音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

音楽ケア

2011-01-27 06:26:41 | 音楽雑記
認知症治療に関して薬物(医学的)アプローチと非薬物(ケア的)アプローチが
あると、老年精神医学雑誌に掲載されていました(藤沢、佐々木.2008)
最新の情報として専門家の発言からも環境要因並びに生活環境調整が重要であり、
それによって少しでも軽減されることが考えられると言われています。
生活療法的アプローチとも言われる日常的なケアとして、
音楽を利用するケアについて専門学校の「音楽介護」の講義で伝えています

音楽の利用範囲は想像以上に広く、誰もの心に響く何らかの音楽があるのでは・・、
身体との関係性につながる音楽は何が・・、との思いを巡らしながら、
現実の暮らしにどのような音楽ケアの方法があるのかを考えていきます。

集団生活の中の例を挙げると、一日の中の時を区切る方法として音楽が利用できます
その選択された音楽によって季節を感じ、夕暮れなどの区切りの時間を感じ、
時には特別なお知らせを伝えるということができます。

どのような目的を持って、どのような音楽を選択して、どのような方法で
集団や個別に関わるのかは一人ひとりの音楽療法士によって異なることになります。
それが薬のように範囲が判り易い治療と比較すると心理的な療法要素が入ることから、
判り難さにつながり一般に浸透していかない理由の一つかもしれません。

最終講義になると「音楽の教育かと思っていた」「苦手な音楽でも利用できると思った」
「暮らしに活かす音楽を現場で考えていきたい」「歌や演奏のテストがあると思っていた」
などなど、音楽ケアの意味を徐々に理解してもらった学生の意見がありました。
「音楽ケア」という方法の理解につなげる発信力を持たなければ・・・
と思いながら、来年度の講義の準備をしています

音楽を通したパーキンソン病患者さんとの思い出♪

2011-01-24 23:56:20 | 音楽療法実践
難病であるパーキンソン病は服薬の生活を継続することが条件ですが、
寿命をまっとうできると言われています。
ただ、併発する他の病気との闘いをされている方も多く、
お別れした多くの方と音楽を通した思い出をいただきました

先日開催されました「パーキンソン病支援10周年記念の集い」で
保健師さんを始め関係者の皆様との再会をしましたが、
お別れした皆様のお顔が幾度と無く浮かんできました。
ご本人はおられない中で、ご家族の方に足を運んでいただいた事は
嬉しく、懐かしく、何より継続してきて良かったと思える時でした

音楽療法を継続していることもあり、当り鉦の音色とリズムを聞いて
楽しく踊り始められた方、小旅行の行き先で口ずさんだ
♪三百六十五歩のマーチに合わせて驚くほど歩かれた車椅子の方、
「この歌で若い頃は踊ったものだよ」と♪ダンスパーティの夜を
リクエストされた方・・・。
160曲になるリクエストの中に、お一人おひとりの思いが詰まっています。

季節を楽しむ音楽、小声や筋肉の緊張へのリハビリ的な音楽、
現実や自分と異なる世界を体験する音楽、様々な楽器に挑戦して参加する音楽・・
居心地の良い音楽の時空間作りに、来年度もご一緒できそうで幸せです。
♪春よ来い、は~やく来い

「好きな音楽とドーパミンの関係」その2

2011-01-19 23:58:56 | 研究関連
一週間前にラジオから流れてきた「音楽とドーパミンの関係」に
関して、多くの方々がブログに掲載されています
広く社会に流れるとその「内容」が様々な顔になって変化していきます。
過去にあった「モーツァルト効果」のように・・・。

パーキンソン病患者・家族の皆様と長いお付き合いになりますので、
ドーパミンと聞くとパーキンソン病と関係があると思って
私のアンテナがその方向にあわせるようになっています。

ただ、今回のカナダのマギル大学が発表した研究には
「パーキンソン病」のワードは無く、マクロな社会において
音楽が常に存在し続けたのかを紐解く結果として示されています

ネットで掲載されている原文?はA4で14枚あり、
PET検査の脳画像におけるドーパミン放出の変化が掲載されており、
視覚的な説得力と共に分かり易くしてあります。
ただ、専門用語は全く分からずどなたかのお力を借りて
内容を把握できればと考えております

音楽の内容も掲載されており、歌詞のある音楽ではなく、
タンゴ、ジャズ、テクノ、ロック、クラシックなど10曲の器楽曲だということです
音楽にゾクゾクとした興奮を覚える217名が応募しましたが、
5ラウンドのふるい分けをしながら、最終的に8名が残ったと記されています。

結果的には現在も未だ解明されていない「音楽の起源」に関して
寄与する研究になると言われると少しワクワクしてきます。
快感伝達物質のドーパミンの分泌は音楽が幸福感情を伴うことを意味し、
人類の底流を流れる幸福観として存在するのかもしれません

パーキンソン病支援グループ「10周年の集い」のお礼

2011-01-15 21:43:43 | 音楽雑記
今日、パーキンソン病患者・家族の会の支援グループ
そよ風の10周年記念の集いを開催しました
朝方から時雨模様の上寒さ厳しい中を
多くの皆様にお越しいただきました。
この場を借りて心よりお礼申し上げます

誰もが暮らしやすい地域を目指して
保健所が難病の支援を呼びかけたことから
そよ風の活動は始まりました。
担当保健師さんは移動などがあり、今は7人目になり、
そのお世話になりました保健師さんとの同窓会?
のような場にもなりました。

優しい音色で包み込まれる雰囲気を味わったト-ンチャイム演奏と
地域で活動されている合唱団をお招きして
豊かなハーモニーを感じるひと時は
継続している音楽療法の実践では実現できないことでした

10周年ということで市長始め、社会福祉協議会の局長、
県の難病相談支援センター長もご臨席いただきました。
何よりそよ風発足時に大変お世話になりました
当時の保健所関係者のお二人と初代そよ風の代表が
駆けつけて下さいましたことは
懐かしく、嬉しい思いでいっぱいになりました

あらためて地域に根ざすそよ風の活動として振り返る機会になったこと、
多くの皆様に支えられて活動を継続できたことに感謝しながら・・・
とにもかくにも無事に終わったことに安堵しています

iPS細胞の展望

2011-01-14 23:15:39 | 研究関連
滋賀県難病連が主催した「iPS細胞がつくる新しい医学」
の講演を聞きに出かけました
2008年11月の発表以来、関連するニュースには
ずっと興味を持ってきました。

京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥先生の講演は
2度目になりますが、ユーモアを交えた淡々とした語り口と共に
熱い想いが伝わってきました

パーキンソン病に関しては、
将来的にドーパミンの移植を可能にして、
前臨床試験から臨床試験への目標を言われました。
昨年の11月11日にiPS細胞の臨床研究が
正式に可能になったことも喜ばれていました

ALSなどの希少難病への創薬の治療に関する内容もありました。
「病気になる前の細胞を作る」という魔法のような
iPSに希望を託す患者さんも多くおられることでしょう。
以前、山中教授が「患者さんを見捨てることはありません」と
語られた言葉を思い出しました。

地域で暮らされている難病の方々の「今日」と向かい合う
日々は積み重ねられ、その延長に未来があります。


好きな音楽とドーパミンの関係

2011-01-13 06:51:31 | 研究関連
夜中に少し寝ずらく、何気なくラジオを聞くと
「好きな音楽を聞くとドーパミンが分泌される研究が・・」
という話で、思わず飛び起きてメモを取りました

すっかり目が冴えてネットで調べると、
『【1月10日 AFP】好きな音楽を聴くと良い気分になるのは、
脳内で快感伝達物質ドーパミンが大量に分泌されているためだということを、
カナダ・マギル大学の研究チームが突き止めた。』
の書き出しで驚くほどのニュースになっていました

『米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」に掲載された論文によると、
マギル大の研究チームは「音楽を聴くと背筋がゾクッとするような興奮を感じる人」
との条件で、研究の被験者を募集。応募者217人の中から19~24歳の8人を選び、
PET(放射断層撮影法)による画像診断によって、
ドーパミン受容体となる化学物質ラクロプライドの量を調べた。
被験者の心拍数、呼吸、体温、精神性の発汗の目安となる
皮膚コンダクタンスなども測定した。』と内容が続きます。

その結果、好きな音楽を聴いてワクワクしているとき、
被験者の身体活動は活発化し、脳内の線条体からドーパミンが分泌されることが分かり、
この反応は、好きな音楽を聴く前の期待感だけでも起こることも確認されたとの事。
研究チームはさらに、脳内のどの部分が活性化するかを調べるため、
機能的磁気共鳴画像法(fMRI)による検査を実施し、
被験者の脳の血流量変化を調べた結果、好きな音楽を聴くことを期待している段階では、
脳の「尾状核」と呼ばれる部分が活性化することが分かったとの事。
さらに実際に音楽を聴いて興奮状態となると、今度は「側坐核」という部分が
活性化したことが記されています。

人類の歴史と音楽の関係も紐解かれる可能性があることと、
ドーパミンの減少による難病パーキンソン病の治療と
どのような関係が考えられるのかなど、更なる解明が待たれます

「うさぎ」に纏わる唄♪

2011-01-10 18:43:25 | 音楽療法実践
音楽療法を実施する時に、先ず大まかな流れを考えます。
何の目的で、音楽の何を使用するのか・・
対象者の皆様の表情や動作を想像しながら、
音楽の選択をしている時間が好きで、心を寄せる大切な時です

ただ、現場では想像を超える皆様の発言や行動が
ダイナミックな流れを作っていきます。
そのライブの楽しさを共有できる幸せは冥利につきます。

今年は卯年ですので、うさぎに纏わる歌をお尋ねしていますと、
初めてのご縁をいただいた90歳の方が、気持ちよく歌われました
♪うさぎのお耳はなぜ長い?
 月の世界の姫様が
 お呼びになったその時に
 長ぁく 長ぁく 伸びました♪

初めて聴く歌でした
帰宅後、調べてみると「ウサギの耳はなぜ長い?」の
わらべ唄があるようです。
四国や中国地方で歌われたようですが、
歌詞が微妙に異なって紹介されています。

日本全国のご出身の方とご縁をいただくお蔭で、
知らない多くの歌を伝承していただく機会にもなります


雪国を体感したお正月

2011-01-06 23:37:33 | 音楽雑記
新年明けましておめでとうございます 
と同時に、今日は小寒ですので、寒中お見舞い申し上げます。
本年もどうぞ宜しくお願いいたします

田舎で過ごした年末、年始は少しだけ雪国を体感した思いになりました
奈良県へ引越して35年になりますが、初めて見る田舎の景色でした。
早朝に見た真っ白な美しい景色に息を呑みながら、
心弾ませて初めての足跡を付けようとすると・・
「ズボッ」という新鮮な音が耳に入ってきました。
今までの経験ではサクッという音だったはずですが・・・。

翌々日くらいになると、屋根に重く積もった雪が
「ドサッ、ドサッ」と落ちてくる音に怖さをも感じました。
融け始めてきた道を歩くと「ビシャビシャ」と泥氷水が飛びます。
自然の営みの音は言葉として表すことが難しいことを痛感しました。

ピッチピッチチャップチャップ・・・
可愛らしい水音とは程遠いですが、五感にいっぱいの刺激を
受けたこの体感は、もしかしたら?二度とないのかもしれません