音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

「回想法トレーナー養成講座」のご案内

2011-09-21 16:07:52 | 研究関連
高齢者と心をつなぐコミュニケーション法として知られている回想法に関する
『回想法トレーナー養成講座』開催のお知らせです。
回想法の研究では個人差はあるものの、認知機能の改善、情緒の安定、
問題行動の軽減などの効果が述べられています。
老年期に人生を振り返り、自己の人生を再評価する「回想法」を学ぶ機会になります。
関西回想法研究会の西川様よりご連絡をいただきましたので、以下ご案内いたします。

   ・・・・・ 『回想法トレーナー養成講座』 ・・・・・
○講師:野中恭子先生 (グループホームさっちゃんの家 顧問) 
○日時及び内容  
 2011年10月29日(土)   午前10時~午後5時
  ◍回想法の概要 ◍回想法に求められる良い聴き手とは
 2011年10月30日(日)   午前10時~午後5時 
  ◍グループ回想法方法論Ⅰ ◍グループ回想法方法論Ⅱ
○対象者:回想法に興味・関心のある方、実践をしたい方、すでに実践されている方
○定員:25名(定員になり次第締め切らせていただきます)
○参加費:1万2千円(全2回) 第1日目、受け付けにてお支払い下さい
 *全講座を受講された方には、関西回想法研究会より修了書を授与します。
○場所:キャンパスプラザ京都6階第7講習室  JR/近鉄「京都駅」徒歩2分
○お申し込み方法:2011年10月20日までに関西回想法研究会(担当:西川様)へ
 E-mail(toshiko@soc.ryukoku.ac.jp)またはFAX(075-956-1672)
 でお申し込みください。その際、お名前、住所、所属、連絡先を明記ください。


中秋を迎えた田舎で

2011-09-19 23:51:10 | 音楽雑記
初秋を感じてからの思わぬ「厳しい残暑到来」に心身の調整が
難しく、衣服や食事の季節感がややこしくなっていました。
ただ、田舎へ帰ると確実に秋の景色が広がっています。
お彼岸入りを明日に迎え、稲刈りを終えた畦道に彼岸花が整列し、
休耕田の秋桜は満開に咲き、確実に季節を知らせてくれています

田舎の風景も自然の音も味覚も・・すっかり中秋です。
昼食に「鰊そば」を食していると、認知症を患っている義母は
♪にしん来たかとかもめに問えば・・と歌詞を口ずさみます
日々、物盗られ妄想が拡がり?をみせるとともに、
話し好きで様々と語る内容が現実と妄想の世界を往来します

それでも歌詞はしっかり覚えていることが多く、
何よりホッとするのは微笑みも付録でついてくることです。
義母にとって思い出される音楽は幸せな過去の付箋なのかもしれません。
もともと社交的でおしゃべり好きなので、ケアマネさんと家族で
デイサービスを薦めてきたのですが、一緒に見学に行ってからは
「私は行きません」と断言してきました。

ただ、いつもいる自宅という環境では繰り返される妄想が減ることは無く、
ケアマネさんにご相談して再度薦めてみることにしました。
デイサービスという言葉を使用しないこと、好きな短歌を少しだけでも職員さんに
関わっていただくこと、昼寝(横になる)が出来ること、長寿の方へのご褒美だと
いう意識を持ってもらうこと・・を共有して一時間以上かけて粘り・・・
やっと、行き始めてくれることになりました

案の定、帰ってきてからはデイサービスの
話しが尽きないほどおしゃべりをしてくれます。
このご機嫌の外出が介護者にとってご褒美の時間になります

音楽療法の見学実習

2011-09-16 22:11:44 | 音楽療法実践
音楽療法を実践しているグループホーム(認知症対応型)や施設などでは
看護学、医学系を始め社会学や福祉学を学ばれている実習生の方に
見学していただくことが意外と多くあります

現場の実習として経験されることが多い中で、薬学部の学生さんが
実習先として病院や調剤薬局の他にグループホームを選択して来られました
以外な気持ちもしますが、実際に薬をお渡ししている相手の方が
どのような生活をされておられ、その施設では薬がどのように管理されて
服用されているのかという生活の現場を体感することになります。

音楽療法の見学はホーム長のお薦めからですが、
学生さんが薬を利用されている方の日常とは違う一面に出合えるとともに、
ホリスティックな視野を持つことを望まれているように感じます。
学生さんを指導されている先生も楽しみにしていただいているようで、
学生さんからは「聞いているだけかと思っていましたが、
参加型で皆さん楽しそうでした」と感想をいただきました

活気ある歌唱のお姿や楽器活動に対して積極的に参加されている時に、
私自身も、ふと・・グループホームであることを忘れてしまうほどです。
地域で活動されている「高齢者対象の歌声喫茶」と同じように感じられます。
音楽を介した人間の奥深いところで共有する世界ができているのかもしれません

十五夜のお月見

2011-09-12 18:04:58 | 音楽雑記
今宵は十五夜のお月様を愛でられそうです
今日の音楽療法をご一緒していただいた方から
自宅の庭のススキと萩をお裾分けしてもらいました。

昼間にはツクツクボウシが鳴き、朝夕には虫の音が・・・
季節の変わり目を大いに楽しみたいものです。
お月様に纏わる曲はざっと数えただけでも60曲を越え、
演歌、歌謡曲、童謡、映画の主題歌・・・などの
幅広い分野に亘り、個別性の高い嗜好に寄り添うことができます

九月に入ってからお目にかかった皆様と、たとえ離れていても
「同じ十五夜を愛でる」ことを共有するお約束をしました
お一人住まいの方も体調が優れない方も、家の中から
見易いと言われる秋の月ですので、愛でていただけると思います。

ご一緒に楽しんでいただいた曲を口ずさみながら、
満月から温かみや微笑ましさをもらって心の糧にしましょう。
山から満月が顔を出しています

現実のお別れと永久の存在

2011-09-11 19:34:35 | 音楽療法実践
パーキンソン病患者・家族会の音楽療法の集いがありました
残念ですが、今夏訃報をいただいた方のお姿が無いのは寂しい限りでした。
今となっては最後の参加になってしまいましたが、
昨春の集いでリクエストされた♪「野風増」の思い出語りと歌唱、
それまでにも歩行困難を伴う中で、ゆっくり一歩ずつ歩いて、
皆様の前で演奏されたハーモニカの音色・・・思い出は尽きません

本当に頑張ってこられたお姿と笑顔が鮮明に甦ります。
・・というより、私の心の中では永久の存在になり励ましていただきます。
いつもご一緒に参加されていた奥様がご挨拶に来られました。
最後の壮絶な闘病生活のお話に涙がこみあげてきました。
「語れる場」、「共有する場」、「心温まる場」としての患者・家族会は
貴重な存在であることを痛切に感じました

パーキンソン病に関して言えば寿命をまっとうできるとお聞きしています。
ただ、多くの患者さんは様々な病気を併発しながら闘っておられます。
支援させていただいているつもりの私たちに、実はいつも「生きる力」を
強く、重く伝えていただいていることを実感します。

地域における支援活動として始まった「パーキンソン病患者・家族会」との
繋がりは11年目に入っています。永久のお別れをしたお一人おひとりの
笑顔と♪音楽が脳裏に甦ってきます。
あらためて・・寄り添う活動を大切にしていきたいと思います。

新刊『音楽アイデンティティ』のお知らせ

2011-09-06 23:58:10 | 研究関連
本日、新刊が届きました。
音楽療法士仲間の岡本美代子さんが主として訳された
『音楽アイデンティティ 音楽心理学の新しいアプローチ』(北大路書房,2011)です
『Musical Identities』(編者:R・A・R・マクドナルド,
D・J・ハーグリーヴズ,D・E・ミエル:2002)の全訳本です。

原著編者3名は英国の大学で音楽と人との関係に焦点をあてた
共同研究を推進されています。
「音楽とアイデンティティの関わりを様々な観点から明らかにしている」と
訳者のあとがきで岡本さんは記されています。
大変興味深い本です。
意志を貫かれた彼女の努力に心より敬意を表します。

3年前に私も拙論に「音楽アイデンティティ」を
感覚的に使用していたことを思い出しました。
第23回日本老年精神医学会(2008)において
‘認知症ケアの治療的アプローチとして「思い出深い音楽」を
動機づけとした語りの有用性’の表題で研究発表をしました。
その抄録の中に「音楽アイデンティティを示す音楽嗜好」と記しており、
音楽と生涯発達として捉えた人生との相関関係を実感していた時です。

読み始めると、人類が進化する中で普遍的な音楽という存在を
広く音楽心理学の視点から捉えており、この先が楽しみです
ご興味ある方は是非ご一読くださいませ。
もしお手元に・・と思われる方はご一報いただければ幸いです。
もちろんご本人をご存知な方は直接ご連絡ください。