音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

田舎の空間

2021-11-24 18:59:42 | ひとりごと
現代ではYouTubeなどで多様なPLAYLISTを選曲していつでも聞くことが出来ます。
最近、車の中でspotifyの音楽を楽しめることを知りました。
田舎への往復の車中で、好きな音楽に包まれることは何とも気分が良いのです

世界のニュースがいつでも届き、最新の音楽やコンサートライブなども今の居場所で
楽しめるこの時代は何と幸せなことでしょう。
ただ、それは当たり前ではなく、今の私には不思議な感覚も伴います。

紅葉も見頃で車中からの山の装いも良く、日光が当たっている銀杏の木の美しいこと・・。
田舎へ行くと、畑には冬の野菜が並び、春の収穫を楽しみにする苗も植えられています。

先日、苗植えを手伝いに行った時は誰にも会うこともなく、
本当に静かな田舎の空間で、冬の冷たい空気だけが漂っていました。
新鮮で甘い冬の野菜を煮ていると、とても優しい気持ちになります。

世界の音楽にいつでも身をおける自由さと、田舎で感じる空間の豊かさに
幸せを感じるこの頃です




パーキンソン病患者・家族会の21周年

2021-11-13 07:00:00 | 音楽療法実践
21年前の2000年の夏に、地域保健所が難病であるパーキンソン病患者の
支援を広報誌において住民に呼びかけました。

パーキンソン病の理解に繋がる医療講座、支援方法のグループワーキング
などを経て、11月から実際に患者・家族会への活動が始まりました。
保健師さんの優しく、細やかな気遣いのある関わりを共有しながら、
緊張する中でも癒されるひと時だったことを思い出します。

2001年に日本音楽療法学会が設立され、音楽療法の普及も始まりました。
学会において難病と音楽療法を学ぶ中で、パーキンソン病の活動に音楽利用も
理解され、年に数回の音楽療法の集いが開催されることになりました。

音楽を活用したリハビリ運動、グループ活動を通しての社会への繋がり、
日常生活における音楽の利用、音楽本来の活動の楽しさと新奇性、等々。
リクエストなどを通して私自身が本当に多くの学びをいただきました
リクエスト曲を通して、一人の人生に寄り添うことの大切さも教えていただき、
講師の時の講義やその後の研究に繋がりました。

2000年には介護保険制度が開始され、近年は多様な利用者の要望に応えられる支援が
充実してきました。難病の患者さんも利用する社会的な機会が増えており、
iPS研究による臨床も始まっています。様々な取り組みが暮らし易さに繋がっています。

21年間を通してご一緒して活動できたのは私を含めて3人になります。
活動をするかどうか迷っている時にポンと背中を押していただいたこと、
いつも利他的精神で活動全般を支えていただいたこと、
お互いにさり気なく気持ちを伝え合えたこと、
私一人では21年の活動はとても継続できなかったことを思うと、
ご一緒して支えていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

昨年の20周年を迎えた時には、関わって下さった多くの保健師さんと他地域の患者・家族会、
そして地域の皆様に呼びかけて記念の集いをする予定でしたが、コロナ禍によって
延期せざるを得ませんでした。
今年になっても音楽療法として初めての活動が来月に開催されるという現状です。

来年こそは、多くの関わりを通してご支援していただたいた皆様と21周年の記念の集いを
ゆったりと穏やかな気持ちで開催できますように・・・




初めての居室面会

2021-11-11 06:20:28 | ひとりごと
私事になりますが、母が2月末に脳梗塞で倒れて緊急入院してから
2ヵ月弱で退院し、その後に入った施設でもコロナ禍の為に
面会もままならなかった中で、やっと初めて居室での面会が出来ました。

ただ、面会時間は10分。コロナワクチン接種証明書持参の家族2人、
マスクとフェイスシールドをすること、という条件でした。
パーティション越しでは無くなりましたが、時間が今までより短いので
初めての部屋の雰囲気を味わう時間も無く、
2人で交替で近況を話しかけながら慌ただしく終わりました。

入院している時には声掛けに応じて手を握り返してくれていたのですが、
久し振りの面会時では母から握り返してもらった感覚はありませんでした。
音楽が好きだった母が好んだCDを届けてありますが、
その音楽を一緒に聞きながら懐かしい話をすることは出来ませんでした。

コロナ感染者数はかなり減り続けた現状と、ワクチン接種もお互いに終えた中でも
厳しい面会条件には個人的にかなり辛いものがありました。
初めて応対していただいたケアマネさんに、日頃のケアに勿論感謝をお伝えした上で、
「どのような条件になったら少しはゆっくり居室で4人ほど入れるのでしょうか?」と。
今の現状においても先が見えないという家族への心理的援助に関する
検討の要望をお伝えしてきました。
次回の面会は月末です。

本来、母の居室に家族はいつでも自由に訪ねることが出来るという施設です。
コロナ禍においては厳しい条件が続いてきましたが、
家族として人生の最終章を迎えている母と、ゆっくり好きな音楽を一緒に聞いたり、
数えきれない程の思い出話をしたり、手を握ったり、髪の毛を整えたり・・・
感謝の気持ちを伝えたい思いが溢れてきます。

母の居室において少しはゆったりしたひと時を過ごせることを願う毎日です










『人間はなぜ歌うのか?』

2021-11-07 07:07:19 | 研究関連
今朝の散歩は少し肌寒い風を感じ、身体が緊張して
しばらく強張る中で、いつもより足早に歩いていると
暖かくなり、ペースも遅くなってきました。
途中で小鳥の種類は分かりませんが、数種類の鳴く声が混じりあって
楽し気に聞こえ、足取りを止めて少しの間見上げていました。

そんな天然の音楽を感じることと関係のある書籍を以下にご紹介します。
音楽の起源は所説あります。あらためて考えてみませんか?

『人間はなぜ歌うのか?』
 人類の進化における「うた」の起源
 ジョゼフ・ジョルダーニア 著
 森田稔 訳
 ㈱アルク出版企画.2017.

音楽は
カール・シュトゥンプが言うように
 離れた場所の間での通信に役立っている

カール・ビュヒャーが言うように
 組織的に作業するのを助ける

ダーウイン&ジュフリー・ミラーの主張のように
 異性を魅惑することができる

ジーグフリート・ナ―デルが言うように
 宗教的な変身に用いられる超自然的な言葉

イヴァン・フォナジーが考えたように
 音程操作によって意味を伝達することもできる

ジュアン・レーデラーの言うように
 人間が言語を獲得するのに役立った

ヴアチェスラフ・イヴァ―ノフ&ダニエル・レヴィティンが考えるように
 我々の祖先が重要な情報を記憶するのを助ける

ネイサン・コ―ガンが示唆したように
 狩猟の際に集団動作を一致させて協同作業を助けるのに必要

エレン・ディッサナヤケの主張するように
 母子間のコミュニケーションに最も大切な手段なのであり

エドワード・ハーゲン&グレゴリー・ブライアントが言うように
 音楽と舞踊は集団の結びつきの質を示す上で素晴らしい手段である

多くの人びとが主張するように
 音楽は人間の言語の起源に重要な役割を果たした

フィロデモス&スティーブン・ピンカーが考えたように
 音楽は我々の五感を楽しませてくれる素晴らしい「チーズケーキ」でもある

音楽は車の中にも、ショッピングモールやエレベーターの中にも、
あらゆる場所に存在しているが、最も重要なことは、人の心の中にあることだ。
それは何百年ものあいだ、ずっとわれわれとともにあり続けたのである。・・・

音楽がわれわれの心の中に響いている限り、われわれはいっそう利他的にも道徳的にも、
献身的にも幸福にもなりうる。・・・