音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

♪「愛染かつら」の凄さ

2010-11-29 23:51:57 | 音楽療法実践
晩秋になると高齢者の方を対象にしたセッションでは
欠かせない曲があります
BGMとして流れてくるこの曲に合わせて口ずさまれ、
徐々に歌詞をしっかり思い出されて終わりまで歌われます。

音楽劇としてナレーションを入れていくと
「かわいそうにね~」「早く逢えたらいいのにね~」・・・
何も言わずに涙を堪える男性もおられます。

皆様の記憶が甦り、「映像が迫ってくるようだ」、
終了時には「おさげ髪の自分に戻ったようだわ」と
言われる表情は少し興奮気味に映ります。
最後にハッピーエンドで終わると笑顔が溢れ、
歌う声も最高に弾んできます

「心も体もすっかり開けっぴろげになってしまったわ」と
少し恥ずかしそうに私に言われましたが、
年齢がどこかへ飛んで行ってしまったようです

プランを送付させていただいただけで、
当日には看護婦さんとお医者さんの衣装を用意され、
‘役者二人’が「せりふ」で盛り上げてくださいます。

♪旅の夜風(愛染かつら)の力は凄いです。
晩秋になると、私の方が楽しみしているほどです

興味深い「音楽医療研究会」

2010-11-26 07:58:28 | 研究関連
日本音楽療法学会学術大会は9月に神戸で開催され今年度は終了しました。
音楽療法に関係する多くの研究会がそれぞれ独自な学術集会などを各地で開催しています。

今日はその中の『日本音楽医療研究会学術集会』を
大会長の服部優子先生のご了解を得て、お知らせいたします。
「変興味深いプログラムですので、ぜひ当日は名古屋にお越しください」

詳細なプログラム内容は以下のHPに掲載中ですので、ご覧下さい。
http://plaza.umin.ac.jp/jmmusic/

日時:2010年 12月5日(日) 午前10時~午後3時30分
場所:愛知県医師会館(地下鉄栄駅から南へ徒歩3分)
シンポジウム:「さまざまな音楽医療のかたち-医療と音楽療法の連携-」他研究発表
会費:事前受付(11月30日まで):1000円 当日受付(12月1日~):1500円
抄録集:500円
申込:上記のホームページより申込様式をダウンロードしてE-mailで申し込みされるか,
FAXでお申し込み下さい

人生の応援歌♪

2010-11-20 07:40:50 | 音楽雑記
ひと言で「音楽」といっても分野は多様で個人の嗜好も様々です
音楽療法士は「音楽」を基底にして実践をしますが、
療法士の誰もが全ての分野に精通していることはありません。
個別性の高い希望に添うことができるのか、できないのかは判断が要ります。

昨日、作詞家である星野哲郎さんのご葬儀のニュースを知り、
星野さんの歌を好まれていた多くの皆様のお顔が浮かんできました
♪三百六十五歩のマーチで一生懸命歩かれたあの人。
♪兄弟船のリクエストをいただき、嬉しそうに歌われたあの人。
♪アンコ椿は恋の花は「はるみさんのファンだ」と言われてあの人に応えた歌。
♪男はつらいよの映画を観たことは無い私に「面白いぞ~」と言われたあの人。
♪函館の女は北海道出身のあの人に寄り添いたくてプレゼントした歌。
・・・お別れした皆様からいただいた大切な思い出の曲になっています

多くの方がどの曲も口ずさむことができるのではないでしょうか。
作曲家の方が、星野さんの詩を繰り返し読んでいるとメロディが自然に
浮かんでくると話されていました。詩の心を大切にされてきた音楽でした。
分野で分けることは難しく、人生の応援歌として心に刻まれ、
これからも皆様の心に生き続けていく歌になることと思います

「意志伝達装置」存続の朗報

2010-11-19 22:20:11 | 音楽雑記
私が初めて意志伝達のための文字透明版を見たのは5年近く前になります。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんの支援者が信じられないほどの速さで、
患者さんの視線を拾って読み取り、代読されていたことに大変驚きました。
その時は熟練した技術が必要だとうかがいました。

それが、今では意志伝達装置「レッツ・チャット」という患者さん本人がスイッチ一つで
文字を拾い、言語的なコミュニケーションが可能になる機器があります。
手や足を始め、僅かに動く頬の筋肉をスイッチに繋ぐことができます。
言葉だけではなく、「レッツ・サウンド」という音楽を選択する機器もあるそうです

日進月歩以上の進化に驚いていましたが、その機器の販売が難しくなり、
在庫品限りと発表されて以来、障害者の家族の皆様が存続を呼びかけて
10万人分の署名を集めて、ついに販売継続になったという朗報を聞きました

先週、初めてその機器を見て、素晴らしい援助機器だと思いましたが、
そのような署名運動がされていることも知らなかったため、
このニュースの良い結末にほっと一安心しています。
自分の思いをそのまま文字にしてコミュニケーションを可能にしたこの機器は、
温かく優しい心とあきらめない気持ちから生まれたことでしょう

「神経難病ケアを考える集い」のご報告

2010-11-15 06:30:52 | 研究関連
先週の土曜日に奈良市保健所と日本ALS協会近畿ブロック主催で
学集会「ALS患者のコミュニケーション支援の実際について」が
開催されました
その続きで「第2回神経難病ケアを考える集い」が開催され、
専門的知識及び情報の共有とチーム作りを目的として
「コミュニケーションツール」をテーマに、約30名の参加者が
現状や事例について報告し合いました。

保健師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、音楽療法士、介護職、
福祉関係者、理学療法学科の学生、患者さんとご家族の方が参加していただき、
多くの意見交換をしながら、連携することの重要性を感じました。

意識や知能は正常に保たれたまま全身の筋肉が麻痺していく
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんが、手や足を利用することが
難しくなっていった時にでも、様々な工夫によって
コミュニケーションが可能になる入力スイッチが紹介されました。

瞼や口の筋肉を使って一文字ずつ選択して会話を可能にする
「レッツ・チャット」は素晴らしいコミュニケーションツールでした。
音楽の自己選択ができる「レッツ・サウンド」もあることをうかがい、
私としてはとても嬉しく思いました。

支援者側はお一人おひとりの思いをしっかりくみ取り、生活状況に合わせた
「心と体のコミュニケーションツール」を探しながら、
専門職の連携に繋ぐことが大切になると感じました

ご参加いただきました皆様に心よりお礼申し上げます。

亡き母へ捧げられた愛のメロディ♪

2010-11-10 23:52:17 | 音楽雑記
言葉で語り尽くせない「心の声」を代弁した
「音楽の存在」を痛感したコンサートでした。
特に後半は、亡き母へ音楽を捧げた息子のステージになりました

せめて温もりだけでも・・・という願いも虚しく、
母と別れなければならない現実の悲しみや苦しみが入り混じり、
思春期だった頃の繊細で壊れそうな彼の心が
透明感のある優しいメロディを通して伝わった・・・素敵なコンサートでした

10年経った「今」が、「止まった過去」と同じような感覚を持ちながら
音楽という手段で表現され、子どもの気持ちが痛いほど伝わり、
涙が溢れてきました。

難病を患いながらも、「幸せだった」と言葉を残した母、
彼はずっとこれからも「心の中で生きている母」を確認しながら
言葉にならない心を音楽で表現していくことでしょう

パーキンソン病ボランティアの会・・10周年

2010-11-02 20:55:27 | 音楽雑記
2000年の春に市民報を通して呼びかけがありました

「病気や障害をもっていても安心して生活できる街づくりを目指して、
一般住民の方々にパーキンソン病のボランティアの参加を募っています。
パーキンソン病とは‘高齢者に多く発病し、からだが自由に動かしにくくなる’
という特徴を持つ難病です。関心のある方は是非ご参加下さい。」

聞き始めていたパーキンソン病の理解に繋がると思い、講座の申込をしました。
奈良県郡山保健所とパーキンソン病患者家族の会(ひまわり会)が主催となり、
2000年の8月、9月に計4回開催され、第1回目は50名近い参加者でしたが、
10月のボランティアとして活動し始める集まりには11人の参加になりました。
その後2000年11月2日にパーキンソン病ボランティアの会が発足しました

アッと言う間の10年・・・昨日のことのように思い出されます。
音楽療法を学び始め、介護の仕事も始めており、参加することを
迷っていた時に、「迷っているのだったらやってみたらいいじゃない」
という先輩の後押しのひと声で参加することにしたのでした

まだ日本音楽療法学会が発足する前の日本音楽療法連盟だった年でした。
同年の秋に岐阜で開催された日本音楽療法連盟の大会で偶然お目にかかった
ボランティアの会の方へ音楽療法を導入する話をさせていただきました。
いろいろありましたが、今年度も音楽療法はご依頼を受けて継続されています

12月のクリスマス会と1月の10周年記念の集いには特別な想いが重なります。
時には発散になり、時には慰めになり、時には未知の想像の世界へ・・・
音楽の持つ様々な力を知る機会をいただきました。
あらためて多くのご縁に感謝しながら、「安心して生活できる街づくりを目指して」
微力を尽くしたいと思っています