goo blog サービス終了のお知らせ 

音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

『チーム・ブルーの挑戦』

2022-10-27 22:02:27 | ひとりごと
自宅でその人らしい命と向き合う看取りを目標に診療所を作られた内容の本の紹介です。
『チーム・ブルーの挑戦 ー命と向き合う「やまと診療所」の物語ー』 
大月書店 中島隆 2021年発行
以下、今年始めに母を在宅で看取った私の思いと重なる本の内容を紹介いたします。
(数字は本に掲載されているページです)

    ・・・・・・・     ・・・・・・・     ・・・・・・・     

自宅で自分らしく死ねる。そういう世の中をつくる。 77

スタッフが最期の時間にかかわることで、自分自身の人生も豊かになるのです。
患者も家族も、自分自身も幸せになる。 79

病人というよりも、人間としてかかわれるのが嬉しかった。 88

人は死を目前にひかえたとき、自分のために行動しない。人のために行動するのだ。
自分らしく死のうと考える人は、最期の直前まで、まわりに愛を届けようとするんだ。89

食べられない原因には、口のまわり、のど、舌の筋肉の衰えがある。
ちょっとずつ食べる。飲むことで筋肉を鍛える。そういうリハビリが必要なのだ。
ところが、病院は基本、リスクを回避する場所である。食べたら誤嚥性肺炎になるからと、
ペースト状の流動食、チューブで胃に直接栄養を送る胃ろうにしてしまう。
食べることがなくなると、筋肉が衰えて、ますます食べられなくなる。
本人や家族が「食べられるようにリハビリしたい」と言っても、病院は言う。
「何かあったらどうするんですか」 104

その人らしく過ごしてもらうために、その人の体を立て直すことだ。立て直せないときは、
その人に、家族や仲間とどうやって過ごすか考える時間をつくることだ。107

どこで最期を迎えるか、病院でいいか、自宅がいいか。
病院にいたらどうなるか。
病を治そう、治そう、治そう。そうなる。だから、まず自由が奪われる。どこにも行けなくなる。
命の危機を迎えたとき、おそらく延命措置がされるだろう。医療機器につながれて、
意識がないままにギリギリまで生かされるだろう。苦しむだろう。111

「人生の最終段階における医療に関する意識調査」国が2019年にまとめた報告書がある。
市民も医療福祉関係者も、約7割が自宅で死にたいと答えている。120

<もっとリハビリをすれば、おばあちゃんは家に戻れたかもしれない>
リハビリで病が治るわけではない。けれど、少しでも動けるようになったり、おいしく食事を
とれたりできたら、患者と家族の新しい生活を組み立てられる。129

「在宅で大切なのは患者さんやご家族のストーリーを書くこと。だから、たくさん書ける
仕組みにしています」 164

家族の事情などで在宅ができなくなり、病院に入ってしまうと、どうなるか。
病院の医師たちは、病気を治そうとする。リスクを避けようとする。病院食、点滴・・・・。
けっきょく、病院で最期を迎えることになる。患者本人の意志に反して。176

「医師の世界にはヒエラルキーがあり、トップにいる医師の指示に従うというのが一般的です。
『やまと』さんは違った」 220

「希望調査をすると、毎回、6,7割の方が『家で亡くなりたい』と言います。でも、実際に家で
看取られる人の割合は約2割、あとの8割は病院や施設という現実があります」
希望と現実のギャップ。 223

いまは、在宅医療は点在しているにすぎない。けれど、それが線となり、面となれば、
世の中の光景は変わる。 224

一つひとつの死には、それぞれのストーリーがある。それを拾い上げる。
ストーリーを、思いを拾い上げる大切さを、わたくしは痛感いたしました。 228,229

チーム・ブルーのみなさんは、人の死を数字にしてしまうのではなく、ストーリーとして
残していこうとしています。愛と悲しみと考え抜く力に、思いを言語化する力をプラスして。230

秋の音楽

2022-10-16 20:08:47 | ひとりごと
秋晴れが続く中、遠くから運動会の音楽やアナウンスの声が聞こえてきます。
毎年、今年はどんな音楽がかかるのかと楽しみにしながら耳を傾けていますが、
昭和のポップスやアニメの曲、現在の流行曲などの中でマツケンサンバが
リズムも軽やかで乗り易いのか、よく利用されています

以前に、ある小学校の運動会ではスピーカーの音が悪すぎて、雑音にしか
聞こえず音楽として楽しめず苦痛だった経験があります。
日常生活における音質の良さが通常になってきたのかもしれませんが、
現代では音響技術がかなり進み、古いスピーカーでは音として
違和感を感じられる人も多いように思います。

コロナ禍では今までの運動会より、時間も種目も減って半日で終わるところも
多いようです。それはそれで良いこともあるように感じています。
当たり前だった今までの慣習を見直す良い機会になるかもしれません。

稲刈りを終えて10月の爽やかな季節にはお祭りも多く、和太鼓の音も
楽しみになります。
公民館や学校に立派な和太鼓が置いてある中で、秋のこの機会に誰もが
和太鼓を実際に叩いてみる体験やその音色や響きを身体全体で
感じて欲しいと願います

現代では音色もリズムもメロディもかなり大きな振り幅がありますが、
身近な音楽として親しみを感じられる秋でもあります。
感謝と希望をともに感じられる秋の音楽に出会えますように・・

今宵は十三夜

2022-10-08 14:21:55 | 音楽療法実践
昨日は予想より長い時間の雨となり、今日は晴れる予定でしたが・・・
今宵は十三夜のお月見です。
季節を感じながら毎週替える色紙も十三夜になっています

先月の音楽療法は敬老の日のお祝いのひと時として皆様に喜んでいただける
大ヒット曲をメインにしましたが、今月は秋を存分に音楽から感じ取っていただきます。
十三夜も含めて行事も多い季節になりますので
♪月の法善寺横丁、♪月がとっても青いから、♪炭坑節、等もプランに入ります

お米の収穫もそろそろ始まり、秋のお祭りの準備も各地域で始まっています。
お月見始め、お祭りや見頃の花などの話題も盛り沢山ですが、
鉄道唱歌の歌も必ず入ってきます。
国土交通省のHPにも今年は特に丁寧に紹介されています。以下、参照。

   ・・・・・・・   ・・・・・・・
明治5年(1872年)10月14日新橋~横浜間に日本で最初の鉄道が
開通したことを受けそれから122年後の平成6年、その誕生と発展を記念し、
毎年10月14日を「鉄道の日」と定めました。
鉄道が国民に広く愛され、その役割についての理解と関心がより深まることを願い、
鉄道事業者、関係団体、国などが「鉄道の日」実行委員会を組織し、
毎年多彩な行事を全国各地で実施しております。
なお、今年、2022年は、日本初の鉄道が開業してから150年の節目を迎える年です。
    ・・・・・・・   ・・・・・・・

日本で初めて汽車が走った様子を想像するだけでも楽しくなります。
明治になって近代化していく日本へタイムスリップしてみたいものです。
音楽療法時には必ず汽笛笛(きてきぶえ)を持参しますが、独特な汽車の汽笛は
皆様の反応が大きく、瞬間にその場を汽車に乗っている雰囲気に変えてしまいます。

‘『鉄道唱歌』初版1992、野ばら社’の本には全国の鉄道唱歌が掲載されています
明治33年から歌われてきた地名や文化などを皆様に教えていただくことも多くあります。
さらに奈良には独特な、『奈良めぐり』の歌があり、七代伽藍の鐘の音や名物が
記載されており、住んでいる奈良をご一緒に楽しんでいきます。

お月見から秋祭りなどの季節を満喫する音楽のひと時は、年齢や病気などの垣根を超えて
全員が共有できると共に、音楽には人生に寄り添う力、背中を押す力があることを実感します

『延命治療』から『延命措置』へ

2022-10-01 21:15:36 | ひとりごと
日本医師会 生命倫理懇談会は、令和2年5月に
『終末期医療に関するガイドラインの見直しとアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の普及・啓発』
の答申を発表しました。

27ページに亘る答申は生命倫理懇談会において議論を積み重ねた内容だと感じました。
現代の終末期医療に関する問題は数年前とは大きく異なる価値観を共有するためであり、
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の普及・啓発はその最前線の価値観を意味するものと
考えています。
終末期医療の問題点、医師及び医療関係者からの一方通行ではなく、
患者本人の意思確認(出来ない時のことも含む)、及び家族との共有認識を
話し合うことも記述されています。

以下、一部抜粋します。
 ・・・・・・・   ・・・・・・・   ・・・・・・・
 前回の答申から10 年以上の月日を経て、終末期医療に関するわが国の状況にも
 相当の変化が生じた。それらを列挙すれば、少なくとも次のような点を、
 ガイ ドラインの改訂を促す事情としてあげることができる。
 ・ 超高齢社会の急速な進展
  ・ それに伴う在宅及び介護施設における療養・看取りの増加
  ・ 地域包括ケアシステムの構築が進められていること
  ・ いずれの状況にお いてもかかりつけ医の果たす役割が期待されていること
  ・ 医療・医学の進展(ここには遺伝子診断・治療の進展や、緩和医療の進展が含まれる)
 ・ 認知症患者の増加
  ・ 長期の高齢期に対応するべく、早期にACPを行うことの重要性が意識されるようになったこと
 ・・・・・・・   ・・・・・・・   ・・・・・・・

終末期医療として4人の家族を見送ってきた私としては、以下の項目が重要だと感じています。

 ・・・・・・・   ・・・・・・・   ・・・・・・・
 <3.人生の最終段階における医療・ケアの方針決定の基本的手続き>
 延命措置の開始・差し控え・変更及び中止等、特に差し控え・中止に際しては
 その行為が本人の死に結びつく場合がある。
 したがって、医師は、本人の意思決定支援における ACPの重要性を認識するとともに、
 人生の最終段階における医療・ケアの方 針決定を行う際に、特に慎重でなければならない。
 その上で、延命措置の開始・差し 控え・変更及び中止等に際しての基本的な手続きとして、
 以下のことがあげられる。
(1) 本人の意思が確認できる場合には、担当医・かかりつけ医等の医療従事者による
適切な情報提供と説明に基づく本人の意思を基本とし、それを尊重した上で
医療・ケアチームによって決定する。その際、医師等は押し付けになら ないように
配慮しながら本人・家族等と十分な話し合いを行う。
本人の意思は変化し得ることから、時間の経過、病状の変化、医学的評価の変更等応じてその都度説明し、その意思を再確認する。 
この説明に当たっては、家族等も含めた十分な話し合いを行うことが必要である。
 ・・・・・・・   ・・・・・・・   ・・・・・・・
 
上記の内容で私自身が体験とともに感じていた「延命措置」という言葉でした。
この答申の終わりの(注)に記載されていました。

 ・・・・・・・   ・・・・・・・   ・・・・・・・
 注 6) 従来、延命治療といわれてきたが、現在では、これはもはや「治療」ではな いとする
 考え方も有力になりつつあるため、本ガイドライでは、延命措置と いう言葉を用いた。
 ・・・・・・・   ・・・・・・・   ・・・・・・・

既に2年以上前の答申ですが、実際の医療の現場ではどのような関わり方の変化が
あるのでしょうか?本人と家族との話し合いは十分にされているのでしょうか?
「それは単にガイドラインですから・・・」
と施設の面談で言われた時は唖然とし、在宅介護への意思を決定させる言葉になりました。
その後、家族の気持ちに寄り添っていただいた在宅での看取りを終えた時には
溢れる感謝の気持ちとともに、家族皆が穏やかな気持ちを共有していたことに安堵しました。

尚、冒頭には以下のように記載されています。
 ・・・・・・・   ・・・・・・・   ・・・・・・・
 日本医師会の横倉義武会長より、「終末期医療に関するガイドラインの見直しと
 アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の普及・啓発」に関する議論の取りまとめを
 行うようにとの諮問を受けて発足した。
 その後、年号が令和に改まる中で、次のように議論を積み重ねた。
 第1回:平成31年2月21日 第2回:令和元年6月27日 第3回:令和元年10月3日
 第4回:令和2年1月23日 第5回:令和2年5月25日
  (第5回目は新型コロナウイルスの感染拡大によりやむを得ず懇談会は中止し、
   答申案などの最終的検討についてはメール審議で代替した)
 ・・・・・・・   ・・・・・・・   ・・・・・・・