音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

心の中で歌う♪

2009-09-29 06:21:55 | 音楽雑記
「聴くことは歌うこと」・・言い得て妙な言葉です。
音楽に造詣が深い、評論家の中島健蔵さんが言われたと記憶しています

中島さんは著書「音楽とわたくし(1974年、講談社)」の中で、
『音楽の場合、音楽でしか表現できず、その表現が成功すれば、
聞いた人々の内部にあまねくひろがって、共感を呼ぶことになる。
・・聞きながら、わたくしは、詩句を追いつづけるつもりだったが、
たちまちそれが漂白されて、音楽がわたくしの内部にしみとおり、・・
音楽が、わたくしの内部の声を引き出し、・・
いつかわたくしは、自分の声を感じはじめていた。音にならない声である。
・・絶叫といってもいいような内部の声までが浮き沈みする。
悲しみでも、悩みでも、怒りでも、喜びでもなかった。
・・わたくしは、自分の眼がうるむのを感じた。
これは、全く期待以外の異常な経験であった。』と記されています。

音楽は奥深く、多様なジャンルの中で、個別性の高い嗜好があります
音楽に出会う「その時」「その場」から溢れ出る感情は、
本人もよく理解できないことがあるように感じています。

周囲には何の反応も無いようにみえる患者さんに、
「音楽がきっと届いている」と信じて、音楽療法の実践は継続されています


評価方法の選択

2009-09-28 18:52:04 | 研究関連
昨日、内々で開催されたある研究会に参加してきました
回想法に関する内容でしたが、研究者が実践結果を
分析する時に使用する「評価方法の選択」の難しさを感じました。

実践(セッション)は、実験以外の研究には
必要となるプロセスです。
ところが、その実践内容を分析に繋ぐ時に使用する
評価方法が、研究の目的に大きく影響することになります

研究的には先行研究において安定して利用されている評価法を
用いることが多くなりますが、実際には実践の場において、
その評価法に理解を得られていないことがあります。

分かり易く言えば、研究社会と現場(実践)社会において、
その方法に対する評価が大きく異なるということです。
私が大学院時に、公開されていない評価方法を購入してみましたが、
とても研究対象者の方に使っていただける
内容ではなく、大変驚いたことがあります。

研究社会は、変化している一人ひとりの生活に添った
評価方法を作成する必要があります。
研究が多くの皆様にしっかりと還元され、役立つためにも・・・

「その人らしさ」に寄り添う音楽

2009-09-27 07:10:48 | 音楽療法実践
音楽療法は様々な分野に亘り継続して実践されています
9年に亘って音楽療法を継続しているある小さな高齢者施設でのこと。
一人の男性が久しぶりに参加されています。
今まで2、3回お目にかかったように思います。

秋の雰囲気を感じながら、楽器活動も参加されていましたが、
終わりの頃に「歌いたい歌があるんやけど・・」と言われ、
お尋ねすると「♪戦友」でした。

一瞬職員さんの不安感が伝わりましたが、私はすぐに「いいですよ」
と了解して弾き始めると、職員さんが「それなら前で歌ってくださいよ」
と椅子を用意され、誘導されました

「すまんなぁ」と言われながら、一番から歌い始められましたが、
6番あたりで「ああ、忘れたわ」と。
拍手喝采を受けた「その人らしい」ひと時でした。

音楽療法は「その人らしさ」に寄り添うことを大切にしています。
小さな集団ですが、個別性の高い要望があることは何よりです。
終了後、ご丁寧に「邪魔してすまんかったです」と言われましたが、
「とんでもないです。良かったですよ。今後は最後まで皆さんと
一緒に歌いましょう!」とお答えすると、笑顔で握手してくださいました。

お一人おひとりの「その人らしさ」に寄り添う音楽があります

実践と講演のコラボ

2009-09-26 07:26:30 | 音楽療法実践
今日は、実践付きの講演をさせていただくために隣り街(市)へ行きます
話の合間に音楽が入ることによって、リラックスや気分転換に繋がることは
誰もが実感されることだと思いますが、実際はそんなに多くはありません。
音楽療法の実践と講演のコラボレーションになります

2時間という長さが可能にした要因の一つですが、ご依頼をいただいた
主催者の方が、ご自身が音楽の力を感じておられ、私どもの音楽療法に
大変理解をして下さっていることが大きな要因だと思います。

構造的にも、パソコンのパワーポイントによる講演内容と歌詞を
プロジェクターとスクリーンを使って写し出し、
70名近い参加者の皆様が見易いようにして頂きました

多くの方がご一緒に歌うことがある場合は、歌詞集などをお渡しするか、
先読みになりますが、どちらも前の大きなスクリーンを見て歌うことと比べると
劣ることになり、残念に思っていました。

多くのボランティアさんのご協力をいただいていることをうかがい、
お会いできる楽しみとともに、感謝の気持ちでいっぱいです。
音楽療法士事務所「音縁」の名前どおり、音楽によるご縁をいただきます

神谷美恵子さんがのこされたもの

2009-09-23 18:14:44 | 音楽雑記
大正3年生まれの神谷美恵子さんが亡くなられてから30年経ち、
以下の展覧会が開催される旨の御手紙を院時代の級友からいただきました

神谷さんが19歳のときに、初めてハンセン病患者に接して強い衝撃を受けてから、
医師として患者に向き合う「志」が叶ったのは、43歳になられた時でした。

「生きがいについて」の著書は43年前に出版されていますが、
今もなお病んでいる人々に心から寄り添う温かい言葉が響いてきます

深い悲しみ、辛さを持ちながら病む人々の問題は、
私たち全ての人間の問題であることを凛として伝えておられます。

京都の思文閣美術館において2ヶ月半にわたって開催されます
息子さんである徹さんの演奏会も一日だけですがあります
足をお運びいただければと思っています。

『没後30年 神谷美恵子がのこしたもの』
会期:2009年10月3日(土)~12月20日(日)
開館時間:午前10時~午後5時
思文閣美術館のホームページに入館料などの詳細が載っていますのでご覧下さい
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不思議な夕食会

2009-09-21 23:43:15 | 音楽雑記
先日、ある会の世話役三人が久しぶりに集いました
お二人は超ハードスケジュールの中、異職種でありながらも
お互いの分野を融合してケアに生かしたいと願っておられる専門家です。
私たちは不思議なインド料理店で会うことにしていました

初めて入るお店でしたので、興味津々な気持ちと臆病な気持ちが
交錯した足取りで入りました。
まだ二人目のお客様だった私に「どうぞどうぞ!」と
流暢な日本語で愛想よく迎えていただきました
「あとで仲間が来ますので・・」と言うと、
「8時からインドの踊りがあるからゆっくりして」と。

三人が揃い、勿論インド料理を楽しみながら、お互いの近況や情報交換を
しているうちに、BGMが流れ、インドの踊りが始まりました。
お店の雰囲気がガラッと変わり、踊りが終わると満員になっていたお客様と
このひと時を共有した気持ちになりました

欲を言えば、生の演奏の緊張感漂う中で、もう一度素敵な踊りを見たいものです・・
いつもお会いするとホッとするお二人ですが、「融合と連携」を目指して
お会いできる次の日は・・?

音楽療法の集い

2009-09-19 21:11:48 | 音楽療法実践
偶然ですが、難病に関係する音楽療法の集いが、
今月、3回開催されます

一つは、9年継続されている患者さんとご家族による会です。
会長が「家族風呂か浮世床」のような存在であると言われるような
アットホームな集いです
もう一つは、難病患者さん自身が活動されているボランティア組織が
主体性を持って、市の行政の支援事業として難病の方と地域住民に
呼びかけた集いです
最後の一つは、全国的な組織を持つ奈良県支部から、
初めて依頼をいただいた集いです

それぞれ自主性と特有性を持つ集団であり、求めておられる内容が
異なってきます。
共通していることは当たり前ですが、広義な「音楽」が介することです

音楽の持つ多様な側面が、依頼者からの要望とどう関わることができるのかを
考えますが、結局は音楽療法の奥深さを常に実感することになります。
素直に音楽療法の拡がりを喜びながらも、責任を痛感しています。

大正浪漫のひと時♪

2009-09-18 23:45:59 | 音楽療法実践
『歌おう大正時代』の書籍が国立国会図書館と県の図書館に寄贈されています。
満90歳、高橋整二さんの直筆が添えられ、書名からも分かるように
「大正時代」に焦点をあてた歌集です。
たっぷり192曲(内176曲伴奏付き)が掲載されています

高齢者の方々への音楽療法を実践する時に、
大正時代の音楽を利用していることが多いことに気づきます
「親子で歌いつごう日本の歌百選」の中でも、大正時代の曲は27曲あり、
昭和20年代と30年代の合計と同じ曲数になっています。

今年度、行政の支援を受けて「大正浪漫のあの歌、この歌」を
テーマに音楽療法のひと時を企画しています
高橋さんに感謝を申し上げながら、大正時代だけの音楽に
誘われるひと時を想い、今からワクワクしています

ストロー笛から学ぶ

2009-09-16 20:46:31 | 音楽雑記
いつの日だったか・・、音楽療法の講習の時にリコーダー奏者である
神谷徹先生のストロー笛の演奏を聴いて、本当に驚きました

ストローで作った大きなロボット?から、見事なハーモニー
聴こえてくるのです。

以前、楽器を作ろう!というコーナーを設け、トイレットペーパーの芯に
ストローを付けて笛を作ったことがありました。
ただ、鳴るだけで精一杯でした。

ストロー笛の演奏からハーモニーが聴こえるだけでも驚きなのに、
さらに仕掛けがいろいろあるのです
聴かれたことが無い方は是非一度!コンサートへお出かけ下さい

きっと興味が尽きることなく、科学的にストローの力量を操作して
先生ご自身が楽しい時間を過ごされていることが伝わります

ストロー笛の演奏を聴いていると、人類が音楽を求めた
「その時の想い」が伝わってくるようです。
音楽は自由だ音楽は楽しい
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お蔭様で事務所設立一周年♪

2009-09-15 07:36:50 | 音楽雑記
ちょうど一年前・・・
情報の発信による音楽療法のご理解と
情報交換、共有による音楽療法の拡がりを目的に、
私なりの想いを込めた「暮らしに寄り添う音楽ケア」の
発刊と共に音楽療法士事務所を設立いたしました

音楽という大きなものを多視点からみる楽しさを
日々実感しながら実践と研究、教育に勤しんでおります
現実は、音楽の大きな力による感動の瞬間が積み重ねられて、
継続に繋がっていると言っても過言ではありません。

事務所の名称でもある「音楽のご縁」を沢山いただきました
お一人おひとりの方に心より感謝申し上げますと共に、
更なる学びに挑戦していく気持ちでいっぱいです。

今後ともご指導、ご鞭撻のほど宜しくお願いいたします

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