音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

わらべ唄による子育て支援

2009-01-30 23:32:58 | 音楽療法実践
0歳~1歳の親子を対象にわらべ唄を楽しむ会がありました

可愛さ溢れる赤ちゃんとお母さんの12組が参加されました。
始まり時は、初参加のお母さん方が少し緊張気味でしたが、
徐々にわらべ唄の特性でもある「ほんわかした雰囲気」や
繰り返される「話言葉に近い声と詩」の唄によって,
安心感のある、居心地の良い場になっていきました

親子のスキンシップを最終目的とする中で、季節感を感じ、
見守る地域の大人たちがいるという社会を感じながら、
お母さんの笑顔とお礼の言葉から幸せ感が伝わっていました

子育て支援の一つとして地域に根ざしていくこと
世代間交流として人生の先輩から伝承されること
参加できる機会として多様であることを願ってやみません

素敵な手作りの歌詞幕

2009-01-28 20:21:50 | 音楽療法実践


今日は音楽療法を始めて6年になります
ある施設の素敵な「手作りの歌詞幕」をご紹介します

この施設では年間を通して音楽療法を担当する
職員さんが準備から終了後のカンファレンスまで
関わってくださいます。
多忙な日常のケアの中で、担当の職員さんが心を込めて、
時には利用者の高齢者の皆さんと一緒にちぎり絵などで作り、
日常生活では壁に貼って利用されています

口頭ではなかなかご理解いただけませんので、今回は
施設のご了解を得て写真を掲載させていただきます。

職員さんの気遣いは「歌詞を大きく書く」「歌詞の雰囲気に合う絵を入れる」
「長く保存できるようにする」などがあり、その甲斐あって実際壁に貼られている
大きな模造紙の歌詞を見て、皆様は口ずさまれたり、絵を楽しまれているそうです。
季節を感じられたり、気分転換として、職員さんと共有するひと時になったり…
その歌から思い出話に花が咲いているお姿が浮かびます

施設にとって、受け継がれていく大切な宝になります


研究と実践の幸せな循環

2009-01-26 22:21:56 | 音楽療法実践
まだほんの僅かな時間だけの経験で恐縮ですが、
研究の場に足を運び始めてから、実践と研究による
幸せな循環があることを実感しています

音楽療法の実践は多様な関係者や家族の方々と関わる
ことが多く、音楽を介した変化について先行研究や
理論からお伝えすることが少なからずあります。

その理論や方法を共有することは、実は多忙な現場の
関係者の技術向上としての知見になることがあります。
例えば、右麻痺の失語症(運動性失語)の方は発語に
失行はありますが、聴覚的理解は保持されています。
ある研究では、87.5%の方が歌唱されたことを発表しました。
音楽の歌唱機能が脳の広範囲に分布していると考えられるからです

この先行研究を共有することにより、日常生活を支える関係者は、
歌うことを「技術」として関わることが可能になります。
そして、日常のケアで実感することになり、幸せな循環となります

音楽療法の実践においても、共有した「技術」として
お伝えできればと願いながら、研究の場に足を運んでいます

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神経難病研究に関するセミナーのお知らせ

2009-01-24 09:37:23 | 研究関連
音楽療法の学術研究はEBMに関する量的研究が主流だった感があります。
一方で、個別性を重視したNBMに関する質的研究も徐々に拡がりを
見せています。
相反する研究としてではなく、融合された効果が
しっかりとクライアントに還元されることを願っています

そんな中、以下のセミナーが関西で初めて開催されますので、
近藤先生のご了解を得てご案内させていただきます

   ********* SEIQoL-DW研修会 *********

神経難病患者さんなど、身体機能が次第に落ちていく方のQOL評価尺度
としてSEIQoL-DW(Schedule for the Evaluation of Individual
Quality of Life-Direct Weighting)という尺度が用いられ始めています。

期日:2月14日(土)11時~16時20分
会場:兵庫県立のじぎく会館大会議室
内容:QOLの考え方とSEIQoL-DW検査の講習
講師:中島 孝先生(独立行政法人国立病院機構新潟病院副院長)
   後藤 清恵先生(新潟大学医歯学総合病院)
定員:60名(定員になり次第締め切り)
参加費:無料(申し込みが必要)
主催:特定疾患患者のQOL向上に関する研究班
お問い合わせと申し込みは以下のリンクから
◆案内
http://www.hosp.yoka.hyogo.jp/seiqol/annai.pdf
◆申込み
http://www.hosp.yoka.hyogo.jp/seiqol/moushikomi.pdf

想像を超える音楽の力

2009-01-21 23:25:31 | 音楽療法実践
音楽療法を実践する中で、音楽の溢れる力を実感します

音楽の音色、メロディ、リズム、ハーモニーなどの多様な要素
をどのような目的に、どのように使用するのかを考えながら
大まかなプランニングをして実践に入ります。

対人関係に音楽を使う実践(ライブ)には、
計り知れない音楽による人間の変化があり、
私の想像を超える音楽の力が存在しています

そこでは「本来自由な音楽」と「不可思議な人間の心」が
関係性を持つことになり、当たり前と言えば当り前のことなのですが…。

今日もそんなことを実感する音楽療法のひと時でした


認知症の方と音楽

2009-01-18 08:49:03 | 研究関連
認知症の方々への音楽療法の臨床経験から、
音楽の有用性を実感することは少なくありません。
その事は多くの療法士だけではなく、連携する関係職の
方々も共有されていることになります。

この経験知が学際的理論と融合されながら確立され、
より磨かれた技術として認知症の方々に還元されていきます

二千人を超える高齢者の方々を看取られた老人医療の専門家である
フレディ松川さん著『フレディの遺言(朝日新聞出版社、2008)』の中に、
「私の心が寂しい時、私が若い頃に大好きだった曲を聞かせて下さい。
どんなに知性が破壊されていても、その分、感性だけは豊かですから」
と記されています

ただ症状が重度になると「若い頃に大好きだった曲」は
容易く見つかるとは限らず、ご家族やご友人からの情報が手がかりになります。
それでも困難な時には、先ずご本人が若い頃に流行した曲を介して、
その時の反応や変化を感じ取りながら関わっていきます

個別性が高い「音楽嗜好」は、個人史を含むその人の全体性に
関わる情報を模索しながら実践していくことになります。
ご本人が「大好きだった曲」とともに、
穏やかに過ごされることを心から願いながら・・・

自由参加の難病交流会のお知らせ

2009-01-16 10:06:10 | 音楽療法実践
もっと多くの難病の方々に支援センターに来て、交流を図って
いただくために、月一回、難病交流会「難病ふれあい広場」が
実施されています。今回は、私が『音楽にふれよう』のひと時を
担当させていただくことになりました。
自由参加ですので、ご都合宜しければお越しくださいませ

♪♪難病交流会 (難病ふれあい広場)♪♪
日  時  平成21年1月21日(水) 午後2時~4時  
場  所  奈良県難病相談支援センター 交流室 
内  容  「音楽にふれよう」 担当:西村仁美      
参加費   無 料
申込み方法  1月20日(火)までに電話またはファックスにて
問い合わせ先  奈良県難病相談支援センター TEL:0743-55-0631(直通)

音楽療法の拡がり

2009-01-13 22:57:18 | 音楽療法実践
現在、医療や福祉施設などで常勤する音楽療法士はそんなに多くありません。
国家資格化されていないことからも現状は厳しいものがありますが、
ただ、私のように訪問して実践することによって、多視的にその社会を
みることができるという利点があります。同じ関係施設においても
それぞれの独自性があり、集団の性格や色が見えてきます

その中で、それぞれの施設は音楽療法の実践から、
日々の生活に役立ち、還元していくことを望まれています。
音楽療法に参加されてその場を共有した職員や関係者の多くは、
継続していく‘音楽を介したコミュニケーション’から、
日常生活では見られない患者さんや利用者さんの変化が
生まれることを臨床的に経験されていきます
それが音楽療法の後押しの輪に繋がっています

少しでもその輪が拡がり、本当に求められる人へ音楽が
届くために、私のHPやブログが役立って欲しいと願っています





奈良県難病相談支援センター主催の研修会のお知らせ

2009-01-08 23:05:54 | 研究関連
私は県内のパーキンソン病患者・家族の会の方々へ音楽療法の実践をさせて
いただいています。その活動からこのたび奈良県難病相談支援センター主催の
難病患者在宅療養支援者研修会の講師を務めることになりました

内容は「支援者(ケアマネージャー・看護師・介護福祉士・保健師他)の
メンタル・ヘルスと音楽」についてです。
難病患者の方々への音楽療法を始め、より広義で根幹的な実践と研究をとおして
支援者の皆様へ、心身に役立つ音楽をお伝えできればと考えています。

支援センター関係者以外で参加ご希望の方は直接私(西村)の方へ
ご氏名とご連絡先をご記入の上、
メール(onen@iris.eonet.ne.jp)又は
ファックス(0743-21-3641)でお申し込みください。

  ******* 研修会のご案内 *******

日時:2009年2月17日(火) 午後1時45分~4時15分
場所:奈良県社会福祉総合センター5階大会議室(近鉄畝傍御陵前駅徒歩3分)
内容:「支援者のメンタル・ヘルスと音楽 ~難病患者支援の音楽療法~」
主催:奈良県難病相談支援センター

新春の祝い歌

2009-01-04 23:25:03 | 音楽療法実践
おめでたきお正月を迎え、今月は
祝い歌をたくさん用意します

1月1日の「・・祝う今日こそ楽しけれ・・」の歌詞を
若い職員さんは「・・まつたけ食べて(松竹たてて)・・」
と真顔で歌い、高齢者の方は大笑い
そんなコミュニケーションが‘伝承のひと時’になります。

三味線の音色で黒田節が流れると、自然に踊りの手振りがあり
経験知としての潜在記憶が‘表出するひと時’になります。

初夢の富士の山、七福神の一人の大黒様、お江戸日本橋、
わらべ唄の正月きたら・・・などなど
お正月の話題を提供する歌を想像するだけで、
佳い年になりそうな気持ちになります

今年も人生の先輩からどのようなお話を
聞かせていただけるのか・・・楽しみです