音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

正倉院展が始まりました

2024-10-29 06:47:08 | ひとりごと
第76回正倉院展が始まりました(10月26日~11月11日)
今年は猛暑続きの日が多く、秋に入っても夏日が続いて季節感が失われていました。
気が付くと恒例の正倉院展が先週の土曜日から既に始まることが案内されており、
慌ててネットで申し込み、平日の昨日行くことができました。

コロナ以前は大混雑の中、隙間から何とか見られる位でしたが、現在は事前予約の
日時指定入場制なので、本当にゆっくり、じっくり思う存分見られます。
コロナ禍以来の人数制限は、正倉院展などの展覧会や行事には歓迎される方法だと感じています。

ホームページや新聞などで少し紹介されている宝物はやはり実際に実物を見ないと感じられない
繊細な色合い、大きさ、凹凸感などがあり、言葉では言えない雰囲気が醸し出されています。
本当は実際に触ってみたいという気持ちが溢れますが、我慢して見つめるだけになります。

毎年何がしかの楽器が出品されますが、今年は傷みが多くある新羅琴で長い年月が感じられました。
この楽器の想像できる音として昨年まで聞けましたが、今年は流されておらず残念でした。
他にも、痛みが少なく見応えのある「錦張りの肘おき」や色彩も見事な寄木細工の箱の
「沈香木画箱」など多くの作品によってタイムスリップされます。

今年も本当に色彩が豊かで、細部までの装飾の拘りが多く見られ、器用さと時間のゆとりを感じます。
中でもヤナギで作られた箱は小さい品ですが、細やかな編み模様と色彩が豊かで見入りました。
調べると、「柳の枝を生糸で編んで作った箱を柳筥(やないばこ)といい、神道では重要な神具である。
柳筥に神鏡を納めたり、また柳筥に短冊を乗せたりもするもので、奈良時代から皇室や神社で
使用され続けている」と書かれていました。

写真では分からない実物ならではの大きさや裏面まで施されている装飾、存在感は驚くほどです。
正倉院までの奈良公園の散策や多くの外国語の会話の雰囲気を楽しみながら、あらためて鹿の多さに
驚かされました。奈良の秋を多くの人が楽しまれていました

正倉院展のHP https://shosoin-ten.jp/info/treasures/

怒涛の日程を終えて・・♫

2024-10-23 15:47:54 | 音楽療法実践
怒涛の日程を終えて少しホッとしています

コロナ禍以来久し振りに再開された有料老人ホームへ音楽療法でお訪ねしました。
以前は30名ほどでしたが、待っておられたのか、呼びかけを丁寧にされたお蔭なのか
50名近い人にご参加いただきました。

申込参加ではなく、当日参加なので人数が把握できないこともあり、一応以前までの
ご参加人数の予定30名で準備して行きました。
50名近くになると小物楽器が足りなくなり、ミュージックベル活動も交替して繰り返す
ことになります。参加される皆様に楽器体験をしていただきながら、和太鼓などの
特別な楽器は数人の人に限られてしまいます。
その様な活動には職員さんが日常の参加者の皆様との交流などで臨機応変に
ご推薦していただきスムーズな活動に繋がりました。

会場は小ホールの様に天井も高く、舞台もありピアノが常設されています。
音響も良いホールなので今回は電子ピアノでしましたが、次回からはピアノの方が良いかと
考えています。歌詞幕も50名近くになると、プロジェクターで写す方が見易くなります。
継続ですので、出来る限り皆様の参加度が高くなるように次回へ繋ぎたいと思います

もう一つは全国パーキンソン病患者会奈良支部からの単発のご依頼を受け「音楽療法の集い」を
実施しました。小さな地域活動として24年続いてパーキンソン病患者・家族会に
関わらせていただいていますが、今回は広い地域への呼びかけの集いになります。
ただ、日々変化する難病ですので体調管理に気を使われ、当日にはお薬の管理と心身に
ゴーサインを出す準備がいることになり、その中での出会いを大切にしたいと思っています。

車椅子で来られる人、両杖を突いて来れられる人、ご家族や関係者に付き添われて
来られる人、一人でゆっくり歩いて来られる人・・・。
パーキンソン病の罹患年数などでお一人おひとりの状態が異なりますので、丁寧な
関わりが求められる2時間です。

人数は15名ほどでしたが、会議室とはいえ、天井が高く、広い部屋でグランドピアノが
常設されていました。温度や送風の調節も可能で、音響も良く、ピアノの音色が優しく
感じられました。始まる前のウェルカムミュージックの時に、お一人の人がピアノが好きだと
いうことで、近くに来られ聞いておられましたが、その後「右手だけで弾ける楽譜があれば」
と言われ、音楽療法士と連弾を楽しまれました。「今日、この時」の貴重なひと時でした

始まる余裕のある内に、最近譲り受けた「アンクルン」を皆様にお配りしながら、
新奇性のある活動と共に、和音になる単音をお一人ずつお渡ししてハーモニーを
楽しんでいただきました。この活動もお一人ではなく、参加された皆様とご一緒に
「今日、この時」ならではの体験になったのではと思います。

もう一つは音楽療法に関わる卒業研究をされている大学生からZOOMによるインタビューを
受けました。私が音楽療法学会に関わり始めた2000年以降の研究に関する内容であり、
量的研究ではない質的研究として積み重ねてきたことをお伝えしました。
あらためてご質問にお応えしながら、日本音楽療法学会が2001年に設立されてから19年目に
コロナ禍で活動の多くが中止になってしまったことを実感しました。

多くの人がコロナ禍において急激に変化する社会に翻弄されました。
音楽療法が実施できるようになった「今、この時」を大切にしながら、
明日はいつもの認知症グループホームの皆様と音楽のひと時を楽しみたいと思います

今日の「鉄道記念日」、明日の「十三夜」に続く秋の音楽♪

2024-10-14 07:09:18 | 音楽療法実践
朝焼けが映える6時前からの散歩は、五感に優しく自然が届き心地良いです
高齢者の施設における集団音楽療法プランを作成する時に暦と歴史は必須になり、
個人の依頼時は個人嗜好を最優先することになります。

本日10月14日はスポーツの日(11日のブログに掲載)で祝日ですが、明治5年に
新橋から横浜まで日本で初めて鉄道機関車が走った鉄道記念日です。
鉄道唱歌は明治33年に作られましたが、現在でも日本のどこかの駅でこのメロディが
聞こえていることと思います
明治時代を特集する時には必須の出来事であり、その後日本各地に広がった鉄道の歌が
一冊の本として『鉄道唱歌』になっています。

明日10月15日は十三夜のお月見の日です。
中秋の名月からの「後の月」として十三夜を愛でるという日本独自の風習があり、
ふっくらした栗に見えるので「栗名月」とも「豆名月」とも言われているようです。
参照:https://www.543life.com/content/jyusanya-moon/

十三夜の歌は歌謡曲では「法善寺横丁(昭和35年)」が関西では特によく知られています。
少し年代が上の人は、「十三夜(昭和16年)」を口ずさまれます。
いつもの事ですが、毎月の音楽療法では人生の先輩方に多くの暦、歴史、懐かしい歌を
教えていただくひと時でもあります。
因みに、17日の満月は2024年度最大のスーパームーンだそうです

10月は各地域の神社関係のお祭りが催され、和太鼓が聞こえてくる季節です。
「収穫の秋」でもあり、無事に収穫されたお米を神社にお供えする所も多いでしょう。
唱歌の「村祭り」は歌いやすく、和太鼓活動のリズムも取り易く、誰もがご存知であり
この季節必須の選曲になります。
あちらこちらの公的な場所に和太鼓が眠っているようにお聞きしています。

今年は未だ最高気温が25度を超える夏日が続いており、秋らしい風は時おり感じる程
ですが、季節の歌としては10月らしい曲をお楽しみいただくことになります。
秋のバラは10月中旬から見頃になるようで、ウェルナーの「野ばら」を鑑賞用に、
シューベルトの「野ばら」は歌唱やスカーフ活動にしようかと考えています

10月26日から11月11日まで第76回正倉院展が奈良国立博物館で開催されます。
「芸術の秋」でもあり、本当に行事は目白押しです。
毎年必ず何かの楽器の展示があり、その音色を再現されるので楽しみにしています。
コロナ禍後は予約制になり、以前のようなひしめき合って見られそうにない雰囲気は
無くなりました。

爽やかな実りの秋、芸術の秋、スポーツの秋、お月見の秋、花の秋など、行事が多い
10月の音楽が豊かなひと時につながるよう願いながら・・

体育の日の音楽♪

2024-10-11 17:24:21 | 音楽療法実践
昨日は10月10日。晴れの特異日ということで昭和39年10月10日は東京オリンピックが
開催された記念日です。もう60年も前の事になり、ひと昔どころではありません。
現在は第2月曜日が「スポーツの日」として祝日になっていますが、
やはり昨日も爽やかな心地良い秋の風を感じる晴れの日でした

あちらこちらの小学校では運動会が盛んに行われており、所々から音楽が聞こえきます。
リズムや速度などは運動会ならではの特徴があります。
毎年、運動会の音楽を記録していますが、今年も聞こえてくる音楽をスマホのGoogleで
楽曲調べをしました

騒音がある中で何とか拾えた曲は、♪花城(エイサーバージョン) ♪TAKIO’S SOHRAN
♪Mela! ♪海の声 ♪嵐の中で輝いて ♪怪獣の花歌 ♪うまぴょい伝説 でした。
昨年とは異なっており、時代の先端を行く音楽の速度を感じます。

若い先生が増えているのか、音楽係を担われているのか、子ども達のリクエストなのか・・
音楽の要素であるリズムと速度が運動に適している楽曲が多く作られているのか・・
Z世代と言われているデジタルネイティブの年代が求める速さなのかもしれません

コロナ禍を経て、運動会も様変わりしました。一学年での種目も減らして、午前中で
終わるようにされている学校が多いようです。
早朝から場所取りをして、祖父母も一緒にお昼のお弁当を囲みながら、一日かけての
大行事は無くなりました。代わりに地域におけるスポーツ大会に誰もが参加して
賑やかに開催されているようです。

音楽療法の中でもこの季節は運動会の曲をプランに入れることが多いですが、
玉入れの様にお手玉を籠に入れる競争をしたり、大きなボールを渡していく競争を
するなど、職員さんによる工夫も色々とあって賑やかになります。

♪クシコスポスト、♪天国と地獄、♪草競馬などのBGMは運動には効果抜群です
始まりの時に、いつものラジオ体操の速度を落とした生演奏に合わせてすることは
ストレッチも兼ねて、運動前にはかなり効果があると実感しています。

運動後の休憩時にお聞きする昔の運動会に関する回想話のひと時は楽しい
クールダウンになります

パーキンソン病患者・家族会との関わり・・iPS細胞のノーベル生理学・医学賞発表から12年

2024-10-05 06:29:59 | 音楽療法実践
2024年のノーベル賞の受賞者は、日本時間の10月7日(月)から14日(月・祝)にかけて
スウェーデンの首都・ストックホルムとノルウェーの首都・オスロで発表されます。
2012年に山中伸弥さんがノーベル生理学・医学賞を受賞されたことが昨日の様です

iPS細胞研究所長・教授(受賞時)であった山中さんは、研究所で働く非正規雇用者の
労働環境を改善するために、フルマラソンを完走したり、講演やメディアに出られるなどの
活動をしながら研究に関する支援を呼びかけておられました。
原因不明で治療方法も無い多くの難病に対して国として支援がなぜもっと出来ないのか・・、と心が痛む報道でした。

2000年からパーキンソン病患者・家族会と関わっていましたので、関係者の皆が
iPS細胞に希望を持った明るいニュースでした。
その後、2018年にパーキンソン病患者さん7名を対象にして、医師主導治験が始まり、
移植後2年間の観察期間も終わりました。
以下、京都大学iPS細胞研究所 CiRA(サイラ)のニュースです

<2018年7月30日 ニュース>
・・2018年に開始した本治験につきまして、2021年には予定していた7例すべての患者さんの
手術を終了し、2023年末をもって細胞移植後の経過観察期間も無事終了しました。
現在のところ重篤な有害事象は報告されていません。
2024年はデータ固定後に解析を行い、結果が確定したのちに論文等で発表いたします。・・

<2020年7月6日 ニュース>
臨床用iPS細胞を用いたパーキンソン病治療の非臨床研究
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/200706-180000.html

<2023年12月26日 ニュース>
米国における「iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療」に関する
医師主導治験開始のお知らせ

今後、米カリフォルニア大学サンディエゴ校において日本と同様に7名の患者さんに移植し、
2年間の経過観察をする予定で、その後人数を増やした試験も開始するというニュースが
入ってきています。

パーキンソン病に特徴的な運動症状は、振戦、筋強剛、動作緩慢および姿勢反射障害の
4大症状です。運動症状は、多くは振戦から始まり、次いで動作緩慢や筋強剛が認められ、
一側の上肢または下肢より他肢へと緩徐に進展します。(CiRA(サイラ)より)

当事者でないと分からない日々の生活における不自由さ、辛さ、悩みなどを共有したり、
情報交換する場として「パーキンソン病患者・家族会」は大切だと感じています。
音楽療法士として音楽を介して少しでも心軽く、明るく、楽しく、楽器活動や身体活動などを
皆さんと共有し、交流できることを望みながら、24年が経ちました

今月は音楽療法の集いが開催予定ですので、秋たっぷりの音楽とともに楽しいひと時に
なることを願いながら、準備に取りかかっています

弦楽四重奏の響き

2024-10-02 06:46:03 | 音楽雑記
今夏は暑すぎたようで、お彼岸が過ぎた今頃に彼岸花があちらこちらで満開です。
いつもの散歩道には珍しい淡い黄色の彼岸花が咲いており、思わず足を止めて
見入ってしまいました。

田の稲穂もあちらこちらで刈り取られすっきりとしていますが、最近のニュースで
「再生二期作」という米作りを知りました。温暖化のために、田植えを早めに終え、
夏に30cm?程残して稲刈りを一度し、その後も成長した稲穂を秋にもう一度
刈り取るそうです。地球規模の変化に応じる対策が生まれています。

昨日はクラシックを少しでも身近な場所で、お気軽に来ていただきたいという趣旨の
演奏会に出かけました。弦楽四重奏ですが、いつものクラシックの演奏会より時間を短めに
設定され、費用も抑え、駅に近い商店街の通り道沿いのお店の2階で開催されました。

馴染みのあるポピュラーな曲を少し入れながら、メインはモーツァルトの弦楽四重奏曲です。
4楽章までありますが、クラシックコンサートとしての立ち位置は揺るがず、部屋全体に
降り注ぐ弦楽器の演奏に引き込まれていきます。45分がアッと言う間に過ぎていきます

演奏の第3楽章の時に、早朝に散歩していた風景が動画として脳内を巡ってきました。
揺れる彼岸花、飛び立つ鳥、川を泳ぐカルガモ、空の雲・・・、様々な風景が映像に
なっていました。音楽は一人ひとり感じるものが異なり、様々な映像を伴ったり、
感情が湧き出てきたり、身体が動いてきたり・・・、自由な感覚が魅力になります。

いつ何度聞いても、部屋全体を包み込む弦楽器のライブ演奏は魅力溢れるひと時です