【要約】二酸化炭素などのいわゆる「温室効果ガス」が気候変動、地球温暖化の原因になることはほぼ間違いないこととして認められています。1992年結ばれた「気候変動に関する国際連合枠組条約」は京都議定書により各国の排出削減をとり決めました。しかしアメリカが産業界の自己経済利益のみを追求する考え方に基づきこの削減計画から離脱しました。この利己的態度は内外の批判を浴びています。ヨーロッパの先進国は2005年にすでに2012年目標に近い削減ができています。日本は1990年から2012年の間に6%の削減を義務付けられましたが、先ほど削減どころか増加の計画を発表しました。日本も自然エネルギーの利用などで温室効果ガス排出を削減する必要があります。
「今年は異常ですね」という言葉があいさつ代わりになるほど、異常な気候が続いています。その挨拶の次に出てくるのは「温暖化の影響でしょうか」という言葉です。
地球温暖化という言葉ははじめ疑問を持って受け取られていましたが、今では毎年の気温や気象現象で日々証明されていると考えられています。
国際政治の場でも地球温暖化が確かなものであるとの考えのもとに条約が結ばれ」、対策が考えられています。1992年国連のもとに結ばれた「気候変動に関する国際連合枠組条約」です。
この条約は、大気中の温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素[亜酸化窒素:N2O]など、HFCs、PFCs、SF6)の増加が地球を温暖化し、自然の生態系などに悪影響を及ぼすおそれがあることを、人類共通の関心事であると確認し、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ、現在および将来の気候を保護することを目的とする。気候変動がもたらすさまざまな悪影響を防止するための取り組みの原則、措置などを定めています。
1995年第1回締約国会議以来、その後ほぼ毎年締約国会議が開かれ、今年は第19回締約国会議(COP19と呼ばれる)が開かれました。最近のテレビでフィリッピンの代表が涙ながらに台風被害を訴えたのを覚えていられる方もいると思います。
19回の会議のうち第3回締約国会議(COP3)は日本の京都で開かれました。この時には国ごとの温室効果ガスの削減目標を定める「京都議定書」を採択しました。主な国の削減目標をあげると、2012年までに、1990年の排出量を基準にしてアメリカは7%削減、ヨーロッパ連合は全体8%削減、日本は6%削減、オーストラリアは8%増などです。
発展途上国の自発的参加が見送られ、当初は推進していたアメリカ合衆国も後に受け入れを拒否し離脱しました。ロシアも受け入れの判断を見送っていたため、2004年ごろまでは議定書の発効が行われていない状況でした。
2004年にロシア連邦が批准したため2005年に発効しました。
日本は2002年に国会で承認されました。
先進諸国の中で唯一京都議定書から離脱しているアメリカ合衆国政府は、産業界の自己経済利益のみを追求する考え方に基づき取り組みを拒否しているとの非難を国内外から浴びています。
その後の削減状態をみると、ヨーロッパ先進国では、1990年から2005年の間に、ドイツ 19.5%減少、フランス7.1%減少、イギリス15.4%減少、ヨーロッパ連合全体では4.0%減少と2012年目標に近い削減が進んでいます
京都議定書の削減目標に対する日本政府の取り組みはどうでしょうか。日本は1990年を基準にして6%の削減を義務付けられています。