音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

フレイル予防として♪

2017-12-17 10:27:41 | 研究関連
新しい介護予防として「フレイル予防」が広がっています。
frailty(虚弱)を予防するという意味で2014年から日本老年医学会で提唱されました。
「健康」と「要介護」の間を意識する期間とも言われ、
健康寿命を延ばすことにも関連してきます。
そのフレイル予防のポイントは「運動」「栄養」「社会参加」の3つになります。

東京大学高齢社会総合研究機構が主体となって
学術研究「栄養とからだの健康増進調査(柏スタディ)」
が2012年から継続されています。
興味のある人はネットに詳細が載っていますのでご参照ください

我が地域においても包括支援センターが来年度の
介護予防講座「新しい介護予防の考え方‘フレイル’」
として開催します。
今後は認知症予防と両輪で展開されることになるでしょう。

世界保健機関によると、
健康とは「肉体的、精神的、社会的に満たされた状態にあること」
と言われています。
音楽療法は健康の維持・促進など広く社会に貢献することを
目的とすることから、フレイル予防として音楽療法が担うことが考えられます

音楽の要素であるリズム、テンポ、メロディ、ハーモニー、歌詞が
運動(リハビリ、レクリエーション、体操など)に、
栄養(口腔体操など)に、社会参加(趣味嗜好、ボランティア、就労など)に
役立ち、その人らしい健康に寄り添えることを願っています

その人らしい居場所として♪

2017-12-09 10:44:15 | 音楽療法実践
音楽療法を実施している施設の中にグループホームがあります。
昔風の木造の一軒家で日常生活を過ごされています。
私がお訪ねすると、皆様は外からのお客様としてお迎えされます。

身に付いた美辞麗句のご挨拶やお気遣いもありますが、
実践の中ではお一人おひとりの個性が豊かに出てきます。
その媒体として「音楽」は役立つことが多いと実感します

一曲の音楽を通して個人の感情や回想された風景などが醸し出されます。
言葉に現れない動作や表情を日常生活を共にされている介護職員さんから
教えていただくことが少なくありません。

先日は入所されて間もない人に初めてお目にかかって音楽療法の時間を
ご一緒に参加していただきました。
どの音楽にどのような参加の仕方をされるのかを見ながら進行していくことになります。
徐々に表情も和らいで、楽器活動、歌唱に積極的で、終わりの挨拶時には
笑顔で言葉かけをされました。

終了後に職員さんから「入所されてから初めて席を離れず一時間を
過ごされていて驚きました。テレビやレクリエーションでもじっとしておられなくて・・」
とお伺いして、改めて重度の認知症の人にライブな音楽の関わりの重要性を感じました。

私自身も体験してきましたが、ご家族の気持ちを察すると、
その参加されていた姿を見ていただきたかったという思いです。
今後は音楽や趣味、嗜好などを紐解きながら、その人らしい居場所に
音楽で寄り添っていきたいと思います

冬の季節に回想する音楽♪

2017-12-02 07:50:14 | 音楽雑記
小春日和の秋を楽しむ気分は短く、晩秋から寒さを感じていますが、
更に12月は例年より寒さ厳しい冬になりそうです…

街中ではクリスマスバージョンの飾りつけが始まっていますが、
BGMで流れてくる音楽の中に
♪冬がはじまるよ  ♪北風 
のメロディが耳に届くと、瞬時に懐かしい家族の一場面が回想されます。
まだ子ども達が中学生の頃に遠い実家へ車で帰る時のBGMでした

音楽療法の実践においても、個人の思い出に纏わる曲が流れると
「夕飯の匂いがしてきます」
「先生の顔が浮かんできます」
「今でも涙が溢れてきます」・・・
多くの言葉が聞かれます。

たとえ一曲でもその人にとっては人生の大切な、
個人的な回想を伴う一場面を引き出すことが分かります。

身体を鍛える運動やゲームなどにも音楽は関わりますが、
人生に寄り添ってきた♪音楽は心を元気にすると実感しています。

悩んだり、悔やんだり、傷ついてきた人生を経てきた「自分」を
穏やかに包んで癒してくれる音楽の存在を大切にしたいものです