の除染作業完了後に開いた(非公開の)住民説明会で、空気中の放射線量を毎時0・23マイクロシーベルト(年1ミリシーベルト)以下にする目標を達成できなくても、一人ひとりが線量計を身につけ、実際に浴びる「個人線量」が年1ミリを超えないように自己管理しながら自宅で暮らす提案をしていたことが分かった。

 田村市都路(みやこじ)地区は避難指示解除準備区域に指定され、自宅に住めない。政府が計画した除染作業は一通り終わったが、住宅地は平均毎時0・32~0・54マイクロにとどまり、大半の地点で目標に届かなかった。政府は今月23日に住民説明会を一部非公開で開いた。

 朝日新聞が入手した録音記録によると、住民から「目標値まで国が除染すると言っていた」と再除染の要望が相次いだが、政府側は現時点で再除染に応じず、目標値について「1日外に8時間いた場合に年1ミリを超えないという前提で算出され、個人差がある」と説明。「0・23マイクロと、実際に個人が生活して浴びる線量は結びつけるべきではない」としたうえで「新型の線量計を希望者に渡すので自分で確認してほしい」と述べ、今夏のお盆前にも自宅で生活できるようにすると伝えた。

 説明会を主催した復興庁の責任者の秀田智彦統括官付参事官は取材に「無尽蔵に予算があれば納得してもらうまで除染できるが、とてもやりきれない。希望者には線量計で一人ひとり判断してもらうという提案が(政府側から)あった」と述べた。除染で線量を下げて住民が帰る環境を整える従来の方針から、目標に届かなくても自宅へ帰り被曝(ひばく)線量を自己管理して暮らすことを促す方向へ、政策転換が進む可能性がある。

 環境省は取材に対して説明会での同省の発言を否定した。録音記録があり、多くの住民も証言していると伝えたが、明確な回答はなかった。

この記事は今のところ他紙の続報がないので調べようがありませんが、「録音記録がある」「多くの住民も証言している」という以上、朝日新聞としても相当な自信があるのでしょう。もし事実であるとすれば大変なことだと思います。

政府は放射能汚染がどうして起こったのか、誰の責任だと考えているのでしょう。住民自身は何の落ち度もなく平和に暮らしていたのではないでしょうか。そこに突然原発事故が起こり、放射能が降ってきたのです。また事故は自然現象でもありません。安全神話を振りまきながら原子力開発を推進した政府に責任があります。また地震、津波によって事故が起こる可能性が国会で指摘されているのに、何の手も打たずに運転を続けてきた東京電力にも責任があります。このような経過を考えると、放射能汚染を取り除き、事故前の環境に戻すのは政府と東京電力がやるべきことではないでしょうか

責任論の前にも、国民の健康を守るのは政府の仕事ではないでしょうか。ここで憲法を持ち出すのは気恥ずかしいことですが、憲法25条には「国は・・・公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」ともあります。国民の健康を守るのは国の責務なのです

除染が困難なのは当たり前ですがそれでもしなければならないことなのです。


もう一つは、住民の健康管理、被ばく管理の問題です。朝日新聞は次のように解説しています。

地域の放射線量が目標値に下がるまで国の責任で除染を進め、避難区域が解除されてから自宅へ帰る。原発事故で避難した住民の多くはそう思っているに違いない。だが、政府が23日の住民説明会で提案したのは、除染目標を達成できなくても自宅に戻り、線量計を身につけながら被曝(ひばく)線量を自己責任で管理するという生活スタイルだった。

23日の説明会では、除染目標に届かなくても帰還をなし崩し的に進める政府の本音がにじんだ。国費で開発した小型線量計を自宅に戻る希望者に無償配布して被曝量を抑える生活を工夫してもらい、帰宅者を増やして避難区域解除の環境を整える狙いが垣間見えた。

被ばく管理を「自己責任」にして、被曝量が多かった人に対して、政府が「被曝量を少なくする努力をしないのは本人の責任だ」と言い出すのも間近だと考えるのは、「下司の勘繰り」でしょうか?

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自民党の選挙公約 社会保障政策

2013-06-29 09:00:00 | 日記

自民党の選挙公約が発表されました。
今日は社会保障制度についてみてみます。

 

公約をみると社会保障制度をどのように変えるのか、具体的には何も書いてありません。制度の中身について書いてあるのは、

 自民党主導で昨年とりまとめられた「社会保障制度改革推進法」に基づき、
 「社会保障制度改革国民会議」の審議の結果等を踏まえて、医療制度、介護制度、
 年金制度などの社会保障制度について必要な見直しを行います。

という抽象的な言葉だけです。

この言葉を手掛かりに社会保障制度国民会議を調べてみました。この会議のまとめの期限は、参院選挙後の8月21日ですのでまだ結論は出ていません。現在いろいろな提案が出ている段階です。公約にはどの提案をとるとは書いてないので、すべて採用すると考えなければなりません。

それで社会保障制度国民会議での議論を出来るだけ拾ってみました。

介護保険関係

  • 軽度の人を介護保険の給付からはずす
  • 介護サービスの利用料(自己負担:現在1割)を引き上げる
  • 特別養護老人ホームから軽度の人を締め出す 

医療関係

  • 70―74歳の患者負担(現在1割)を倍増し、2割にする。
  •  「人生の最終段階の医療」を抑制する。

年金関係

  • 年金の支給開始年齢を67~70歳程度に引き上げる
  • 支給額を減らす「マクロ経済スライド」を 毎年必ず実施する。
こうやって並べてみると、大変な内容です。こんな大事なことを「選挙公約」の中に書き込まないのは争点隠しといわれても仕方がないでしょう。ごまかされないように多くの人々に知らせる必要があると思います。


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「ブラック企業大賞2013」 ノミネート

2013-06-28 08:55:54 | 日記

労働問題に取り組む団体や弁護士、ジャーナリストらでつくる「ブラック企業大賞実行委員会」は27日、都内で記者会見を開き、20代の女性従業員が過労死した「ワタミ」をはじめ計8社をノミネートしました。ほかに、飲食業として「ステーキのくいしんぼ」を展開するサン・チャレンジ、「餃子の王将」を経営する王将フードサービスが選ばれた他、若い女性に人気の高いファッションブランド「Eath music&ecology」などを展開するアパレルメーカークロスカンパニー 、日本郵便と業務提携した西濃運輸 、小売り業の東急ハンズ。また教育業として、ベネッセコーポレーションと東北大学など馴染みの企業、法人が選ばれました。ワタミが2年連続でノミネートされた一方、離職率の高さや柳内正会長の「年収100万円」発言が注目を集めているユニクロはノミネートされませんでした。

この賞を企画している「ブラック企業大賞実行委員会」は、労働問題に取り組む団体や弁護士、ジャーナリストらが作る団体で、昨2012年から「大賞」を発表し、今年は二回目です。

「ブラック企業大賞」では、次のようにブラック企業を定義しています。

ブラック企業とは・・・・①労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を、意図的・恣意的に従業員に強いている企業、②パワーハラスメントなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人(学校法人、社会福祉法人、官公庁や公営企業、医療機関なども含む)、③また環境破壊や事業所の周辺環境や地元地域社会への配慮・貢献、消費者のニーズ・アフターケアに対する考慮が薄い企業なども含まれる場合がある。

 


(参考) ここに各党の公約から雇用ルールに関する政策を抜き出してみます

(自由民主党)

自由民主党の参議院議員選挙公約の中には、雇用ルールに関する項目はありません。

「世界で一番企業が活動しやすい国」を実現します。―――と書き、企業にとって必要なことは詳細に書き込んでいます。また別のところで労働法制の規制緩和を唱え、解雇規制の緩和、超過勤務規制の緩和などを織り込んだ法律の制定を狙っています。

(民主党)

政府の労働規制緩和の政策に対しては次のように述べて反対の態度を示してります。

労働者を使い捨てにし、解雇をしやすくする「解雇の金銭解決制度」の導入や、地域や職務を限定する「限定正社員」の名を借りて正社員を解雇しやすくする見かけ正社員づくり、「ホワイトカラーエグゼンプション」(残業代ゼロ)、「労働者派遣法の緩和」など、今の政府がめざす労働規制緩和を認めず、雇用の安定をはかります。

しかし、現在ブラック企業で行われていることについては

雇用のあるべき姿を確立します。

と述べるだけであり、具体的な規制策は何も提案していません。これでは結果的にはブラック企業を含めた現状の黙認になってしまうでしょう。

(みんなの党)

次のように労働法制の一層の緩和を主張しています。

  • 「正社員の整理解雇に関する「4要件」を見直し、解雇の際の救済手段として金銭解決を含めた解雇ルールを法律で明確化する。」として金銭解雇を認める
  • 「中小企業を中心に「お試し採用」が可能となる既卒者支援助成制度を大幅に拡充する。」と書き、解雇自由の労働者を作る
  • 「「 無期・直接雇用=善」という固定観念を捨てて、労働者派遣法を派遣労働者のニーズに合わせて再改正。日雇い派遣の原則禁止を定めた条項等を見直し、女性や高齢者らの多様な就労の機会を確保する。」として派遣労働者、非正規労働者をさらに増やすことを狙っている。


(日本共産党)

「労働・雇用」政策で次のような政策をかかげています。各項目に詳細な内容が書かれていますが、ここでは引用できないので、下のURLをクリックして直接お読みになってください。

http://www.jcp.or.jp/web_policy/2013/06/post-517.html

雇用ルールの破壊を許さず、人間らしく働けるルールを確立します

(1)賃上げと安定した雇用の拡大で「デフレ不況」打開を
(2)安倍内閣による労働法制の規制緩和を許しません
(3)退職強要をやめさせ、解雇規制法をつくります
(4)異常な長時間労働を是正し、「サービス残業」を根絶します
(5)労働者派遣法を抜本的に改正し、派遣労働者保護法をつくります
(6)有期雇用を制限して正社員化と均等待遇をすすめるとともに、「個人請負」などの脱法的契約を許しません
(7)男女がともに、人間らしく生き、働ける均等な労働条件を確立します
(8)最低賃金の抜本的引き上げなど、政治の責任で賃金の大幅底上げを実現します
(9)失業者の生活と職業訓練を保障し、安定した仕事、公的仕事への道を開きます
(10)国と地方の労働行政を強化します

 

 


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選挙制度のこと

2013-06-23 16:23:38 | 日記

最近衆議院の選挙制度に関する議論が起こっています。いわゆる0増5減の法律が成立するかどうかという議論です。

ここではもう少し根本的に考えてみましょう。

もともと衆議院の選挙は太平洋戦争の後中選挙区制でした。政治改革と称して小選挙区比例代表並立制が導入されたのは1994年、19年前です。

その弊害は最初から警告されていましたが、その警告が当たりました。昨年2012年の総選挙では自民党は小選挙区で40%台の得票で80%の議席を占めることになりました。

国民の意思とは関係なく、第一党が大部分の議席を占めるという弊害です。今回の選挙ばかりではありません。この19年間に行われたそう選挙では同じ特徴が出ています。また小さな政党は得票率よりも少ない議席しか与えられません。
今の制度は著しく不公平な制度です。

また先日の裁判で明らかになったように、選挙区ごとの人口に少しでも移動が起こると一票の格差といわれる格差が生まれます。そのたびに選挙区割りを変更する必要があります。この点でも不公平が起こりやすい選挙制度です。

一方今の選挙制度の片方、比例代表部分は国民の意見分布を忠実に反映する制度です。しかし自民党や民主党は比例代表制を止めようと言っています。大政党にとって小選挙区制の方が有利だからです。まさに党利党略です。

国会は国民の意見分布をそのまま反映して、国政を運営していくべきではないでしょうか。小選挙区制の方がいいという人もいます。その人たちは小党分立よりも、大政党が安定した政権を作る方がいいと考えます。しかし国民の意見が反映しない政府が「安定」すると怖いことになるのではないでしょうか。独裁の危険です。

わたしは独裁の危険よりも、たとえ小党分立になって、面倒くさくなっても、国民の意思に従って政治を進める方がよいと考えます。


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チェルノブイリと福島

2013-06-22 18:31:30 | 日記

今日の朝日新聞朝刊の一面トップは「チェルノブイリ」のルポです。

ご存じの方も多いと思いますが、チェルノブイリ原子力発電所は旧ソ連、今のウクライナにあります。1986年にメルトダウン事故を起こしました。1979年に事故を起こしたアメリカのスリーマイル島の事故、そして2011年の福島第一発電所の事故と並んで原子力発電所の三大事故を起こしたところです。

今回チェルノブイリを訪れた朝日新聞の記者によると、爆発後27年を経て廃炉にする見通しも立たないまま、爆発した4号炉を覆う石棺が破損し、雨が入り込んでいるということです。このため、新たなシェルターを作り原子炉をすっぽり覆うのだということです。

アレクサンドル・ノビコフ技術担当副技師長は「ゆくゆくは石棺を壊して溶けた燃料を取り出す。だが、工程は決まっていない。100年かかることも想定しなければならない」と言っているそうです。

27年の時間、これから廃炉作業の百年、何と長い時間でしょう。

福島の事故は4基の原子炉が爆発し、格納容器のどこに穴があいているかすら分かっていません。廃炉にどれだけの時間がかかるか、考えるだけでも気が遠くなるような長い時間が必要なようです。
仇やおろそかに「福島の事故は終息した」などと言わないことだと思います。 


 

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