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音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

8月のプランを考えながら・・♬

2025-07-27 07:07:13 | 音楽療法実践
7月の京都では祇園祭一色のひと月といっても過言ではないほどの熱量が関係者から伝わってきます。
7月21日が海の日、8月11日が山の日の記念日になっており、それぞれ海と山に関する
音楽をメインに入れた音楽療法のプランになります

偶然ラジオで聞いた海の音作りの話から、柳行李(やなぎごうり)と言われる衣装箱に
小豆を入れて回すと素晴らしい波の音が作られることを知りました。
古い昔の家で無い限り、柳行李は残っていませんが、少し大きめの段ボールに小豆を
入れてもかなり感じの良い波の音になります。
海の音楽はこの波の音が主役です

余程の大人数で無い限り、皆様おひとりお一人に体験していただくことが出来ます。
軽いことと手に響いてくる感覚と同時に波の音を作りだしている体験を楽しまれている
様子が非日常ですが、楽しまれている様子が伝わってきます。
その波の音をBGMに歌唱することを共有できるひと時は素敵だと感じています。

7月も終わりに近づき、昨日から高齢者施設における8月の山のプランを考えているところです
山を楽しむ曲も多く、皆様と共有できる歌の選曲になります。
筆頭は世界文化遺産の「富士の山」、歌詞に水芭蕉が入っている「夏の思い出」、
軽運動とともに「アルプス一万尺」、輪唱を楽しむ「静かな湖畔」、ヒット曲の「山小舎の灯」、
民謡の「木曽節」、関西では欠かせない「六甲おろし」等々

上記の曲の中でも私のイチ押しは「木曽節」です。多くの民謡の中でも鳴り物が無いという
特徴があり、山々に響く歌声だけを想像しながら歌うことになります。
島崎藤村の『夜明け前』の始まりに、「木曽路はすべて山の中である。・・」と書かれていますが
まさにその風景を想像しながらになります。
昭和9年にラジオ放送されたことから全国的に知られ、当時は「品のある民謡」と紹介されたようです。
替え歌として盛んに楽しまれたことが分かる歌詞も面白く、皆様と即興で作ることも可能です。

日本は海に囲まれ、山が多い国です。
皆様の思い出に寄り添いながら、季節のひと時を楽しむ8月になればと願っています

思い出深いリクエスト曲による「心の対面」

2025-07-16 07:09:55 | 音楽療法実践
今朝も早朝6時半過ぎ頃からセミが鳴き始めており、青い空と白い雲の景色とともに
真夏の雰囲気が充満しています

音楽療法の実践先は様々ですが、認知症含む高齢者を対象とした研究を主にしてから
施設訪問、地域活動、個人宅訪問、予防型診療所訪問などをお訪ねしています
グループホームや地域活動などは9名~10数名の対象になりますので、お一人おひとりと
関わりを持ちながら進行し、現場関係者も2,3人おられますので経過と結果を共有する
ことができることになります。

前回の参加された人から、「天照大御神の歌はご存知でしょうか?父との思い出があり
もしご存知でしたら教えていただきたいのですが・・・」というリクエストがありました。
実践では歌唱したことが無く、頭の片隅の記憶にはそのような歌があったように思いましたが、
先ずは自宅の資料を探してみました。

尋常小学唱歌の古本の1年~6年までの目次を見ていくと、『文部省 新訂尋常小学唱歌
第六学年用』に「天照大神」の歌として掲載されていました。
他には、「朧月夜」「我は海の子」「故郷」など現在も歌い継がれている曲もありますが、
「明治天皇御製」「日本海海戦」「出征兵士」などの戦前を歌う曲も多く掲載されています

個人の思い出に音楽が関わっていることが多いことは研究からも実践からも理解しています。
いつもおひとりの思い出に寄り添う音楽療法の関わりを大切にしたいと思っています。
お父様との様々な思い出が「天照大神」という曲を通し、あらためて新鮮な記憶として上書きされて、
「心の対面」が叶ったように感じました。感謝される笑顔は幸せの連鎖になります

今読んでいる『なぜ ヒトだけが幸せになれないのか』(小林武彦・講談社現代新書・2025)から・・。
‘人生の終盤を迎えたヒトは、死との物理的な距離が短くなっているにもかかわらず、
落ち込んだりしていることななく、逆に自己肯定的で他者に対する感謝や利他的な精神に
あふれてくるというものです(1989年にスウェーデンの社会学者ラルス・トルンスタム氏の提唱)’

その自己肯定感には、自分の長い人生にまつわる思い出が想像以上に巡っているのでは・・、
と思います。その中で音楽とのつながりが多くあった社会だったように感じています

真夏のプラン作りを楽しみながら・・♫

2025-07-01 16:37:15 | 音楽療法実践
猛暑の七月に入りました
先週、長年訪問している中では初めての土砂降りを経験し、駐車場まで荷物を取りに
来ていただく程になった仕事を終え、田舎へ帰りました。
雨上がりの時の方が土が柔らかく、手伝いがし易いことが多いと思ったのですが、
予想以上に降って、道路は洪水のようになっており、足元の靴もぐちゃぐちゃに
なってしまいました

吉野川の増水もさることながら、近くの小川がもの凄い音をたてて流れており、
恐怖さえ感じました。自然の脅威をあらためて感じた一日でした。
翌日は少し穏やかになり、畑の手伝いをしながら夕方に休憩をしていると、ウグイスの美しい
鳴き声とお寺の鐘の音、地域に放送される‘夕焼け小焼け’のメロディが重なって
田舎らしいBGMに包まれ癒されました

今日から暑い七月になり、真夏のプランを考える時になりました。
夏の季節ならではの音楽、日本や地域のニュースを共有できる音楽、伝承されてきた音楽、
涼しさや夏を感じながら奏する音色など、ご一緒する皆様の様子を想像しながらの
プランニングになります

山開き、海開きのニュースも入ってきます。日本は海に囲まれた国ですので、各地の
海にまつわる音楽も楽しみになります。
懐かしい音楽からの回想、日常生活では馴染みがないじっくり鑑賞する音楽のひと時、
一人ひとりが楽器を体験しながら歌唱することも楽しみにしていただけたらと思います。

真夏の「今、このひと時」をご一緒する選曲を楽しんでいます

季節に合わせた体験型音楽療法♫

2025-06-18 11:15:59 | 音楽療法実践
春から夏へのプログラムの中で、季節に関係する実物(植物、食べ物)や想起する楽器の音色を通して
季節を共有するなど、体験から回想へと繋がるひと時になります

先月は採りたてのスカンポ(イタドリ)から、多くの懐かしい豊かな回想語りになるとともに
スカンポ笛の音色を楽しむことになりました。笛の音色は少しずつ短く切っていくと
音階が変わり、ライブな旬の時を共有していただきました。
食から遊び、「スカンポの咲く頃」の歌、さらには楽器の音色へと実物のスカンポが
豊かな広がりをみせ、この季節には欠かせません。

「茶摘み」はお茶の香りと共に、現行教科書(3年)掲載の見事な茶畑をお見せしながら手遊びへと繋がり、
枇杷が食べ頃の今の時期は、「ゆりかごの上に 枇杷の実がゆれるよ~」の歌と共に
トーンチャイムの優しい音色を入れながら季節感を満喫します

インドネシアの楽器としてお譲りいただいた「アンクルン」をカエルの鳴き声に似せて
「カエルの合唱」の音階としてお一人ずつ演奏していただき、その後の輪唱へと繋ぎます。
カエルの形をした楽器のギロを紹介しながら、少し難しい体験をしていただきます。
大阪・関西万博も開催されていることから、インドネシアの地図を見ながら国の話題も
共有しながらの進行になります。

更に、今の季節の話題として、ホタルは欠かせません。多くの皆様が昔は沢山いたことを回想し、
ホタルの儚い光を日本音階の楽器(ベル又はトーンチャイム)で「ホタル来い」を自由に表現していただきます
自然界とは異なり、お行儀の良いホタルになってしまい、笑いに繋がります。

最後に来月の「七夕さま」に因んで、願い事を心に秘めながらキラキラしたツリーチャイムの音色を奏でます。
編曲された素敵なハーモニーの演奏とともに別世界へと誘われていきます

豊かな自然にまつわる音楽を楽しみ、楽器の音色から季節感を味わい、回想語りが共有される
居心地の良さは職員さん始め、ボランティアさん、演奏者と共に、地域から参加されている
皆様の表情から伝わってきます。

毎年季節の変化はありますが、「今の旬」の季節を多様な音楽の要素で楽しみたいものです

25年目に入ったパーキンソン病患者の音楽療法♬

2025-06-03 06:18:37 | 音楽療法実践
2000年7月に奈良県郡山保健所が「パーキンソン病患者の支援」を広報で呼びかけ、
参加した市民に8月と9月にパーキンソン病の医療講演会、音楽療法など4回の講座が
開催されました。

友人のお父さんがパーキンソン病だったこともありますが、私には音楽療法の実践講座を
受講できることが参加につながりました。既に京都などの音楽療法に関する講座を受講して
いましたが、同年11月に長良川国際会議場で開催されたバイオミュージック学会に参加する
大きな動機づけになりました。(翌年2001年に日本音楽療法学会が設立されました)

京都大学のパーキンソン病iPS細胞研究によって将来の希望に繋がってきていますが、
さらに多くの治験を経て、2030年までに実用化したいと研究者は述べられています。
患者さんとご家族さんの待ち望んでおられるお気持ちを察するばかりです。

保健所が呼びかけた支援活動の中に音楽療法を継続できたのは、多くの保健師さんの
ご理解、ご協力、ご支援のお蔭があってのことと、心よりお礼を申し上げたい気持ちです。
ただ、難病が増加して保健師さんの業務が増えたことから、2007年度から保健所の直接支援が
無くなり、自主組織として継続されることになりました。

奈良市保健所、奈良県葛城保健所(当時名)などからご依頼を受け、グループとして参加
してきました。何も楽器が無い時に、複数の福祉財団からご支援をいただき、現在も患者さんと
ご家族さんご参加の音楽療法に利用しており、感謝の気持ちでいっぱいです。
多くの皆様のご支援が継続されてきて、25年目の活動に入っています。

参加人数こそは減少してきましたが、参加者全員がアットホームな雰囲気を感じながら
活動できていることに不思議な感覚さえ覚えるほどです。
先日の音楽療法の集いでは、パーキンソン病の特徴でもある逆説動作に関連する身体的な
内容をメインとし、呼吸から発語、全身運動、和太鼓やトーンチャイム活動を入れました

一人では出来ない活動としての輪唱、一人ずつ担当するメロディ演奏があり、全員が楽しむ運動として
「天国と地獄」のBGMピアノ演奏とともに玉入れをしました。前日に近くの小学校が運動会を
開催していたこともあり、今では季節の活動としても取り入れることが出来ます

歌唱、楽器活動、身体運動、季節活動を楽しみながらの一時間半でしたが、25年目に入った
活動として音楽療法が継続されていることに感慨深い想いでいっぱいです

バラの季節

2025-05-21 06:24:00 | 音楽療法実践
曇り空でしたが今朝も散歩をしていると、あちらこちらの家の庭に咲いている色とりどりの満開のバラが出迎えてくれていました。
淡い黄色、オレンジ色、紫色、白色、真っ赤な色など本当に多様な色のバラがあることを知ります。
咲き始めの5月中頃からの実践では、「バラ」にまつわる音楽を幾つか準備しながらその場で選択することになりますが、
ウェルナーとシューベルト作曲の「野ばら」は歌曲としては短く、馴染み深いメロディなので使用することが多いです

ウェルナー(1800~1833)とシューベルト(1797~1828)は古典派に属したベートーヴェンの後に続き、ロマン派への移行期の時の
作曲家だと言われています。特にシューベルトは「歌曲の王」と教科書に掲載されています。
二人とも30才代前半に亡くなっており、作曲活動がどれほど活発に行われていたのかが分かります。因みに日本は江戸時代です。
ゲーテの歌詞にウェルナーとシューベルトが曲をつけた「野ばら」は歌唱以外にピアノやオカリナなどの鑑賞曲としても楽しめますので、
活動的な曲の後のクールダウンを兼ねた素敵な雰囲気を共有していただくことになります。
カラフルで手触りのよいスカーフを手に取って活動に利用することもあります。

地域のバラ園においても満開で見頃だというニュースが流れています。
先日田舎へ帰った時に、途中で少しだけ道を外れた所に個人でバラ園を開放されており寄ってみました
思ったより奥行がある広い場所で多くのバラが見事に咲いていました。
遠くに葛城山と金剛山も見えるという借景も楽しみながら、五感を通して堪能してきました(以下、写真)

今朝の散歩道で、早朝から田植えの準備をされている何人かの人に出会いました。
耕されてほっこりとした土が広がる田の横には植えるばかりの苗の緑色が映えていました。
バラだけではなく薄い緑色のつぼみが沢山なっている紫陽花も見つけ、次から次へとすれ違うように季節感を楽しめます











卯の花から始まる『夏は来ぬ』♬

2025-05-20 21:06:32 | 音楽療法実践
1.卯の花の匂う垣根に 時鳥(ホトトギス)早も来鳴きて 
                        忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ

2.さみだれの注ぐ山田に 早乙女が裳裾ぬらして 玉苗植うる 夏は来ぬ

5番までの季節感あふれる歌詞と穏やかなメロディが心地良さを共有しますが、
明治29年の『新編教育唱歌集(五)』から多くの人に親しまれてきた唱歌です。
あちらこちらで田植えの準備が進んでいるのを見ると思わず口ずさむ歌です

今朝の散歩中に「卯の花」を見つけて写真に撮り、早速音楽療法に参加された皆様に
見ていただきました。「そうそう、この花だよね」「あら、この花が卯の花なのね」・・・、
今は便利なスマホが即活躍してくれます。(以下、写真)

最後のスカンポとして持参しましたが、参加者の中で最高齢93才の人は「イタドリやね」
「くるくる回る水車で遊んだよ」「よく食べたね~」等、懐かしい話に笑顔が溢れます。
終了後に職員さんから、「目がキラキラして参加されていましたね~」の言葉があり、
同感して共有しました。

地域で暮らす高齢者を支える活動としての音楽療法のひと時ですが、軽運動から
始まり、和太鼓や小物楽器の活動、歌唱などと共に、回想する会話を共有することも
大切にしたいと思っています。若い職員さんに伝承する役割もあります。
支える活動というより、「居心地の良い音楽のある場に声をかけあって集う」という
ひとつの社会の姿だと感じています


やっぱり、スカンポ(イタドリ)は凄い!

2025-05-17 06:57:11 | 音楽療法実践
普段散歩したり、目に見えたりする所のスカンポは既に大きく成長していますが、
田舎の日が当たらない谷底が見えるような所では、まだスカンポが採れます。
吉野のそんな場所で見つけたスカンポを是非皆様に見ていただきたく持参しました。
この季節だからこそ!であり、五感を豊かに刺激しながらお互いに会話が弾みます。

有料老人ホームでお元気な人が自主的に参加されており、音楽ホールならではの
天井が高く、音響が良い場所で開催しています。
お互いにおしゃべりしながら自由に参加されていますが、始めに会場の椅子などの準備を
していただいていた職員さん3人にスカンポをお見せしました。
30~40才代かと思いますが、どなたも御存知ありませんでした。

ただ、参加の皆様はすぐに「スカンポやわ」「イタドリね」「懐かしいわぁ」等々・・・
やはり予想通り、会話が格段に増えてお互いのコミュニケーションが賑やかになり、
若い職員さんに伝承するひと時にもなりました。
さらに、北原白秋が作詞した「スカンポの咲くころ」と言う童謡を演奏と歌で紹介すると、
「それは知らないわ」「初めて聞くわ」「北原白秋の詩なのね」等々・・・。

北原白秋作詞、山田耕筰作曲、『スカンポの咲くころ』はYouTubeでも聞かれます
‘北原白秋童謡詩集第2章:子供の村’(大正14年)に掲載されており、
白秋が40才頃は長女が生まれた頃であり、3年ほど前には長男が生まれていますので
子供たちと賑やかに過ごしていた時期だと想像できます。
土手にはスカンポが咲いており、皆が「ポンッ」という気持ちの良い音で採り、皮を剥いて
食していた風景が普通にあった時代だと思われます。

今では食すのが珍しくなってしまい、和食処の先付けにだされると驚くほどです。
皆様からは料理された話も聞かれ、塩に漬けたとか炒めたとか・・、賑やかな話題です。
本当はさらに節の箇所をナイフで切ってスカンポ笛も聞いていただきたかったのですが、
3日ほど経っていましたのでしなびてしまい、笛にはなりませんでした。残念・・・

終了後もスカンポにまつわる話題が続き、この季節ならではのひと時になりました。
先月も100才近い男性がスカンポを見た瞬間に多くの思い出を話されて感動しました。
珍しい楽器体験は勿論、実物を触ったり見たりする『百聞は一「験」に如かず』の効果を感じています。
やはり、この季節ならではのスカンポは凄い!です

風薫る五月の音楽療法♬

2025-05-08 16:12:54 | 音楽療法実践
風薫る五月の爽やかな日々を、連休はさんで堪能しております。
田舎では小さな花々があちらこちらに咲き始めるなか、毎年恒例の軒下に
燕の巣が出来て親燕が餌を運んできます。微笑ましい鳴き声は今年も大歓迎です

畑の主は今年始めに帯状疱疹で寝込んでしまったので、伸び放題の草に唖然と
しながらも、気持ちを持ち直して少しずつ土地を整え始めています。
収穫したばかりの野菜の美味しさに勝るものは無く、気持ちだけエールを送っています。

吉野の千本桜は全国的に有名ですが、私はこの新緑の時期の奥吉野が大好きです。
つい最近も行きましたが、帰省した家族の希望で再度行くことになりました。
片側は谷底、反対側は山がそびえる細い山道を一人ずつがゆっくり歩いて行く雰囲気を
皆で楽しみながら快晴の奥吉野を楽しんできました

歴史にも多くの出来事が残されている吉野ですが、それぞれが想いを馳せるひと時も
味わい深いものがあります。数名の人とすれ違うほどで、じっくりと遠くの多様な緑の
素敵な景色を楽しむことができます。認識する緑色の種類は数えきれない程です。

高齢者を対象にする5月の音楽療法では季節感を感じる「茶摘み」から始まり、「チャッキリ節」、
子どもの日の「鯉のぼり」、母の日を感じる「みかんの花咲く丘」「肩たたき」、奈良公園で2日に誕生した
鹿の赤ちゃんに因んで「小鹿のバンビ」、もうすぐ春バラの見頃を迎えることから「野ばら」、
心軽やかなリズムを感じる「オーシャンゼリゼ」などの鑑賞も入れたいと思っています

一年で最も心地よい爽やかな日々を音楽と共に存分に味わいたいものです



やっぱり、今年もスカンポは楽しい♫

2025-04-24 21:14:23 | 音楽療法実践
大正14年7月の童謡誌『赤い鳥』の歌として「酸模(スカンポ)の咲く頃」が掲載されています
 *『日本の歌』 野ばら社 1984年初版

 ♪土手のスカンポ(酸模) ジャワさらさ(更紗) 昼は蛍がねんねする
     僕ら小学尋常科 今朝も通って またもどる 
        スカンポスカンポ 川のふち 夏が来た来た ドレミファソ

関西でこの歌を御存知な人はそんなに多くはないと感じていますが、スカンポが採れる
この季節の歌として欠かせないので、僅かな期間だけの「旬のスカンポ」を収穫して
持参することを毎年楽しみにしています。

歌とは異なり、殆どの人が実物を見るだけで、「スカンポや」「イタドリちゃう」「イタンボやん」
「土手にあったね」「塩つけて食べてた」「子供のころに食べた」「水車にもなるで」・・・
地域や行政の音楽療法だけではなく、認知症グループホームでも多くの皆様が懐かしく話され、
毎年ですが、若い職員さんはその反応に驚かれることになります。
スカンポは置いて帰りますので、後で皆様から多くの懐かしい話を聞かれることでしょう。

若い世代へ語り継がれる伝承文化として、五感を豊かにするスカンポは楽しいです。
途中から参加された98才の男性は。スカンポを見るなり笑顔で懐かしそうに多くを語られました。
季節ならではの実物は、子供のころの懐かしい思い出が蘇り、饒舌に語られることに繋がります。
亡き義父が楽し気に話したスカンポ話のひと時を思い出します。

田舎の庭にあったスカンポは既に伸びすぎて固くなっていましたが、節ごとに切って鳴らす
スカンポ笛には最適で、実際にその場で少しずつ切りながら笛の音程を楽しみます。
音の変化は驚きの声とともに拍手までおきる反応があります。

さらに、歌詞は北原白秋さんで作曲は山田耕筰さんをお伝えすると、やはり多くの人から
驚きの反応があります。大正7年から始まったといわれる‘童謡運動’に関わられた二人です。
元々、子供向けに文学的な作品の詩を作ることから始まりましたが、創刊者の鈴木三重吉の
紹介で出会った二人が作った歌は反響が大きかったようで、20年以上の付き合いになって
いくことになります。一流の詩人と作曲家の二人が「この道」「からたちの花」などを発表して、
童謡のジャンルを確立し、発展させていきました

調べてみると、この‘スカンポの咲く頃’は北原白秋さんが40才の頃に発表されており、
ちょうど二人目の子供が生まれた時期になります。3才上の一人目の子供がいますので
土手を散歩しながら歌詞を作られたのでは?と想像したりしますが、遅くに出来た子供さんからの
影響は少なからずあったと感じます。

そんな北原白秋さんに、高齢者の皆様の反応をお伝えしたい気持ちです

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◆記念イベント 編集委員対談「生誕140年、白秋の作品を思い出す」
出 演:中島国彦(館理事長・本展編集委員)・ 坪井秀人(本展編集委員)
日時:2025年 4月26日(土) 14 : 00~15 : 30 於:日本近代文学館 講堂
参加費:一般800円、維持会・友の会会員600円、学生500円
※展示観覧料込。維持会・友の会会員の方は会員証を、学生の方は学生証を当日ご提示ください。
※要事前申込
 メールかお電話にて受け付けます。
 お名前とお電話番号、区分(会員・一般・学生)をお知らせください。
 メール:hakushu-event☆bungakukan.or.jp(☆を@に変えてください)
 電話:03-3468-4181

日本近代文学館のHP
https://www.bungakukan.or.jp/cat-exhibition/15407/