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音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

レミニセンス・バンプ(回想の隆起) その3

2021-01-28 07:25:07 | 研究関連
 今回はレミニセンス・バンプ(reminiscence bump)の研究についてです

 自伝的記憶は認知心理学の中で「人が経験した出来事に関する記憶」と言われ、
 1970年代以降に研究がアメリカで始まりました。
 その中でも*Rubin,Wetzler,&Nebes,1986のバンプ研究が始まりだと言われています。
  *Rubin,D.C.,Wetzler,A.E.,&Nebes,R.D.(1986):
  Autobiographical memory across the lifespan.
  In D.C.Rubin (Ed.), Autobiographical memory. Cambridge University

  D.C.Rubinは1986年以降も継続して研究されており、
  以下*に1986年~1997年までの多くの研究がまとめて記されています。
  *Memory & Cognition 1998 の
  『Things learned in early adulthood are remembered best 』

  日本では2000年以降に佐藤浩一さん、仲真紀子さん、槙洋一さん他の
  多くの人が研究継続されています。
  心理学研究2006年 第77巻 第4号に発表された
  『高齢者の自伝的記憶におけるバンプと記憶内容』はネットで読むことができます。

  『なつかしい音楽の時間的分布』2018.瀧川真也
   20才代~60才代におけるなつかしい音楽のバンプを
   グラフで示されており、分かり易いです。
  『大学生と中高齢者の「忘れがたい音楽」に対する感情体験』2019.正田悠
   嬉しい、悲しい、懐かしいなどの感情を探索的因子として分析されており、
   年代を重ねるにつれ涙感がポジティブな感情へと変容していくことを示唆しています。

  研究において手がかり語法(音楽であれば、何曲かの音楽を予め手がかりとして
  提示します)を使用することも多くあり、記述式の分析の難しさを感じます。
  ただ、記述式にすると内容に個別性の高い思い出が記され、人生に深く関わってきた
  音楽の存在がより一層明らかになると考えています。
  
  個人的には家族の老親二人が認知症を患い、特に義母に関わってきた多くの経験と
  認知症の人への音楽療法の臨床が研究への始まりに繋がっています。
  現在患っている認知症の人、ご家族、関係者の皆様に音楽を利用することによって
  少しでも心安らぎ、穏やかなひと時になり、大切な人生の思い出話に音楽が寄り添える
  ことを願っています
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