日々雑記

政治、経済、社会、福祉、芸術など世の中の動きを追い、感想を述べたい

安倍晋三氏の真珠湾演説 私には納得できない

2016-12-28 21:59:38 | 政治

今日朝起きるとラジオから流れだしたのは安倍総理の声だった。真珠湾の光景と日本海軍の奇襲攻撃の際に繰り広げられたと思われる悲惨な光景の描写から始まる演説は立派な演説に聞こえた。しかし聞き進むうちに私の心は違和感に耐えられなくなってきた。

美しい言葉を並べれば並べるほどその薄っぺらさが目立つ。内容がない言葉は聞いている私の心をいらだたせる。

私をいらだたせた第一の点は、真珠湾奇襲攻撃の残酷さ、悲惨さをいくら述べ立ててもその攻撃が誰によって行われたか、太平洋戦争がなぜ起こったのか一言も述べないところにある。安倍晋三氏には太平洋戦争は自然現象として起こり、人間はその被害を嘆く以外に方法がないものに見えるのだろうか。

歴史はこう語ります。真珠湾奇襲攻撃は、日本が周到に計画して行ったものです。

日本は中国を侵略し、中国東北部に「満洲帝国」という傀儡政権を作り、事実上の植民地にしました。アメリカは「中国から手を引け」と要求しました。これに反発して日本が起こしたのが太平洋戦争です。日本は中国侵略を完成すべく太平洋戦争を起こしました。さらにこの戦争は、日独伊同盟をもとに世界征服を目指したものでした。繰り返して言えば太平洋戦争は日本の起こした侵略戦争だったのです。このことを指摘しなければ、真珠湾に沈んだ兵士たちの「慰霊」にはならないでしょう。

さらに言えば太平洋戦争で日本の侵略にさらされ苦難の歴史を歩んだ中国、朝鮮半島の人々をはじめとするアジアの人々は、この演説に決して納得しないでしょう。日本の総理大臣はアメリカに行って「寛容」をたたえるより前に、生易しいことでは許してもらえないアジアの国々を訪ねるべきだったと思います。

安倍首相は彼の敬愛する祖父、岸信介元首相に遠慮したのかもしれません。岸信介氏は満州国総務庁次長として傀儡帝国、「満州帝国」経営の中心にいた人物です。総務庁次長といえば、これを現代の日本の官制と乱暴な比較をすれば総理大臣にもあたる地位です。さらに太平洋戦争中は、この戦争を起こした第一の責任者東条英機総理のもとで商工大臣を務めた人です。もし安倍首相が祖父に遠慮したのならば、そんな人は日本国の総理大臣を務めてはいけない人でしょう。

日本と一緒になって世界征服を目指した国ドイツで第二次大戦後に大統領になったワイツゼッカー氏は、ナチス時代にドイツが行ったことに目をつぶろうとする人たちに対して「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです。」といましめています。安倍首相に味わあせたい言葉です。

安倍首相の演説にはいろいろと指摘しなければならないことがありますが、もう一つ指摘しておきましょう。それは彼の言う「未来志向」の日米関係です。首相は現在と未来を「日米同盟」だと言っています。「日米同盟」は軍事同盟です。日本とアメリカの「未来」をどうして「軍事同盟」に結び付けるのでしょうか。どうして平和な世界に結び付けようとしないのでしょうか。悲しすぎます。大多数の日本人は太平洋戦争の最大の教訓として「平和主義」をとりました。そうして憲法九条を作り、守ってきました。この演説の中でいうならば、「世界から戦争をなくすために協力していきましょう」とか、せめて「核兵器をなくすために頑張りましょう」とか言えないものでしょうか。そんなことも言えないならば、同じ演説の中の「戦後70年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たち日本人は、静かな誇りを感じながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります。」という言葉は何なのでしょうか.

 

 

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日ロ首脳会談はどこから見ても失敗だ

2016-12-17 10:57:56 | 政治

今回の日ロ会談ははじめから変な交渉でした。巌流島の宮本武蔵よろしく三時間近くも遅れて到着しながら平然とふるまうプーチン大統領、これに対し安倍首相は「信頼」関係の確立と「経済協力」こそ領土問題の解決に役立つという主張でした。しかし終わってみると、「共同宣言」すら出せないとんでもないことになっていました。

「経済協力」は交渉を開始することになりましたが、ロシア側は以前から「ロシアの主権の下で」行われる経済協力だと言っています。これでは多くの人が危惧するように「四島」を含め千島にロシアの支配を固定化するのに役立つでしょう。

日本の念願だった「北方領土」の返還はできませんでした。プーチン大統領は領土問題に関して何一つ言質を与えませんでした。

もともと千島は1875年の「樺太・千島交換条約」によって平和的に日本領になったところです。決して侵略によって奪ったものではありません。太平洋戦争の末期に軍事力で奪い取ったのはロシアのほうです。堂々と返還を要求するべきでしょう。

ロシアとの経済協力を進めることは、これまで日本がウクライナ問題でとってきた態度とも矛盾するものです。日本は、ロシアのウクライナへの軍事介入に対する経済制裁に参加しています。今年の「伊勢志摩サミット」の首脳宣言に議長としてロシアへの制裁の再確認を盛り込ませたのは安倍首相自身です。今回の首脳会談の結果は「伊勢志摩サミット」の宣言に反するものではないでしょうか。

どこから見ても今回の日ロ首脳会談は失敗というべきでしょう。

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電力総連が原発署名 再稼働 もんじゅ活用… 集会で気勢/社内で回覧 「しんぶん赤旗」の記事から 

2016-12-12 13:53:18 | 政治

11日付けの「しんぶん赤旗」によると電力会社の労働組合である電力総連が「原発再稼働の促進」「もんじゅ活用」「原子が規制行政の刷新」などを求める署名を行っているそうです。

以下は同紙の記事です。

電力会社の労働組合である電力総連が「原発再稼働の促進」「もんじゅ活用」「原子が規制行政の刷新」などを求める署名を全国の加盟単組の組合員に呼びかけていることが10日までに、本紙の調べで分かりました。労働者らからは「電力総連が原発推進署名を集めるなんて聞いたことがない」「異常だ」と批判があがっています。

 署名を主導しているのは「一般社団法人原子力国民会議」など。原発推進団体です。同会によると同趣旨の署名に取り組むのは初めて。1日に都内で開いた「原子力集約全国大会」で採択した声明文の賛同署名として呼びかけたといいます。協力したのは電力総連や全国の商工会など。1日時点で約20万人分が集まり、政府に提出する予定だといいます。

 本紙が入手した九州総連の指示文書には「組合員とその家族を対象に」「組合員の半数以上を目標に最大限のご協力を」とあります。九州総連は同文書について認め「署名は電力総連からの協力要請をうけたもの。社内で組合員に呼びかけた」といいます。

 声明書の内容は四つ。(1)原発再稼働の促進(2)もんじゅ活用と核燃料サイクルの確立(3)原子炉等規制法の改正(4)原子力規制行政の刷新―です。「原子力発電所なしにはわが国は成り立っていきません」「政府は不退転の覚悟であらゆる手段を尽くして再稼働を促進すべきであり、原子力規制委員会も適合審査を加速すべき」だと迫っています。

“原発ありき”

 関西電力OBの男性は「関電でも現役労働者に呼びかけられていることを確認しています。電力総連が組合員に署名を呼びかける、ましてや原発推進の署名なんて聞いたことがない。異常です。社内で回覧したら業務命令と同じ。疑問を持っていても断れない。原発稼働なしで電力はあまっている状況で、なりふり構わない“原発ありき”の動きだ」といいます。

 1日の「原子力集約全国大会」には約600人が参加。平日昼間にもかかわらず30代から50代のスーツ姿の男性ばかり。ある男性は「電力会社の社員」といいます。終了後の廊下では「今から社に戻るよ」という会話も。

 細田博之・自民党総務会長はじめ自民党の国会議員、学者、原発立地自治体の首長らが出席。「ここからがスタート」「草の根で対話広げている」といった決意表明や原発の“有効性や安全性”の解説がつづきました。

労組員を動員

 労働組合を動員した原発推進運動に、北海道電力OBで原発の問題点を訴えている男性は「原発推進派の焦り」を指摘します。原発ゼロの運動は全国でつづき、どの世論調査でも原発再稼働反対は5割を超えます。

 男性はいいます。「破綻が明らかな核燃料サイクル政策にしがみつき、原発再稼働に固執している。福島第1原発事故は今も収束のめどがたたず、8万人以上が避難生活を送っている。賠償、除染、廃炉などの処理費用は現段階で約22兆円にも上る。この事実を力総連はどう考えているのか


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12月8日は開戦記念日(1) 「開戦の詔勅」に見る明治憲法の恐ろしさ

2016-12-10 16:19:43 | 政治

少し遅れてしまいましたが、12月8日。いつもは忘れていてもその日が来ると必ず思い出す日です。昭和16年12月8日は太平洋戦争が始まった日です。

この日に出た天皇の「開戦の詔勅」、若い読者の多くが読んだことがないと思いますので冒頭部分を現代語訳と一緒に紹介しましょう。

(「開戦の詔勅」の冒頭部分)

天佑ヲ保有シ萬世一系ノ皇祚(こうぞ)ヲ踐メル大日本帝國天皇ハ昭ニ忠誠勇武ナル汝有衆ニ示ス朕茲ニ米國及英國ニ対シテ戰ヲ宣ス朕カ陸海將兵ハ全力ヲ奮テ交戰ニ從事シ朕カ百僚有司ハ勵精職務ヲ奉行シ朕カ衆庶ハ各々其ノ本分ヲ盡シ億兆一心國家ノ總力ヲ擧ケテ征戰ノ目的ヲ達成スルニ遺算ナカラムコトヲ期セヨ(後略)

(現代語訳)

神々のご加護を保有し、万世一系の皇位を継ぐ大日本帝国天皇は、忠実で勇敢な汝ら臣民にはっきりと示す。私はここに、米国及び英国に対して宣戦を布告する。私の陸海軍将兵は、全力を奮って交戦に従事し、私のすべての政府関係者はつとめに励んで職務に身をささげ、私の国民はおのおのその本分をつくし、一億の心をひとつにして国家の総力を挙げこの戦争の目的を達成するために手ちがいのないようにせよ。(後略)

  • 原文は難しい文章ですが、現在語訳で読むとすぐわかるように、詔勅とは国民に対する天皇(君主)の命令書です。天皇はアメリカとイギリスに対して戦争を始めたから、「すべての国民は・・・総力を挙げこの戦争の目的を達成」せよと命令しているのです。当時の憲法では天皇の命令は絶対で、違反することは許されませんでした。しかも「総力を挙げこの戦争の目的を達成」せよというのですから「死んでも勝つまで戦え」という命令です。
    今の憲法では天皇は元首ではありませんから、こんな命令を出すことはできません。国政の大事なことは国民の代表による国会が決めることになっています。
  • それに、たとえ国会であっても戦争を始めることはできません。戦争放棄を定めた憲法9条があるからです。
  • また戦争を始めたとしても、現在の憲法では、国民に対して「死んでも勝つまで戦え」などと命令することはできません。憲法で「平和的生存権」「職業選択の自由」「苦役からの自由」などの基本的人権の尊重が定められているからです。

 

私たちは戦前に比べると素晴らしい時代に生きていると言えます。この憲法を戦前に戻そうとしている人がいます。自由民主党の人たちです。私は天皇の命令で戦争に行かされるのはごめんです。

まさか私のような高齢者を兵隊にすることはないでしょうが、私の子や孫は行かされるかもしれません。そればかりか、現代の戦争は兵隊だけが戦うものではありません。太平洋戦争でも空襲で多くの人が殺されました。その後世界に起こったどの戦争でも兵隊でない国民が大勢殺されていることは新聞を見るとすぐにわかります。

国際紛争を戦争などという野蛮な方法で解決するのではなく、国際法と外交交渉で解決するような世の中にしなければならないと思います。

コメント (2)
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