日々雑記

政治、経済、社会、福祉、芸術など世の中の動きを追い、感想を述べたい

温室効果ガス削減の国際的努力と日本の態度

2013-11-17 18:05:41 | 日記

【要約】二酸化炭素などのいわゆる「温室効果ガス」が気候変動、地球温暖化の原因になることはほぼ間違いないこととして認められています。1992年結ばれた「気候変動に関する国際連合枠組条約」は京都議定書により各国の排出削減をとり決めました。しかしアメリカが産業界の自己経済利益のみを追求する考え方に基づきこの削減計画から離脱しました。この利己的態度は内外の批判を浴びています。ヨーロッパの先進国は2005年にすでに2012年目標に近い削減ができています。日本は1990年から2012年の間に6%の削減を義務付けられましたが、先ほど削減どころか増加の計画を発表しました。日本も自然エネルギーの利用などで温室効果ガス排出を削減する必要があります。

 


「今年は異常ですね」という言葉があいさつ代わりになるほど、異常な気候が続いています。その挨拶の次に出てくるのは「温暖化の影響でしょうか」という言葉です。

地球温暖化という言葉ははじめ疑問を持って受け取られていましたが、今では毎年の気温や気象現象で日々証明されていると考えられています。

国際政治の場でも地球温暖化が確かなものであるとの考えのもとに条約が結ばれ」、対策が考えられています。1992年国連のもとに結ばれた「気候変動に関する国際連合枠組条約です。

この条約は、大気中の温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素[亜酸化窒素:N2O]など、HFCs、PFCs、SF6)の増加が地球を温暖化し、自然の生態系などに悪影響を及ぼすおそれがあることを、人類共通の関心事であると確認し、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ、現在および将来の気候を保護することを目的とする。気候変動がもたらすさまざまな悪影響を防止するための取り組みの原則、措置などを定めています。

1995年第1回締約国会議以来、その後ほぼ毎年締約国会議が開かれ、今年は第19回締約国会議(COP19と呼ばれる)が開かれました。最近のテレビでフィリッピンの代表が涙ながらに台風被害を訴えたのを覚えていられる方もいると思います。

19回の会議のうち第3回締約国会議(COP3)は日本の京都で開かれました。この時には国ごとの温室効果ガスの削減目標を定める「京都議定書」を採択しました。主な国の削減目標をあげると、2012年までに、1990年の排出量を基準にしてアメリカは7%削減、ヨーロッパ連合は全体8%削減、日本は6%削減、オーストラリアは8%増などです。

発展途上国の自発的参加が見送られ、当初は推進していたアメリカ合衆国も後に受け入れを拒否し離脱しました。ロシアも受け入れの判断を見送っていたため、2004年ごろまでは議定書の発効が行われていない状況でした。
2004年にロシア連邦が批准したため2005年に発効しました。
日本は2002年に国会で承認されました。

先進諸国の中で唯一京都議定書から離脱しているアメリカ合衆国政府は、産業界の自己経済利益のみを追求する考え方に基づき取り組みを拒否しているとの非難を国内外から浴びています

その後の削減状態をみると、ヨーロッパ先進国では、1990年から2005年の間に、ドイツ 19.5%減少、フランス7.1%減少、イギリス15.4%減少、ヨーロッパ連合全体では4.0%減少と2012年目標に近い削減が進んでいます

 京都議定書の削減目標に対する日本政府の取り組みはどうでしょうか。日本は1990年を基準にして6%の削減を義務付けられています。

 
安倍内閣は11月15日2020年までに温室効果ガスを2005年を基準にして3.5%減らすという「暫定目標」を発表しました。分かりにくいかもしれませんが、日本の排出量は1990年から2005年の間に7.1%増えています。したがって、今回の目標を1990年を基準に計算すると7.1%増えることになります。2012年までに6%減らす計画っが、2020年までに7.1%増える計画になったのです。まったく逆の計画です。また民主党内閣が25%削減を目標にしたのと比べて大幅な後退となっています。

政府は福島原発事故で火力発電の利用が増えたことを、温室効果ガスを減らせない理由に挙げています。これは歴代自民党政府が自然エネルギー(再生可能エネルギー)利用に力を入れて来なかったことや、低エネルギー社会への取り組みに本腰を入れて来なかったことに対する反省のないものです。温暖化対策を名目に原発の再稼働を迫り、国民を脅迫するものです。

 

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厚労省、運動に押されて、「要支援者」に対するサービス低下を一部撤回

2013-11-16 07:38:54 | 日記

【要約】厚労省は「要支援者」に対するサービスを介護保険から外す方針をとってきました。多くの人たちの反対に押されて方針を一部手直しいてきました。一部サービスを復活したことはよいことですが、政策としてはますます矛盾したものになりました。「要支援者」に対するサービスをすべて復活させるべきです。

 厚生労働省は「要支援者」に対する介護保険サービスを廃止し、市町村の事業に全面的に移す方針をとってきました。これに対し社会福祉関係者や自治体関係者などから多くの反対意見が出ました。

 厚労省は11月14日の社会保障審議会介護保険部会で新しい案を出してきました。それによると訪問看護やリハビリについては介護保険によるサービスを継続するとしています。しかし一方では訪問介護(ホームヘルプ)と通所介護(デイサービス)については、あくまで市町村に移管するとしています。

 また市町村に移す事業についても上限を設け、費用の抑制をする方針を示しています。

 同部会の委員からは「なぜ訪問介護と通所介護のみを外すのか」(結城康博淑徳大学教授)、「地域格差が生まれる上に、ボランティアにサービスができるのか」(内田千恵子日本介護福祉士会副会長)など、さらなる見直しを求める意見が出たということです。また市町村事業の事業費の上限についても「行き過ぎた抑制に繋がるおそれがある」(斉藤秀樹全国老人クラブ連合会理事)、「現在のサービス単価以下では事業者が撤退せざるをえない事態になる」(川原四良日本介護クラフトユニオン顧問)と批判が出たということです。

 14日の社会保障審議会介護保険部会で、厚生労働省が要支援者への保険サービス(予防給付)の全廃を撤回したことは、サービス切り捨てに反対する世論と運動に押されたものであり、いいことです。

 約150万人いる要支援者へのサービスを市町村の事業に丸投げして切り捨てる方針を明示してから2カ月。厚労省が具体的な案を出せば出すほど当事者や自治体の反対意見が広がり、方針の転換を余儀なくされた形です。「要支援外し」の道理のなさが浮かび上がっています。

 しかし訪問看護やリハビリ、訪問入浴介護などは全国一律の保険給付として残さなければ支障をきたすというのなら、訪問介護と通所介護だけを保険給付から外していいという理屈は成り立ちません。14日の介護保険部会でも、この矛盾への疑問が多かったそうです。

 厚労省がなおも訪問介護と通所介護を市町村の事業に委ね、事業者への報酬引き下げやボランティアへの丸投げなどでサービスを切り下げる方向に固執していることは、理に合わないのではないでしょうか。

 40歳以上の国民は、介護や支援の必要性が生じれば保険給付を受けられるという前提で介護保険料を支払い続けています。最も利用頻度の高いサービスだけを途中で保険給付から外すなどという約束違反は、納得できません。

 

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GDPの上昇は本物か?

2013-11-15 11:25:22 | 日記

【要旨】政府はGDP統計を発表し「景気は上向いている」と言っています。しかし、統計の内容をよく見ると、増えたのは、消費税増税の駆け込み需要で住宅投資が増えたのと、公共投資だけです。個人消費は増えていません。国民の収入が増えていないからです。

 


昨日11月14日発表のGDP速報値(7~9月)でによると、国内総生産(GDP)は年1.9%の増加にとどまりました。甘利経済財政相は14日の記者会見で、「内需に底堅さがみられ、景気は引き続き上向いている」と述べました。一部にはアベノミクスの効果が薄れ一服したという論評が行われています。

実態はどうでしょうか。内容を見てみるとはっきりします。GDPの6割を占める「個人消費」は前期比0.1%増、設備投資は0.2%増にとどまりました。輸出は0.6%減少しました。

何が増えたのでしょう。消費増税の駆け込み需要で住宅投資は2.7%増加しました。アベノミクスの大型補正予算の影響で公共投資は6.5%の増加です。住宅投資は来年以降の需要を食いつぶしただけですし、公共投資は安倍内閣の大企業優遇「第二の矢」そのものです。

一方国民に関連したことでは、上に書いたように個人消費は増えていません。潤っていないから買えないのです。

それもそのはずです。家計の所得が減少しているからです。厚生労働省の毎月勤労統計によると、「きまって支払われる給与」は16か月連続で前年を下回っています。大卒初任給も2年連続で下がっています。

これではまだ不況から抜けられるとは思えません。それでもまだ消費税を上げるのでしょうか。社会保障を切り下げるのでしょうか。

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ドイツのエネルギー転換  脱原発、温室効果ガス削減の実現へ

2013-11-12 11:33:14 | 日記

【要約】ドイツの自然エネルギーへの転換の成果を紹介します。日本での脱原発、温室効果ガス削減の参考になると思います

【註】

    1. 自然エネルギー:太陽の光や熱、風、水、地熱など自然の循環から得られるエネルギーのことです。
    2. バイオマス:植物や動物に蓄えられた太陽エネルギー。
    3. 温室効果ガス:二酸化炭素のように地球温暖化の原因となるガス。石炭、石油などの化石燃料を利用する際に大量に発生します。 

ドイツでは早くから自然エネルギーへの転換が進みだしています。

2001年から2011年の10年間の自然エネルギーによる発電容量を比較すると、風力発電は4.8倍、バイオマス発電は11.6倍、太陽光発電は400倍に急拡大しました。
その結果総電力消費に占める自然エネルギーによる発電比率は、2000年に 7%だったものが、2011年には23%と3倍以上になり、国のエネルギー源として大きな位置を占めるようになっています。ちなみに日本では自然エネルギーによる発電比率はわずか1.6%に過ぎません。

エネルギー源の転換によって温室効果ガス削減も目標を超えて進んでいます。

このような実績をもとに、ドイツでは目標を大きく引き上げ、自然エネルギーによる発電の目標を発電容量で、2020年35%に、2030年50%、2040年60%2050年80%と大きく引き上げました。
温室効果ガスも1990比で、2020年40%減、2030年55%減、2040年70%減、2050年80~95%減、という目標を立てました。

このような実績をみると、ドイツの自然エネルギーへの転換は成功ていると言ってよいでしょう。また世界の温室効果ガスの削減と、脱原発という大きな目標に貢献していると考えられます。ドイツの経験は日本での脱原発、温室効果ガス削減のために役立つ貴重な先例となるでしょう。
一方ここには書きませんでしたが、ドイツではエネルギー転換に対する電力会社の抵抗が強いようです。日本でも脱原発に対する原子力村や大企業の抵抗が強くなっています。この点でもドイツの経験が役立つと考えられます

 


上記データは大阪経済大学教授遠州尋美氏の下記の論文から引用しました。

遠州尋美: 「再生可能エネルギー資源法」とその成果 脱原発・脱化石のエネルギー転換実現へ、 前衛 2013年12月号


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原子力施設の全従業員に身辺調査 政府が導入を検討 

2013-11-07 17:52:17 | 日記

【要約】政府は原子力施設で働く従業員に身辺調査制度(適性評価)を導入しようとしています。このような調査は、アメリカ製の濃縮ウランの秘密を守るために、アメリカが強く要求しているものです。憲法違反の適性評価を必要なくするためにも「原子炉ゼロ」が一番いい方法です。


「秘密保護法案」で「秘密」を扱う公務員や軍需産業の従業員に実施される身辺調査制度(適性評価)とほぼ同じ内容の制度(信頼性確認制度)を、原子力施設内で働く従業員にも早期に導入する方向で政府が検討を進めていることがわかりました。原子力規制委員会の「核セキュリティに関する検討会」の議事録から明らかになりました。

同検討会の事務方から示された資料によると、調査項目は「国の利益を害する活動への関与」の有無から信用状態、薬物・アルコールの影響、精神問題での通院歴など多岐に及び、「秘密保護法案」の「適性評価」とほぼ同じ内容。治安当局(公安警察)が収集した従業員の個人情報への照会が制度の前提となっています。

原発従業員に対するこのような調査はアメリカが日本に求めていたものでした。
内部告発サイト「ウィキリークス」が2011年5月に公開した在日米大使館の公電によれば、核テロリズムを主題とした会合で米エネルギー省の幹部が文部科学省原子力安全課に、「核セキュリティー(安全保障)」の観点から、日本の原発施設内に出入りするすべての従業員に、憲法違反の「適性評価」を義務づけるよう求めていたことが分かりました。

米秘密公電には、こう記されています。「文科省は、米側が原発の機密区域に立ち入る全労働者の身辺調査を求めたことについてこう述べた。いくつかの原発では自主的に従業員の調査を行っているが、全労働者を対象にするのは難しい。日本政府は憲法上、そのような調査を行うことを回避しており、日本社会でのきわめて微妙なプライバシーに関する問題がわき起こらないようにしている。しかしながら、日本政府は“非公式”なら行うことができるかもしれない」

最近の政府の動きは2011年には慎重だった調査に対して、あらためて積極的に動き出したことを示しています。

 アメリカが日本に対して憲法違反の調査を要求する根拠は何でしょうか。日本国内で使用されている濃縮ウランの7割以上は米国産ですが、米国は日米原子力協定に基づき、「国家安全保障上の理由」から、いつでも濃縮ウランを引き揚げる権利を有しています。秘密保護法ができれば、米国が「テロ防止」などを理由に重要な原発情報を「特定秘密」に指定するよう要求するのは目に見えています。

ここでもまた秘密保護法と原発問題は結び付いています。日本が原発を稼働し続ける限りアメリカの濃縮ウランを使わざるを得ません。そうしてアメリカの濃縮ウランを使う限りアメリカの要求に従うという構造になっています。

このような呪縛から解放されるためには「原発ゼロ」を選択するのが一番いいのではないでしょうか。

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