音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

神経学的音楽療法の講演会

2008-11-30 21:31:23 | 研究関連
リハビリテーションにおける機能回復(改善)のために、
音楽を最大限に活用する音楽療法の方法論である
「神経学的音楽療法」の講演会をご案内します。

第三回神経学的音楽療法講演会
   講師:米国コロラド州立大学教授 マイケル・タウト博士
  日時:平成20年12月3日(水)18:30~20:30
  場所:財団法人 大阪国際交流センター 大ホール
 〒543-0001 大阪市天王寺区上本町8-2-6 Tel.06-6772-5931
  内容:神経学的音楽療法の紹介
  費用:無料(同時通訳機使用の場合は、別途630円いただきます)
   申し込み方法:御氏名、御連絡先、御所属、御職業を下記のメールアド
  レスもしくは電話かFAXでお知らせ下さい。
  E-メール syoshikawa_nmtkoen@yahoo.co.jp
  電話 072-445-3721  Fax  072-443-7784
  
パーキンソン病の歩行、運動性失語症の発話などの症状に音楽の
リズムなどの動機づけが効果的であると言われています。
第一人者であるタウト博士の講演会は貴重な機会になります

自伝的記憶の研究会報告

2008-11-29 23:49:36 | 研究関連
「自己と過去をつなぐもの」の自伝的記憶研究会
が名古屋で開催されました。
暖かく良い天気の中、興味津々参加してきました

自伝的記憶は、「個人が人生において経験した出来事の記憶」
であり、「自己に関わる記憶」です。
認知心理学から、現在は社会心理学、臨床心理学などの
領域へ拡がりをみせています。

その自伝的記憶とパーソナリィティ特性の関係に
関する神谷先生の研究発表は、量的研究と質的研究の融合を
意識した研究手法の流れの『今』を感じ、ワクワクしました

さらに、ネガティヴな出来事をどのように自分が受け入れ、
ポジティヴな感情(意味のあるもの)へ持っていけるのか、
に関するアプローチは今後の研究に繋がります。

いずれにしても、私の「自伝的記憶と思い出深い音楽に
関する研究」において、参考文献として最も影響を受けた
槙先生にご挨拶できましたことが何より嬉しいことでした

心が安定する関わり

2008-11-28 00:49:07 | 音楽療法実践
様々な音楽療法を実践する中で、心が安定する
関わりを共有できた時は幸せ感が漂います

7名の高齢者と職員3名と私が同じ時間を共有する時に、
補聴器の調子を気遣い、リクライニングチェア-の方に
寄り添いながら耳元で口ずさみ、涙ぐまれる方の横で
「良かったね~」と一緒に涙される職員の関わりは、
その場を安定した気持ちにする援助技術であると思います。

高齢者が望む関わりは、「気持ちが安定する」「自分の
存在価値を認めてくれる」「心から喜んで関わりを持って
いてくれることの実感」だと言われています

その望まれる関わり方を関係者全員が共有できることは
音楽療法の時間だけではない日常生活に及ぶものと考え
られ、私も安定した幸せを感じられるひと時になります。

学ぶこと、感動することが多い現場です

歌うことによる口腔ケア

2008-11-24 16:30:42 | 音楽療法実践
音楽療法の目的は多様で、お一人おひとりの『今』の状態を
把握している関係職員との連携は欠かせません

実践の中で『歌うことが口腔ケアになる(甲谷至)』という
本の内容を話すと、終了後のカンファレンス時に、
「流動食になってきた方に、もう一度固形食を食べることなど、
参加することによってご本人のやる気に繋がって欲しいと思っています。
なので、口腔ケアのお話をしていただいてよかったです
と、日常のケアに繋げる内容でした。

長期の目的は、生活能力だけではなく、
それに伴なう『質』の向上のために、
ご本人の心身両面を支えることになるのです。

目的意識を持ってお好きな歌を楽しまれる姿
職員の喜びになり、やる気に繋がるという好循環になります

Narrative and Self 研究会のご報告

2008-11-19 01:06:46 | 研究関連
自己語りの研究は、音楽療法と関連が深く、紅葉の京都へ行って来ました
このブログ内だけでは少ないとは思いましたが、ご報告させていただきます。

語りの意味生成過程を扱うアプローチに関して(榎本先生)、
人の経験や生活を過度に単純化してきた数量化信仰によって
「人々の人生経験が見失われた(Josselson)」こと、
「アイデンティティとはライフヒストリーである(McAdams)」ことを挙げ、
セルフを捉える自己の経験の意味付けに関する内容でした。

続いて発達論の両行モデルについて(やまだ先生)、「美しいメロディを
聴くという側面と、実は別のメロディの存在があるという側面」を
具体的な例として挙げ、Baltesのモデルに繋がっていきました。

McAdams氏の講演内容は、実際の研究方法を紹介すると共に、ナラティブストーリーは
「私は誰であるかを語る」とし、個人の統合の働きが重要であること、
さらに、日本とアメリカとの文化の違いに関する話題でした。

最後に森岡先生が、日本固有の「時間」と、整合性が崩れるところが
モティーフとして重要であることを課題として投げかけられ終了しました

獲得と喪失をプラスとマイナスと捉えるのではなく、違う軸として捉え、
多声的、多次元的な研究としての「ナラティブ」が、印象に残りました

※研究会のお知らせ記事はこちら

自伝的記憶に関するシンポジウム

2008-11-14 19:24:09 | 研究関連

発達心理学会の研究会情報の中に
興味深いものがありましたのでご案内します。

シンポジウム「自伝的記憶~自己と過去をつなぐもの~」
【日時】2008年11月29日(土) 13:00~16:00
【会場】名城大学 天白キャンパス 共通講義棟北 N-201
参加無料・予約不要
詳しくはこちら

高齢者領域の実践をされている多くの方は、
音楽と自伝的記憶(過去の自己に関わる記憶の総称)に
強い関係性があることを実感されていることと思います。

自伝的記憶に関するシンポジウムは珍しく、
話題提供者は認知科学研究の第一人者です。

行けないかもしれませんが、ワクワクします


多様な参加の姿

2008-11-11 23:18:15 | 音楽療法実践
我が国の音楽療法の実践において、
精神科領域と高齢者領域では
歌唱が最も多く用いられている活動です。

ただ、コーラスで「歌唱する」ことが必須であることと
異なり、私のグループホームの実践は、音楽療法に
参加されている方の指先が動く、口が動く、目をあけるなどの
微細な変化を関係職員さんと一緒に
「アッ、参加してはる!」と
共有することなのです

『自分が歌っているように聴いた体験から、
「聴くことは歌うこと」(中島健蔵氏)』が
重度の認知症の方への実践においても、
いえるような気がしています。
微かな動作から、もしかして歌われているのかも
・・・と思うのは私だけでしょうか。

関係職員さんと私の経験知を重視するのであれば、
確かに歌われていると思えるのですが・・・



対人援助フォーラム2008のお礼

2008-11-10 19:28:19 | 研究関連
昨日、立命館大学大学院人間科学研究科校友会主催の
「対人援助フォーラム2008」が無事終了いたしました

少し肌寒い曇り空の京都でしたが、お忙しい中
多くの方に足を運んでいただきました。
本当に有り難うございました。

近藤清彦医師の一人だけではなく、チームケアの
連携と融合による「あきらめない援助」をお聞きして、
多くの対人援助者は心強く感じられたのではないでしょうか。

近藤先生がALSの患者さん宅における個別的音楽療法と
病院全体の集団的音楽療法の両方を話された後に、引き続き
分科会において「寄り添う音楽」を担当いたしました。
修論の最後の追い込みだった2年前を思い出しながら、
「今の私」の考えをお話させていただきました。

最後になりましたが、このフォーラム2008の関係者の皆様に
心よりお礼を申し上げます

民俗楽器の味わい

2008-11-07 00:48:48 | 音楽療法実践

晴れた日が2日は続かないと使用できない楽器があります

HPの楽器紹介にありますが、インドネシアからのお土産
としていただいたジャンベです。

荒削りな手彫りの感じで、蛇皮が張ってあるだけの楽器
ですが、天然の皮だけあって、湿度が高いと皮がブヨブヨ
していまい、音が鳴らないのです

乾燥していい音が鳴る時だけ持参していましたが、
「雨だとどのような感じなのかしら?」という
お声があり、「なるほど

生き物の楽器として次回はブヨブヨの時に
お持ちしてみようと思っています

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ナラティブ・自己物語・発達心理学に関する研究会

2008-11-03 16:10:07 | 研究関連
発達心理学会から研究会のお知らせがきました

日時:2008.11.18(火)午後5時~7時40分
場所:立命館大学衣笠キャンパス洋洋館959号室
内容:ダン・マクアダムス先生の講演「ナラティブ・アイデンティティと
   自己物語における一貫性の問題」他
   参加研究者:やまだようこ、榎本博明、サトウタツヤ
代表:森岡正芳 
主催:立命館大学人間科学研究所

質的研究を学びたい方にはワクワクする内容です