音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

ご家族が驚かれたハーモニカの演奏

2010-09-29 21:57:11 | 音楽療法実践
施設や病院の常勤としてではなく、個々に契約をして訪問する
音楽療法士は日常生活を把握することは難しい状態です。
その為に、セッション前や終了後のミーティングで対象者の方の
近況など、情報を共有することになります。

そんな中で、職員さんが個々の方に潜在している「音楽」を
意識してくださることから、豊かなケアに繋がることがあります
対象者の方の人生に纏わる様々なことをご家族からうかがって
ケアに繋げる努力を積み重ねておられますが、
逆にご家族さんがご存知ないご本人の姿を見つけられることがあります。

グループホームで自室にハーモニカが置いてあることに気付かれ、
お話をしながら演奏をうながされると、見事に吹かれたそうです
その後も、メロディさえ分かれば何でも吹いてくださるとのこと。
ご家族の方は初めて聴きましたと言われたそうです。

職員さんはそのことに感動され、訪問する私にも伝えていただきました。
音楽療法の時にご本人に演奏していただければと・・。
症状が重くなり、塞ぎこみだった方ですが、音楽療法の時に
お願いをしてみるとハーモニカを演奏してくださいました。
隣りで目を閉じて聴いておられた在ホームの方は、終了後笑顔で
その方へ「上手いなぁ」という心の声を添えて大きな拍手を送られました

アフターミーティングで職員さんは、
「吹いておられる時のお顔はいい顔されていますね~」と。
ハーモニカの音色に包まれた温かい音楽のひと時でした

ドキュメンタリー映画『音の城♪音の海- SOUND to MUSIC -』のお知らせ

2010-09-27 21:28:43 | 音楽雑記
日本音楽療法学会近畿支部メーリングリストより情報をいただきました
コミュニティ音楽療法の観点からもとても興味深い内容の映画のご案内です。
関西においては最後の上映になります。
情報提供者の本間様、主宰者の沼田様のご了解を得て、以下掲載いたします。

♪・・ドキュメンタリー映画『音の城♪音の海- SOUND to MUSIC -』・・♪

神戸の「音遊びの会」http://www.k3.dion.ne.jp/~rii/
のドキュメンタリー映画『音の城♪音の海- SOUND to MUSIC -』
http://www.otonoshiro.com/ 

日時:10月2日(土)~10月15日(金)
   詳細:10月 2日(土)~10月 8日 (金) 17:30~  10月9日(土) 休映
      10月10日(日)~10月11日 (月) 17:35~
      10月12日(火)~10月15日 (金) 18:45~

場所:『京都みなみ会館』・・近鉄「東寺」駅下車西へ150m
http://kyoto-minamikaikan.jp/

*初日の10月2日(放映前)は音遊びの会メンバーによるミニライブ&監督
 (服部智行氏)舞台挨拶を予定しております。

■「音の城♪音の海」
(2009/日本/90分/配給:音の城♪音の海上映委員会、
エイブルアート・ジャパン)
監督:服部智行
出演:音遊びの会、ゲストミュージシャン
  (石村真紀、江崎將史、大友良英、片岡祐介、千野秀一、林加奈、森本アリ)

●知的なしょうががある人たちと、音楽療法家、音楽家たちによる即興音楽。
公演までに重ねられたセッションと対話を丁寧に綴った珠玉のドキュメンタリー。
世界中には様々な人がいて、様々な音があります。
何を音楽と感じるのかは人それぞれ。
これは音楽?それともノイズ?知的なしょうがいがある人たちにも
それぞれの感性で感じる音楽があります。
それは躍動する身体や笑顔、些細な動作、小さな声や息づかいの中にもあります。
そんな音楽にそっと寄り添い、共演しようとする、
独自の音楽を模索してきた音楽家たちの楽しい苦闘。
その果てに聴こえてくる音楽はどんな音楽でしょう。
映画館を出たあと、耳をすまし世界の音を聴いてみてください。
あなたの世界がちょっとだけ変わっているかもしれません。


日本音楽療法学会自由研究発表

2010-09-26 20:19:05 | 研究関連
爽やかな初秋の風を感じながら、神戸の国際会議場で開催されています
第10回日本音楽療法学会学術大会に参加してきました
昨秋から始まりました第2回ALS訪問音楽療法のプロジェクトの事例研究として
「意思疎通が困難なALS患者A氏との思い出語りから音楽の共有時空間へ」
を発表させていただきました

事例研究の発表をする際には必ず対象者の方のご承諾が必要になります。
今回も発表することができましたのは、研究発表に際しての
患者さんとご家族のご協力をいただいたお蔭です
意思疎通が非常に困難なALS患者さんに関する研究発表はほとんどなく、
その意味からだけでもALSの理解に繋がってほしいと願っています。

音楽療法には多様な形態や活動、アプローチがありますが、
今回は音楽の親近性やダイナミズムの力が中心にありました。
事例研究をまとめていく過程で、DVDを全て繰り返し確認していきながら
「それぞれの音楽を持ち寄った温かいライブ」のひと時だったことを感じました

訪問音楽療法のこと、ALSという難病のこと、命の尊厳ということ・・・
多くの学びをいただいた今回の事例研究を大切にしていきたいと思っています。
ご協力、ご指導いただきました多くの皆様に心より感謝申し上げます。

ALS訪問音楽療法プロジェクト

2010-09-11 23:55:56 | 研究関連
昨秋から開始されていました第2回ALS訪問音楽療法プロジェクトが、
今日の報告会を持って終了いたしました
ALS(筋萎縮側索硬化症)は意識、知能は正常に保たれたまま、
全身の筋肉が麻痺していく神経難病です。
2府4県の22名のALS患者さん宅へ音楽療法士がお訪ねしました。
それぞれ個別な事例の経過と結果、考察の報告と共に、
研究として了承を得た実践のDVD録画を共有しました

難病の中でも困難を極める療養生活を送られている
人工呼吸器装着の患者さんを主な対象としたプロジェクトでしたが、
お一人おひとりの暮らしぶりや性格、病気の段階など、
改めて個別性が高いことを実感いたしました。

音楽療法士自身が患者さんやご家族の皆様から「感動」をいただき、
今回のご縁に「感謝」する言葉が溢れていました
私自身も長期療養生活をされている患者さん宅へ初めてお訪ね
させていただきました。「いのち」に対する実感的な距離間を
音楽の時空間の中で、徐々に自然体で感じられるようになった
事例を学会で発表させていただくことになりました

一人でも多くの方にALSを理解していただくことによって、
多くの支援や研究に繋がり、いつの日か「ALSが難病ではなくなる」ことを
患者さんやご家族の皆様が強く希望されていることが伝わってきます
「支える医療」として音楽療法を推進していただき、プロジェクト研究の
代表としてご尽力いただきました近藤清彦先生に心より感謝申し上げます。

パーキンソン病とともに暮らすヒント

2010-09-05 06:01:29 | 音楽雑記
手足の硬直や手の震えを伴う難病のパーキンソン病の患者さんは
全国で約14万人と言われています。
私が地域の患者・家族会の皆様と関わり始めた10年前から
薬物治療を主体にした患者さんの暮らしに変わりはありません。

ただ、実感としては少ない中でも、年々若年性パーキンソン病の
患者さんが増えていることは様々な情報から感じていました
この度、若年性パーキンソン病の女性三人が暮らしや趣味を快適にするコツを集めた
『オン・オフのある暮らし パーキンソン病をしなやかに生きる』が出版されました
(引用記事:朝日新聞(2010.09.04))

高齢者に多いと言われてきた難病ですが、10歳代と20歳代に発病された
三人が病気を抱えながら60歳前後までの暮らしを継続してきた多くのヒントが
書かれており、広く高齢者や介護者に役立つことも添えられています

音楽療法の研究においては「リズムを利用した歩行」などを始め、
リハビリの分野で実践されていますが、お一人おひとりの歩行に
合わせるテンポなど個別性が高く、一般化することは難しいと感じています

今回の日々の暮らしに関する「コツ」は患者さんと介護者が広く共有でき、
お互いに語り合いながら、さらに新しいヒントを得ることにも繋がります。
意のままにならない身体を薬で調整しながらも、日々前向きに暮らされている
多くの患者さんとご家族さんにご紹介させていただきます。