12月27日の朝日新聞は、編集委員・上田俊英氏によるコラム「原発優先 新手の空押さえを見過ごすな」を載せています。私はこの問題提起に賛成です。大事な問題なのでご紹介しましょう。
問題は北海道、東北、北陸、中国、四国、九州、沖縄の7電力会社の動きでです。この7社は、再生可能エネルギーの受け入れ可能量を発表しました。
受け入れ可能量というのは、太陽光、風力と言った比較的「新顔」の再生可能エネルギーの買い取り量の枠です。
この買い取り量は、火力、原子力などの「古手」への割り振りが増えれば、その分、「新顔」の受け入れ可能量が減ります。
上田氏は、原子力発電のための空押さえが目立つといいます。現在一つも再稼働していない原発がフル稼働した時のために、枠を空押さえしておき、再生可能エネルギーの受け入れを減らそうとしているというのです。
たとえば大間原発、この原発はまだ建設中です。東北電力の見込み通りに完成しても稼働は7年先になります。それなのに枠を押さえようと言うのです。上田氏によると、大間原発はまだいろいろな問題を抱えていて7年後の稼働も危ないといいます。技術的には、大間原発は新しい方式で発電しようとしていますが、これは世界でも初めての試みであり、予定通りに進むか分からないといいます。大間原発はまた、函館市から建設差し止め訴訟を起こされています。これもまた稼働の時期が遅れる原因になりうるといいます。
大間原発の例をとっても、「空押さえ」と言ってよいでしょう。
大間ばかりではありません。東北電力は自社の女川1~3号機、東通1号機、東京電力柏崎刈羽1号機、日本原電東海第二からの受電を算定に入れています。原発をもつ他の5社も同様です。老朽化で廃炉がとりざたされる日本原電敦賀1号機、中国電力島根1号機も含め、原発の枠を最大限押さえています。
空押さえは、原子力発電の再稼働と、再生可能エネルギーの導入拡大を阻むための手練手管の一つになっています。このようなごまかしで、原発の再稼働を許さないようにしなければならないでしょう。