音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

音楽って、不思議で、素晴らしい🎵

2020-09-19 08:03:03 | ひとりごと
今日はお彼岸の入りです。
日の出の時間が遅くなり、明るくなってくるのが既に待ち遠しくなっています。

前回のブログで個人的にお勧めしました「村上RADIO ~5分で聴けちゃうクラシック音楽~」は
一週間以内ならラジコフリーで聴けますので、今日がタイムリミットです
日頃耳にすることが無い「5分のクラシック曲」の中に
若い象のためのサーカス・ポルカ、二匹の猫の滑稽なデュエット、
熊ん蜂の飛行、等は演奏も音色もとても楽しめます。

因みに、番組の情報サイトはいつでも開けますので過去の内容を全て確認できます。
次回の日時は未定ですが、「秋のジャズの大吟醸」と銘打っています。

音楽は不思議なもので、覚えているという自覚が無くても記憶していることがあります。
BGMが流れると歌詞も含めて全部口ずさめる卒業校の校歌、
突然空から降ってきたように口ずさんでいる曲、
景色を眺めている時にメロディが流れてくる曲・・

今朝も何故か突然メロディを口ずさんでいる私でしたが、
その曲が何なのか?誰の曲なのか?・・・
最近聴いたこともない曲なのに、何故突然このメロディを口ずさむの?

本人が意識して意味のある楽曲を選択することは多くあります。
目覚ましの音楽、運動する時に流す曲、何気ないBGM、等
ネットでも作業用BGM、睡眠用BGM、勉強用BGMとして紹介されています。
運動用には時間が図れる音楽は利便性が高く、
軽快なクラシックは10分ほどの曲が多いのでお勧めです。

今年で引退する阪神の藤川球児選手は登板曲として
リンドバーグの「every little thing every precious thing」を使用しています。
「マウンドへ向かう時に気持ちを奮い立たせてくれる曲」だと言います。
元々、陸上の高野進選手と夫人の夫婦愛がテーマの曲だということですが、
藤川選手の登板曲として使用されることになり、再発売されたそうです。
個人の音楽アイデンティティと言える曲ですが、ファンもライブで共有できる
音楽の存在は素晴らしいと思います。

多くの人には何がしかの音楽が記憶の部屋に残されています
初めて聴く曲であっても、その時の個人にスッと入りこみ
心地よい気分になることがあります。
大切な人の記憶の部屋へ入る時に「音楽」は大切なキーになるかもしれません。
本当に音楽って不思議です・・・

因みに、今朝から突然舞い降りてきたメロディは大橋純子さんの「シルエット・ロマンス」でした。
何故なのか?メロディから曲名を探し当てるのに随分時間がかかりました。
今週始めはブラームスのワルツが頭の中を廻って止まらないので、とうとう弾き始めています。
やっぱり、音楽って不思議です・・・

「radiko(ラジコ)のタイムフリー」のお勧め♬

2020-09-16 21:14:16 | 音楽雑記
以前、5月22日夜10時からのラジオ放送
「村上RADIOステイホームスペシャル ~明るい明日を迎えるための音楽」
が心地よくて、ラジコのタイムフリーをお勧めしました。

村上春樹さんでも落ち込む時があるということで、
そんな時によく聴く曲として、「♪雨が濡れても」を紹介されていました

今回の「村上RADIO~5分で聴けちゃうクラシック音楽~」は
9月13日(日)夜7時からでしたが、多忙な時間帯でしたので
本日タイムフリーを利用してやっと聴くことができました。
ラジコのタイムフリーを利用すると、過去一週間以内の番組を選択するとともに、
聴取を開始してから24時間以内であれば、合計3時間までいつでも聴取することができます

昨日のニュースで100歳以上の人が8万人以上になったと流れていましたが、
大正9年生まれで100歳ということになりますので、私の周囲でも3人おられます。
大正時代に蓄音機から流れた音楽を近隣の住民が集まって共有していたという
その当時の音楽社会からは想像を遥かに超えるIT音楽社会になっています。

55分の番組の中で始まりと終わりにだけ流れる大日本印刷の品の良いCM以外は
村上春樹さんの語りと音楽の50分間になっていてとても心地よいです。
落ち着いた声のトーンとテンポ、間合いの中で、ジョークを交えながらの
「5分のクラシック音楽」を次々と楽しめます。
選曲も曲順も視聴者への繊細で優しい心配りを感じます

音色も琴、フルート、チェロ、ヴァイオリン、ピアノ、声・・・
作曲者もヘンデルからロッシーニ、リスト、ストラビンスキー・・・
多種多様な5分のクラシック音楽を存分に楽しめます
休憩時間に気楽なひと時のつもりで聴いたはずなのですが、
思わず集中して聴き入ってしまいました。

その中で、ウィーンフィルとベルリンフィルを生で聴いた時の感想とともに、
生の音楽の良さを話されて推奨されていました。私も同感です。
演奏会で目を閉じていると高い天井から降り注がれる音楽のミストを
身体中に感じることができます。
時には身体ごと飛ばされそうな勢いだったり、
時には全てを包み込んでもらっているようだったり、
時にはキラキラとした音色が降り注ぎ、喜びを共有してもらったり、・・・

大きな演奏会へもやっと足を運べるようになるようです。
情報過多の時代で自宅にいても多くの音楽を聴くことはできますが、
生の音楽を聴けるひと時を大切にしていきたいとつくづく思います。
今はオーケストラの生の音楽を身体中に浴びたい気分です。

因みに、55分の会話内容や番組で使用した楽曲全てを紹介した
情報サイトは以下をご参考にしてください。このサイトもお勧めです
https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/

『若い頃の話が頻繁になること』に関する認知症研究

2020-09-05 20:48:54 | 研究関連
今は亡き義母がアルツハイマー病を患っていく10年近い年月の中で、
懐かしい昔話を繰り返したり、懐かしい歌を口ずさんだり、
自分の中で記憶として残っていることを
意識して伝えているかのように何度も話をしていました。
昔の生活や家族のつながりを教えてもらい、学ぶことも多くありました。

アルツハイマー病の最初のサインは僅かな記憶損失と行動の変容です。
脳の中の海馬は記憶形成に重要であり、影響される最初の場所であり、
研究においても重度になると海馬の損傷で神経細胞が死滅し、
今言われたことが記憶として残らないようになることが分かっています。

ただ、そんな中でも長期記憶は残されていることが多く、
自分が歩んできた若い頃の話を頻繁にするようになります。
特に過去の体験の記憶とされるエピソード記憶及び
自伝的記憶として自己のアイデンティティ形成に深く関わってきた
10代から20代の記憶が長い人生に生き続けることが多くの研究で示されています
その記憶の隆起を示す頑強な曲線を「レミニセンス・バンプ」と言います。

『<わたし>は記憶でつくられる(山田義裕.2012)』から。
自伝的記憶をめぐるはなしにおいて、興味深いのは、10代から 20代にかけて、
出来事の想起数の比率がグーンと上がって いる部分です。
これは,「想起の盛り上がり」(Reminiscence Bump)とよばれてい ます。
思春期から青年期にかけての記憶が、なぜ後々まであざやかに残るのかについては、
以下に挙げるいくつかの理由が考えられています。
・出来事の新奇性や示差性(卒業,就職,結婚,出産など)
・認知的パフォーマンスの高さ
・記憶の検索に関する文化的要因(結婚などの適齢期の規範)
・自己アイデンティティの確立期と重なる 卒業,就職,結婚,別離などの、
 若い年代での個人史の出来事
これらの記憶も,その時々で微妙に修正されて再構築されていくわけです。

『老いと記憶(増本康平.2018)』第1章の「思い出の記憶」から。  
人は何歳の時の経験を思い出しやすいのでしょうか?
生まれてから現在までの人生を振り返る時、想起される経験を
時系列に並べるとレミニセンス・バンプと呼ばれる特徴的な曲線を描きます。
65歳以上の健常な高齢者41名に、良い思い出、悪い思い出も含め、
人生における重要な出来事を尋ねた結果を示したものです。
これをみると10代から20代にかけて経験した出来事を多く思い出しています。
人生を振り返る時、特定の時期に生じた出来事が煩雑に思い出される理由は、
いくつか考えられます。
10代後半から就職、結婚、出産といったその後の人生に
大きな影響を及ぼす出来事を他の時期よりも経験することがあります。
初めて経験する出来事は何度も繰り返される出来事よりも際立ち、
感情的なインパクトも強いため想起されやすいと考えられます。
いずれにしても、この特徴的な曲線は、人生を振り返る際、
各年代での経験がまんべんなく想起されるのではなく、
特定の時期の経験が想起されやすいことを示しています。

『脳はなぜ都合よく記憶するのか(ジュリア・ショウ.2016)』から。
・・・つまり、人は10代と20代の記憶を持ち続けるようだ。
記憶はたいてい人生の特定の時期に集中しているらしい。
これは「レミニセンス・バンプ」と呼ばれる現象で、
・・・レミニセンス・バンプは、人は人生の時期をすべて均等に
覚えているわけではないことを示している。

『認知症高齢者への音楽療法に関する展望』から。
-「思い出深い音楽」と記憶に関する学際的研究を通して-
(西村ひとみ.2007.近畿音楽療法学会誌)
60歳代~90歳代の114名の研究対象者に「思い出深い音楽」3曲に関して
‘いつ頃の記憶’‘内容’の結果から得たレミニセンス・バンプを考察しました。
やはり、13歳~20歳までの記憶がピークを示しました。

その他、多くのレミニセンス・バンプと自伝的記憶に関する研究があります。

長い人生に生き続けてきた大切な記憶を語る「その時」を
共有しながら大切に関わっていけることを願います