音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

音楽療法で大切にしたいこと

2014-09-23 21:22:41 | 音楽雑記
「音楽療法」について日本音楽療法学会学術大会で語られた
言葉(内容)の一部を記しておきます

時々「音楽療法って何?」と聞かれることがあります。
お伝えし難い中で、何となく理解していただけるのではと・・・。
音楽療法をするうえで大切にしたいと思います。

○「セラピスト側に芸術的センスは必要だが、相手に求めない」

○「‘クラシック 嫌いな胎児 きっといる’(川柳として紹介)」

○「魂に響く曲として童謡、唱歌があげられる(ホスピスの経験から)」

○「本人の音楽嗜好や音楽暦を知り、ニーズは何なのかを把握すること」

○「音楽療法士はカウンセリングテクニックを学ぶこと」

○「要らぬお世話で自尊心を傷つけないように」

○「時には音楽が必要ではないこともあり、クリアな言葉を大切にすること」

○「生活における構造的な音楽環境を整備することも大切に」
 (例:音楽が好きな人にCDプレーヤーとヘッドフォンを提供して
    音楽環境を整えるとモルヒネの使用量が半分になったという事例)

○「Cureは治療として限界があるが、Careは本人と家族に対する援助として
   継続性があり、その人らしい人生を生きることを援助することである。」

○「アセスメントは医療的なことだけではなく、尊厳のある全人的な
   内容を知ること。推察する力を養いながら、毎回アセスメントできるようにしたい」

○「自由は大切だが、‘自由の不自由’もある」
   (何をしてよいのか分からない‘自由’を与えない)


日野原重明先生のライブ講演♪

2014-09-21 20:43:24 | 研究関連
今日までの3日間、名古屋国際会議場にて
第14回日本音楽療法学会学術大会が開催され、
様々な学びを得て奈良へ帰ってきました。
音楽療法を学び始めた時のような新鮮な感覚も感じています

中でも会場が一番盛り上がったのは、この10月で103歳になられる
学会の理事長である日野原重明先生がお元気な姿で講演を
一時間超えて立ち通しでされた時でした。

本当に音楽が大好きで、会場の皆様お一人おひとりに声を
かけておられるような姿に言葉にならない感動を覚えました。
ご自身の音楽暦について響く歌声を交えながら、
まさにライブ感のある「音楽療法」のようでした

終了後のコーラスの時にも舞台に上がられ、
♪故郷を指揮しながら、笑いも入れて会場を盛り上げてくださいました。
「今、ここで」のライブなひと時を楽しみながら、全身全霊で
私たちにエールを送っていただいているように感じました。
しばらくは「疲れた・・」などの言葉はとてもじゃないですが、使えないです。

全国から日本音楽療法学会認定の音楽療法士や音楽療法を学んでいる
人が一同に集まる年に一度の学術大会です。
若い学生さんや認定の音楽療法士が増えて会場の雰囲気が
年々世代間交流的なところもあるように感じています

少しずつ音楽療法の認知が広がり、ニーズも増えている現状ですが、
若い認定音楽療法士が安定した職業として活躍できる社会を
願いながら、同時に私たちの責任の重さを痛感しました。

「誰もが音楽を楽しむ権利がある。
その権利を使えない人のために音楽療法士が存在する」
「健康とはその人がその人らしく生きること」
大切にしたい言葉をたくさんいただいた大会でした

NICU(新生児集中治療室)における音楽療法♪

2014-09-15 07:29:23 | 研究関連
今週末の19日~21日の日程で名古屋国際会議場において
「第14回日本音楽療法学会 学術大会」が開催されます
日本ではまだ音楽療法士が国家資格化されておらず、
必要とされている分野に音楽療法が行き届いていないのが現状です。

アメリカからは多くの臨床の研究報告が届いてきます。
7月17日の当ブログにおいて紹介しました「周産期心理学」に関する
ワークショップが10月末に京都で開催されますが、
その中に参考文献として紹介されていた
『胎児は知っている 母親のこころ』
トマス・バーニーパメラ・ウェイントラウブ共著.日本教文社.2007
からNICU(Neonatal Intensive Care Unit:新生児集中治療室)
の研究に関する内容を以下に記します、

P146~147
・・・ジョージア・バプティスト医療センター(アトランタ)
の新生児集中治療室の看護師たちは、音楽が未熟児の助けになることを期待して、
ある実験を行なった。この実験では、未熟児のなかでも明らかに気分が安定しておらず、
繁雑に手足をばたつかせたり、激しく頭を動かしたり、
顔をしかめたりする子どもたちが対象として選ばれた。

研究者たちは、対象の未熟児がぐずったら、ます10分間その子をなだめ、
続く10分間に、子宮内の音と女性の歌声とを組み合わせた録音テープを聞かせた。
そして、そのあいだの心拍数、酸素飽和度(血中酸素の濃度)、血圧を記録し続けた。

その結果、未熟児たちは、音楽を聞いているあいだは酸素不足になりにくく、
態度が安定しやすいことがわかった。看護師たちは有効な治療手段を探り当てたのである。
音楽療法は、未熟児をリラックスさせるだけではなく、脳の配線を修整するようだ。・・・
*現在は医学用語として「未熟児」ではなく、「低出生体重児」が使われています。

末巻の原註P12の「音楽療法」には、
NICUで子守歌を流すと、新生児たちの酸素飽和度が低下しにくくなるという他に
体重増加及び入院日数の短縮に関する研究報告が記されている。

最近では「The George Center for Music Therapy,Inc.」
を検索すると以下の研究がみられます。
Standley, J. (2012). Music therapy research in the NICU: an updated meta-analysis.
Neonatal Network: The Journal of Neonatal Nursing. 31(5). 312-316.

保健所が関わる音楽療法

2014-09-13 19:19:55 | 音楽療法実践
iPS細胞研究の臨床が始まりました。
「朗報につながるようじっくり時間をかけていきたい」と
周囲の逸る気持ちを抑えるかのような冷静な言葉が印象的でした。

今週は難病のパーキンソン病患者さんの集いと
がん患者さんの集いの音楽療法がありました

パーキンソン病患者さんの集いの音楽療法は今秋で15年目に入ります。
継続できていることに感慨もひとしおですが、
患者さんとご家族さんの優しい笑顔とその場の
ほっこりする雰囲気があればこそと感じています。
ただ、音楽の力を借りながら交流できていることに
感謝の気持ちでいっぱいです。

「参加すること」だけでも強い気持ちが必要になります。
今回も転倒で入院されている患者さんが外出許可を
いただいて来られ、一生懸命楽器活動や歌や
運動に笑顔で参加されている姿に感動しました。

初めてのがん患者さんの集いではパーキンソン病患者さんの
音楽療法の時に支えていただいた保健師さんとの再会が
あってとても嬉しく思いました。
参加された皆様の表情が徐々に和らいでいき、
音楽のシャワーを浴びるひと時、
一緒に歌うひと時、楽器演奏するひと時・・に
保健師さん共々、お楽しみいただけたかと思います。

いつものことながら、大きなテーマに関する準備を幅広くしていきますが、
当日のその場の雰囲気をとても大切にしています。
ましてや初めての時の進行は、「その時」「その場」の
相互交流の中で変更していくことになります。
今回は多くの保健師さんにも参加していただき、
全員が一つになれるひと時も大切にしたいと思いました。

日々の生活の中で寄り添う音楽がありますように・・