goo blog サービス終了のお知らせ 

音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

音楽による「記憶の虫干し」

2013-07-21 19:27:30 | 音楽雑記
7月20日が海の日だった頃はお爺ちゃんのお誕生日と重なり覚え易かった。
今は変更されてしまいましたが、今年は土曜日ということもあって
本当はお爺ちゃんの「満99歳のお誕生日」を孫も曾孫も
集まって盛大に祝う予定でした。
私の手帳にもお誕生日マークが刻まれたままです

畑には大好きだったトマトが赤く実っていて
採り立てをお爺ちゃんにお供えしました。
年寄りですので、冷えていなくても皮だけ湯剥きして出すと、
「旨いなぁ~」と顔をほころばせて食べてくれました。

認知症を患っているお婆ちゃんに「7月20日は何の日か分かる?」と
尋ねると、「さぁ、何の日だったかね~」と笑っています。
悲しいかな・・、淋しいかな・・これが現実だと受け入れながら・・。
世間話だけなら「認知症」だと誰もが気付かないほどですが・・。

お婆ちゃんはデイサービスが休みなので、
ゆっくり起きてきて朝食後に休憩をしている時に
ラジオから音楽が流れてきました
ピアノの旋律に「綺麗だね~」とお婆ちゃんが言うと、
その後に話が始まりました。

医師であり作家でもある米山公啓(よねやまきみひろ)さんが
「記憶の虫干し」に音楽が一つのフックになり、
思い出しながら記憶が強固になるとともに、
過去を美しい思い出にしていく・・・と話されていました。
さらに、感情移入して一生懸命聴くように心がけると、
鳥瞰的なイメージを描きながらその中に自分がいるような
感覚になるとの事。
「昔の歌はよく覚えていて歌えるから不思議だね~」とお婆ちゃん。
そう言えばよく一人で鼻歌を歌っています。

一人ひとりが同じ音楽を聴いても歌っても、個別性は豊かにあり、
自己実現に近い感覚なのかもしれないと思っています。

天然の美に包まれた満中陰

2013-07-09 06:36:27 | 音楽雑記
99歳の義父の満中陰が何とか無事に終わりました。
夏生まれのお爺ちゃんらしく、暑い一日でした。
本来は三部経の後にお墓参りへ行くとお聞きしていましたが、
予想気温があまりに高いので、和尚さまとご相談して
早朝に私たち家族がお参りさせていただきました。

小さなトンネルを抜けるとウグイスが美しい谷渡りで
迎えてくれました。誰もいない静かな空間は鳥のさえずりと
風のそよぎで包まれ、四十九日を労ってくれているようでした。
音楽療法でいう「f分の一のゆらぎ」の癒される天然の美です
昔の焼き場の跡がある墓地で真新しい墓標が目を引きます。

満中陰にご参加されない皆様は前日にお訪ねいただきました。
本当に田舎らしく丁寧で、長老のお爺ちゃんを知らない人はおられず、
ましてや最後まで聡明で穏やかに会話していた姿を語ってくださいます。
お通夜に発症した夫の感染症の原因は分からずじまいのまま、
回復して通院は必要なくなりました。
高熱が出て、医師からは無理をしないようにと警告を受け、
とうとう本葬時には喪主が病院行きになり参加できずでした。
いろいろあったこの二ヶ月は怒涛のような日々でした。

満中陰が終わって深夜に夜空を見上げると満天の星空でした
疲れた身体にお爺ちゃんらしい労いの瞬きのように感じ、
感謝の気持ちでいっぱいになりました。

七夕さま♪

2013-07-03 06:13:25 | 音楽療法実践
この時期に施設へ伺うと七夕飾りが出迎えてくれます。
入所の皆様と職員さんがワイワイガヤガヤと賑やかに
笹飾りをされている雰囲気は穏やかな暮らし振りの証です。
その雰囲気に「音楽」を入れて豊かなひと時になればと願います

七夕星物語に耳を傾け、♪七夕さまを歌い、♪星に願いをの演奏を
聞きながら、バーチャイムの音色を一人ひとりが個性溢れる
奏法で響かせます。笑顔とともに目が輝いてきます。
素敵なメロディ、音色、歌詞に心を寄せながら・・・
「音楽っていいなぁ」と素直に思えてきます

義父母が住んでいる田舎では昼時に♪野ばら、夕暮れ時に♪夕焼小焼の
メロディが流れます。義母は♪夕焼小焼がなると合わせて歌い始めます。
可能であれば7月7日だけは♪七夕さまを流して欲しいものです。
高齢者が多く住む集落だからこそ、流れる音楽の共有感は
大きな意味を持つと思うのですが・・・。

ある会社はBGMを心理的サポートとして考え、
季節に合わせた素敵な音楽を適宜流すことによって
社員のストレス緩和に役立つと報告されていました。
メンタルヘルスを考えて役所や地域などでも
音楽利用が広がっていって欲しいと願います

「認知症を患うこと」の不思議

2013-07-02 21:31:41 | 音楽雑記
99歳の義父の六七日(むなのか)の法要が終わって
満中陰法要を迎えることになり、安堵の気持ちでいっぱいです。

菩提寺の和尚様が毎週の法要にお経をあげられ、集落の多くの
皆様がお参りに来てくださいます。
普段の生活ではなかなか義母と交わることも無かった皆様も
認知症を患っている義母の姿を現実に受け止めていただく
機会になりました。

社交辞令は上手で昔話は大いに盛り上がってよく笑い、
お経もしっかりあげている姿に「お元気で何より・・」
というお言葉を初めはいただいていました。
しかし、何度も同じことを言ったり、事実とは異なる話をすると
少しずつ「認知症を患っている姿」を理解し始めてくださいました。

日々の暮らしを一緒にしていても不思議な言動がありますので、
どこまで理解して、どこまで本心なのか・・・計り知れない姿があります。
しかし、確実に進行しており、一日に何枚も洗濯していた下着は
いつの間にか紙パンツを嫌がらずにはき、
順番に重ねておいた衣類を着てくれます。

社交的な義母にケアマネさんが薦めで下さったデイサービスは嫌だと言い、
行くまでに随分月日が経ちました。
デイサービスに行き始めるとお風呂は絶対嫌だと言って
入らない日が続きました。
ある日、背中を熱いタオルで拭きながら
全部着替えていけばお風呂から出ても、そのまま着られることを
伝えるとあっけなくお風呂へ入ってくれるようになりました。
機嫌よくデイサービスを楽しみにして、お風呂を気持ち良かったと
言ってくれるようになったのは嬉しい限りです。
何がきっかけになるかは分からないものだとつくづく思います。

読経は日常生活のルーティーンになっており、夫と二人で声を合わせて
いましたが、一人になっても穏やかに継続されています