音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

認知症を患う93歳が歌う♪ほたるこい

2012-06-29 07:09:48 | 音楽雑記
6月の始めに義父母が住む吉野の玄関に
一匹のほたるが迷いこんで光っていました。
そんなことは何十年も無かったと家人は驚いていました。

入院している義母が日夜逆転しているようで
少しでも付き添った時に起きていてもらうように話しかけています。
もともとおしゃべりな人なので、一緒にいれば
昔の懐かしい話は尽きることなく、いくらでも出てきます。

たまたま、ホタルの話題になった時に

ほたるこいこい 飛んでこい うちわをあげたら 飛んでこい
 笹をふったら 飛んでこい 来たら大事にしてあげる♪

と歌いだし、
いつもの♪・・あっちの水はにがいぞ こっちの水はあまいぞ・・♪
とは違って聞き覚えがなく慌てて書き留めました。

「子どもの頃に歌ったよ」と何度も口ずさんでくれました。
93歳の子どもの頃・・・80年以上前の語りになっています。
ネットで調べると越前地方のわらべ唄として掲載されていました。
合唱曲として有名な秋田地方の♪ほたるこいの歌詞も
少し異なる趣がありますが、まだまだ知らないことばかりです

まだ検査が継続していることもあって、点滴をしながら
寝たきりの毎日ですが、本人は「もう歩けるから一緒に帰ろう・・」と。
しかも「実家へ帰る・・」と。
返す言葉をゆっくり廻らしながらも・・・胸が痛みます。
出来る限り、明るい話題でおしゃべりして欲しいと願いながら・・・

入院生活での潤い♪

2012-06-27 06:46:52 | 音楽雑記
このブログで実父と義母がアルツハイマー型認知症を患っており、
その暮らしや現状と音楽との関わりをお伝えしていますが、
ついに義母が田舎の在宅暮らしを離れて入院することになりました。

93歳という高齢ですので、徐々に体力の低下は見られていましたが、
ちょうど私が田舎へ帰っている時に熱を出し、食欲が極端に落ちて
歩行困難な状態でした。翌日、訪問診療していただき点滴などの治療を
しましたが、熱が下がらないことから「誤嚥性肺炎かもしれないから
救急車を呼んで入院してください」と言われました。

近くの病院は満床で少し遠くなりましたが、検査していただいて
義母の病状が分かってきて、今は随分落ち着いてきました。
飲み込みのリハビリや歩行に向けたリハビリが始まると、
「ハンサムな先生やね~」「綺麗な先生やね~」などと得意な
おしゃべりが飛び交うようになりました。

看護師さんから「今もですが、お若い時はべっぴんさんだったでしょう・・」と
お声かけをしていただくと、「昔ね♪こんなベッピン見たことない♪という歌が
あってね~」と。その歌詞をすらすらと言い終えると♪籠の鳥、♪大磯心中の歌
などを次々と歌い始めました
「昔のことはなんぼでも出てくるから不思議だね~」とも。

本当に昔のことは正確にすらすらと話してくれますが、
認知症を患っていることはすぐに分かります。
24時間点滴を継続していて、断食生活にも拘わらず、
「ここの食事は美味しいよ。有難いわ」と私やお見舞いの人に言います。
ただ、満足そうな笑顔なので私たちは穏やかな気持ちになります。
田舎の生活では感情を抑えられず怒る姿が多く見られただけに・・。

入院生活でどんな歌が出てくるのか、楽しみにしたいと思います


認知症に関する学会のご案内

2012-06-13 06:39:19 | 研究関連
認知症疾患に関する医療と研究の関係者、及びコ・メディカル関係者が
所属しています「第27回日本老年精神医学会」のプログラムと抄録集が
送付されてきましたのでご案内いたします。

会期:2012年6月21日(木)~22日(金)両日共9:00~17:00
会場:大宮ソニックシティ(埼玉県さいたま市:JR大宮駅徒歩3分)
参加費:両日参加で会員、非会員共に10,000円

今回は残念ながらコ・メディカルとしての音楽療法の発表はありませんが、
口頭発表とポスター発表と共にシンポジウム、企画講演、ランチョンセミナーなど
認知症に関する多様な内容が盛り込まれています。
薬物治療、非薬物治療、早期診断、地域医療、ケア、ターミナルなどの内容は
情報を共有して認知症を患っている本人と家族を支える社会の構築を目指しています。

上記の学会参加とは別に一般の方が無料で参加できる「市民公開講座」もありますので
以下ご案内いたします。
日時:6月23日(土)12:00~15:25
場所:大宮ソニックシティ 2階小ホール
参加費:無料
参加受付:当日会場までお越しください
講演内容:「若年性アルツハイマー病を生きる」
    「往生の極意とこころの作法」「よく生き、よく笑い、よき死と出会う」

文化フォーラムのお知らせ

2012-06-05 07:13:17 | 研究関連
研究仲間の田中まみさんより文化フォーラムのご案内を
いただきましたので、以下お知らせいたします。

今回のフォーラムは、前半は、中世の時代の京都の女性の仕事についての講演、
後半は、実際に新しい仕事を考え出した女性や、定年退職後、奉仕を通じて
新しい取り組みをした男性などの体験談などが披露されるそうです。

*****「環境と文化・京都会議2012」プレフォーラム**********

京都から拓く男女共同参画環境
「環境と文化・京都会議2012」プレフォーラム
-文化勲章受章者・公益財団法人 京都オムロン地域協力基金
ヒューマン大賞・ヒューマンかざぐるま賞受賞者を迎えて-

○日時:2012年6月23日(土) 13時30分 於:パレスサイドホテル

○講演Ⅰ:商いを担った都の女たち
 講師 脇田 晴子(歴史学者、石川県立歴史博物館長 文化勲章受章者)

○講演Ⅱ:男女共同参画の実践 ―人口減社会からの脱却をめざして
 講師 冨士谷あつ子(評論家、京都生涯教育研究所長、元福井県立大学教授)

○対談:自然環境 社会環境をよくするために
 対談者 澤井敏郎(N.GKS:緑の協力隊関西澤井隊代表)
 吉田秀子(NPO法人働きたいおんなたちのネットワーク理事長)
 コメンテーター:田中まみ(京都ノートルダム女子大学非常勤講師)
 コーディネーター:川口 章(同志社大学教授)

○主催者より
「環境と文化」という問題に向き合うとき、われわれは「環境」という概念のなかに
「自然 環境」と「社会的環境(人為的環境)」を包摂するものと考える。
 では今、わが国が直面する人口の激減、とりわけ子ども人口の縮小をどうみるか、
 どうするか。先進諸国では厳しい少子化が軽減されつつある中で、
 わが国の遅滞振りが際 立つ。近年、地球環境保全が重視されるなかで、
 社会における男女平等の達成のため、意思決定の場における男女の共同参画の実現や
 仕事と余暇の均衡などが強く望まれるようになった。
 しかしながら国際比較によれば、わが国の男女共同参画状況や仕事と余暇の配分は、
 誠に残念な状況であるといえよう。このような状況を克服する手立てについて、
 国際比較と地域比較研究を続けてきた冨士谷あつ子(元福井県立大学教授)が考察する。

● 17:30~19:30
交流・懇親会と東北(気仙沼・大島)支援チャリティー
● 会場 : 同ホテル「グランデ」
● 参加費 : 6,000円
● 振込先 : 郵便振替 00930-5-226853

主催:京都生涯教育研究所 環境と文化・京都会議
共催:日本ジェンダー学会
後援:京都府 京都市
連絡先:京都生涯教育研究所 〒606-8243 京都市左京区田中東高原町28-1
電話:075-781-9699 FAX:075-791-2219 E-mail:lifelong@wg7.so-net.ne.jp
冨士谷あつ子


アルツハイマー病の父との旅行

2012-06-03 23:52:24 | 音楽雑記

5月は第5週目があったので、二人の老親の旅行に付き添いました
実家まで迎えに行き、3時間半近く電車に乗って吉野へ行きました。

予約してあった昼食に「イタドリ」が前菜として出されて驚きました(写真)。
スカンポと言う所も多いですが、ポリポリとした食感があり
とても美味しくいただきました。
平日ということもあり、貸切の座敷で見事な庭を眺めながら
贅沢なひと時でした

この旅行はアルツハイマー病の父が「吉野のじいちゃん(義父:98歳)の
元気さにあやかりたい」と言い出したことがキッカケです。
行ける時に・・・と私が企画して実現しました。
一泊するホテルに着いて「今日のお昼は美味しかったね~」と言うと、
父は「どこで食べたかな~?」と不安気に言います。
認知症の症状としてはよくあることですが、すっぽりと記憶が抜けています。

私はいつものことだとあきらめかけていましたが、
母は「思い出してみて・・・ほら・・・」とキッカケになることを
懸命に伝えていました。
すると、「あ~、若旦那が挨拶に来たな~」と
徐々に思い出して自分から話すようになり、とても驚きました。
却って混乱したり、自信を無くしたりすることもあるのでは・・と
気遣っていましたが、いつも一緒にいる夫婦だからこその姿だと感心しました。
父は「(思い出して)良かった良かった!」と喜び、
ビールを美味しそうに飲み干しました

機嫌良く♪・・・花が咲く~・・・と父が口ずさみ始め、何の歌かと母に聞くと、
最近テレビで流れている歌で、気に入ってよく歌っていると言う
新しい歌でも気に入れば覚えることが出来るということも分かり、
旅行によっていろいろと知らない面が見えて楽しくなりました。
翌日・・98歳、93歳、88歳、86歳の四人が無事対面しました