音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

今想う・・『地球は青かった』

2023-02-28 07:06:46 | ひとりごと
今年は2023年です。
62年前の1961年4月に旧ソビエト連邦(現在のロシア)が、ガガーリン少佐を
乗せた宇宙船「ボストーク1号」の打ち上げに成功して、大気圏外で地球を1
ガガーリン少佐は当時27歳。
帰還後、宇宙からの眺めについて
「・・地球は青みがかっていた。地上はよく見えた・・」と伝えられました。
 
日本では『地球は青かった』という言葉で広まり、今でもインパクトがある記憶です。
ガガーリンはその後、世界各国を親善訪問し、1962年5月に日本を訪問しています。

その30年後の1992年にNASAの探査機ガリレオが地球と月の同時撮影をし、
その後、2008年には探査機ディープインパクトが公転している地球と月を捉えました。
この映像はYouTubeで見られますが、いつ見ても美しく感動します。
1992年に毛利衛さんは「宇宙から国境線は見えなかった」と言われました。

このニュースを思い出す時に、広い宇宙にある地球の存在をあらためて考えます。
以下、
「『オリジン・ストーリー 138億年全史』
デイヴィッド・クリスチャン.筑摩書房.2019」
から少しピックアップしてみます。

まえがきの中で、今はオリジン・ストーリー(万物の起源の物語)という発想が関心を
集めていると言い、気付いたこととして
『今や、全世界における共通の平和意外には平和はありえず、全体の繁栄意外には
繁栄はありえないのだ。だが、世界の平和と繁栄は歴史認識抜きにはありえない。
・・・・狭量で、利己的で、相争うナショナリズムの伝統しかなければ、人種や民族は
知らず知らず闘争と破壊へと向かう運命にある。・・』

さらに序章として、
『人間を他の全ての賢い種から際立たせているのは言語であり、
このコミュニケーション・ツールは並外れて強力だ。なぜなら、私たちは言語のおかげで
各自の世界のマップを共有し、それを通して、個々の脳が創りだすものよりもはるかに
大きくて詳しいマップうを形成することができるからだ。・・』

宇宙の歴史は138億年、太陽系は45億年、ホモ・サピエンスは20万年・・・
その歴史に想いを馳せながら、青く美しい地球を守る人類の賢さが問われています。

コロナ禍におけるグループホームの音楽療法

2023-02-23 20:25:05 | 音楽療法実践
認知症対応型グループホームの音楽療法はコロナ禍においても
緊急事態宣言が出ていなければ継続されています

症状には個人差がありますが、グループホームでは身体的にも重い症状な上に
言葉によるコミュニケーションも難しい人が多く、緊急事態やマスクを付けることへの
理解はとても難しく、日々関わる職員さんには多くのお気遣いがあります。

現在でも外部からお訪ねする私たちは玄関先での体温測定、消毒を終えて
不織布マスクをした上にマスクガードを付け、対人距離も2メートル近くを
気にとめながら実践をしています。

ただ、ピアノやキーボードで奏でられる音楽は部屋全体に瞬時に響いて届きますので
曲の雰囲気を共有することが出来ます。伴奏の段階で歌い出す人もおられます。
今日という日の特別感と今の季節を感じられる音楽によって非日常の空間になります。

グループホームの生活は日々の暮らしを大切にされる在宅感があり、お訪ねしても
ゆったりとした穏やかな雰囲気を感じます。
皆様が集っておられる広い居間で、外からお訪ねする私たちと音楽を共有しながら
非日常のひと時をお楽しみいただきます。

目を閉じていても小さく口が開いて歌詞を追って歌われている人、
私への視線を絶やさず頷かれている人、
しんどそうにみえてもしっかり歌われる人、
楽しそうに微笑みながら参加される人、
下を向かれている人に手を添えながら話しかけて関わっておられる人、、、

お忙しい中でも、一人ひとりの関わりを大切にされる職員さんの心優しいお気遣いに
私の方が癒されていることがあります。
‘音楽’と‘人’が関わる相乗効果のある時空間になります

ゼット世代との交流

2023-02-19 12:26:59 | ひとりごと
早朝から雨模様でいつもの散歩を諦め、次の仕事の準備と読書を始めましたが、
ふと先週行われた第72期王将戦第4局が気になってYouTubeを見ることにしました
始めは将棋盤に駒をのせながら楽しむつもりでしたが、何故?その手なのか・・
やはり難しい・・。順に打った手だけを追えば楽しめるはずなのに、訳が分からない。

途中で藤井さんが2時間を超える長考に入ったとのこと。
どんな指し手を巡らせているのかは知る由もなく、正座で足は痺れないのか・・、
何か他の事を考えて気分転換しているのか・・、なぜ崩れ落ちるような姿勢なのか・・。
2002年生まれの藤井さんはゼット世代のど真ん中です。

ゼット世代はZ世代ともジェネレーションZとも言われ、色々な諸説があり明確な定義も
無いようですが、1990年代後半~2015年生まれで、現在約7才~26才になります。
生まれながらにしてデジタルネイティブであるということが特徴になります。
歴史のある将棋界においてもIT活用は通常のことになっているようです。

我が家においてもこのゼット世代との交流は中々面白いです。
一人の小学生はオンライン電話で話していると、「四文字熟語かことわざのしりとりゲーム
をしようよ~」と言い、もう一人の小学入学前の子は、「速く打てるようになったよ~」と
タイピングゲームで速さを競っていると言う。
タイピングの速さではもう既に私は劣っていることになります。

今やネットやYouTubeで本を読み、知らないことを調べることも容易にでき、ラジオなどの
メディアの配信も無料が多いです。音楽始め多様な学習、娯楽、専門分野など際限無く
楽しみ、深めることができます。その中で、個人的な興味や好奇心が湧くことに
集中することも可能です。お互いの情報交換も容易にできます。

ただ、ネットで見る将棋には実際に盤に置く駒の音も無く、そもそも駒を手に取る感覚も
ありません。料理の手順は分かり易いのですが、美味しい匂いまでは届きません。
最近、田舎で初めて収穫した落花生を再度干して乾燥させ、固い殻を潰して中身を
出し、さらにすり鉢に入れて、すりこ木で暫くすっていると落花生の油が出てきます。
その作業の間の美味しい匂いは言葉になりません。

ゼット世代には実際の体験を大切にして欲しいと伝えています。
ネットを見ていると、ともすれば理解できたように感じてしまうことがあります。
心理学で言われている「流暢性の錯覚」に陥らない為にも、実際に自分の身体で
体験したことを好奇心の学びへと繋がるよう願っています

40才ころから始まっている認知症の原因物質の蓄積

2023-02-15 07:04:46 | 研究関連


以前にもこのブログでご紹介しましたが、あらためて再度掲載いたします。
私は3年前に大学研究室の認知症講義で初めてアミロイドβの蓄積に関する図を見て
大変衝撃を受けました。40才代頃から認知症の原因物質と言われている
アミロイドβの蓄積が始まり、溜まった頃にやっと認知症の症状が現れてくるのです。

このアミロイドβの蓄積図は現在では広く知られるようになっています。
今回はその中でも一目瞭然「分かり易い図」として以下のネットをご紹介いたします。

『あなたの“脳のゴミ”蓄積度をチェック!【年末年始は「脳の大掃除」①】』
https://eclat.hpplus.jp/article/46429/01/ 2019年12月21日
  脳神経外科医の奥村歩先生が「脳のゴミ(アミロイドβ)」について述べています。
  特に認知症の症状が出る20数年前からアミロイドβの蓄積が始まっているのです。
  最近めっきり記憶力が落ちた、会話に「あれ、あれ」が増えたなど、
  アラフィー世代に多いその現象。
  実は年齢のせいではなく、脳に“ゴミ”がたまっているのが原因かも!? 
  「脳の“ゴミ”っていったい何?」
  「すでに認知症が始まっているということ!?」など、
  気になる脳のあれこれの疑問に関して奥村医師が答えています。

では、40才代頃に何に気をつけたら良いのかは多くの知見が示されています。
糖尿病、高血圧症、肥満症などの疾患予防と喫煙や運動不足などの生活習慣の見直し、
さらにストレスを溜めないなど精神的な健康維持も含まれています。
現在は認知症に関する情報が溢れ過ぎて戸惑うほどです。多くの中から重複している
正確な情報を個人的な理解で咀嚼しながら、プラス思考で歩んでいただきたいです。

日々の暮らしを大切にしながら、我が身の心身にも優しく心を寄せて、
焦らずじっくりと人生を紡んでいきたいと思っています

アルツハイマー型認知症の介護をされている人へ

2023-02-12 19:16:11 | 研究関連
早朝散歩していると川沿いにある白梅が満開になっており、奈良市の月ヶ瀬梅林へ
行きたい気持ちが逸ってきます。本日から月ヶ瀬梅祭りが始まるようです。

今日も図書のご紹介です
アルツハイマー型認知症の診断を2015年に受けた現在70才代のお母様の娘である
40才代の脳科学者である恩蔵さんと、ソーシャルワーカー、ケアマネージャー、認知症
ケア専門士である永島さんがアルツハイマー型認知症の日常よくある多様な症状及び
事例に対して、一つひとつ丁寧に分かり易く、専門家としての具体的な脳内の活動と
日常的な関わり方を示されています。

例えば、
「なぜ、物の使い方がわからなくなるのか」「なぜ、受診の話をすると怒り出すのか」
「なぜ、家にいるのに‘家へ帰る’と言うのか」「なぜ、同じ物をいくつも買ってしまうのか。」
「なぜ、突然怒り出したり、大声を挙げてしまうのか。」「なぜ、人物がわからなくなるのか」
「なぜ、デイサービスを拒否するのか。」「なぜ、伝えたいことが伝えられなくなるのか。」
等々。

義母と父がアルツハイマー型認知症だった家族として、本当に当時はなぜ?という
疑問が次々と湧いてきたことを思い出しました。
始めは不可解な行動だと思っていましたが、その後多くの情報や知識を得られ、
少しずつ理解できるようになりました。
最近でこそ、認知症は私たちの人生に多くの人が関わることが分かり、身近な情報が
多く発信されるようになりました。

内容の中で、具体的に最初に傷つく脳の部位である「海馬(かいば)」が図で示され、
短期記憶と長期記憶の関係性が分かり易く書かれています。
認知症対応型グループホームにおける音楽療法の実践では、その人らしさが残る
懐かしい音楽記憶を共有する活動になります。音楽を動機づけにした懐かしい話から
私たちの多くの学びに繋がることは少なくありません

ただ、身近な友人始め個人的に届いてくる情報からは認知症の理解と関わり方を
共有できているとは未だ思えない現状です。2004年に「認知症」という呼称に変わり、
来年で20年になりますが、不安な気持ちを本人と家族に煽ることなく、真摯で
落ち着いて読んでいける内容ですので、ご一読されることをお薦めいたします。

『なぜ、認知症の人は家に帰るたがるのか』
恩蔵絢子.永島徹
中央法規出版.2022年

認知症発症リスクを低減する音楽療法利用

2023-02-08 06:15:54 | 音楽療法実践
ヤフー・ジャパンのニュース(以下、*参照)において、
2017年(2020年に改訂)に英国ロンドン大学の教授らが世界五大医学雑誌のひとつである
「ランセット(The Lancet)」に掲載された12の認知症リスク因子を紹介しています。
①難聴 ②社会的孤立 ③抑うつ ④喫煙 ⑤大気汚染 ⑥高血圧 ⑦糖尿病
⑧肥満 ⑨運動不足 ⑩頭部外傷 ⑪過剰飲酒 ⑫教育歴(知的好奇心の低さ)

さらに、日本認知症予防学会の浦上克哉さんが、その発症リスクを低減させる「3つの習慣」の
実践とともに、人間らしさの根源である五感トレーニング術を指南されています。
「3つの習慣」とは、①運動 ②知的活動 ③コミュニケーション です。

上記の3つの習慣は、音楽療法の実践においても可能です。
<①運動>は、例えばラジオ体操などに音楽のテンポ、メロディの要素が入ります。
さらに、運動に入る腹式呼吸からストレッチ、口腔体操まで音楽を幅広く利用できます。

<②知的活動>は、脳活動としても利用できます。記憶に関わる音楽、クイズ形式として
楽しむ音楽、デュアルタスク(複数課題)ゲームの音楽、曲の交換歌唱、
音楽の歴史を知る、初めての楽器体験など新奇性のある活動も入ります。

<③コミュニケーション>は、音楽の得意分野といえます。言語ではなく、その時、
その空間に音楽が流れることで共有され、癒されたり、リズム活動によって仲間意識及び
社会性を共有することができます。

ただ、音楽療法を継続してきて思うことは、音楽療法士がいないと何も出来ないのではなく、
日常的な音楽利用としてご家族を始め、医療、看護、介護関係者、行政関係者の皆様に
柔軟に応用されることを願っています。個別性の高い大好きな音楽を聞くこともお薦めです。
音楽療法士には日常利用の方法をお伝えする役割もあると常々考えています。
職員さん始め関係者の誰かが少しでも楽器演奏出来るのであれば、多いに活動される
ことを望みます。ある施設へ伺った時に、看護師さんがハーモニカ演奏しながら、
軽運動から歌唱などの活動をされていました。素晴らしいことです。

気軽に日々の活動に利用できるヒントとして、以下の書籍をご紹介します。
実際に利用できるCDもついていますので、図書館で借りてお試しください。
『脳イキイキ音楽療法』.近藤真由.講談社.2016.

*参照
五大医学誌が発表「認知症発症リスクは40%低減できる」 
                   実現するために必要な「五感トレーニング術」とは
YAHOO JAPAN ニュース 1/28(土) 10:58配信

新書『ストレス脳』のご紹介

2023-02-03 18:59:22 | 研究関連
脳の世界は複雑で未だ解明されていないことも多く、人間の宇宙と言われています。
人間は常に何がしかのストレスと付き合いながら生活をしていることになりますが、
紹介する「ストレス脳」の著者であるアンデシュ・ハンセンさんはスウェーデンの
若い精神科医であり、脳と心の関係性とストレスと付き合う方法などを書いています
『ストレス脳』アンデシュ・ハンセン著.新潮社.2022.

ストレスが心だけではなく、身体にも影響があることはよく知られている所です。
興味深いことは沢山ありますが、特に狩猟集団社会にはストレスが少ないと言われ、
その原因を探っています。現代社会の様々な複雑性が脳にも心にもストレスを溜め、
うつを始め様々な病気の要因になっているのでしょうか?
読んでいくと多角的な視点から納得できる内容として丁寧に書かれています。

日本音楽療法学会主催の講演及び学会誌において「脳と音楽の関係性」などを学び、
大学院時の大脳生理学研究の講義では実際に脳を見て強く印象に残っています。
さらに、衝撃的だった学びはハーバード大学の脳科学者だったジル・ボルト・テイラーさんが
脳卒中で倒れ、左脳の機能が崩壊し、手術や8年間に及ぶリハビリで回復されたことです。
その経過を書かれた『奇跡の脳』(新潮社.2009)は今でも度々読み直しています。
因みに有名な「TED」のYouTubeでは記録的な再生回数になっています。

脳の世界では常に新しい知見が出ることから、情報の確保は必須になります。
以下、アンデシュ・ハンセンの『ストレス脳』の一部を紹介します。

 私たちの脳は非常に柔軟で、常に変わっていくことが出来る。
 およそ860億個の神経細胞から成り、脳細胞同士のつながり(シナプス)が少なくとも
 100兆ある。それらが複雑なネットワークを形成して身体の各器官を制御し、知覚から
 入ってくる果てしない量の情報を処理し、解釈し、優先順位をつけている。・・・
 あなたの記憶にはそれだけの容量があるのだ。

 かつてないほど健康に長生きできるようになった。少しでも退屈したら、1クリックで
 地球上のあらゆる娯楽と知識が手に入る時代でもある。今までになく快適に暮らして
 いるはずなのに、多くの人が心を病んでいるのが現状だ。・・・

 人類が他の動物とは一千を画す特徴を一つだけ選ぶなら、「物語を語る」能力を
 挙げたいと思う。脳は自分が体験している出来事に常に説明を探し、辻褄の合う
 「物語」を創り出している。・・・

訳者(久山葉子さん)のあとがきです。
 私自身もスウェーデンに暮らすようになって精神的な問題を抱えている人の多さに
 驚いた。基本的に残業はなく男女ともに夕方5時には仕事を終え、夏休みは5週間、
 受験もないので子供たちものびやかに育っているように見えるのに、なぜだろうか。
 確かに、抵抗なく精神科を受診したり、堂々と精神の不調について周囲にもオープンに
 したりできる土壌はある。・・・

運動、孤独、幸福感、うつ等々について世界の最新研究とともに、丁寧に分かり易く
書かれています。‘万能薬などは存在しない’、とも・・・心が軽くなります

歌の始まりは素敵な‘イントロ’から

2023-02-01 17:02:00 | 音楽雑記
今日から2月です。
散歩道の白梅も七分咲き程になり、思わず足を止めて愛でていると、存じあげない
通りすがりの人も一緒に見入っておられました。

音楽療法の実践プランで時々素敵なイントロから始まる曲ばかり
を特集することがあります

高齢者の実践では、イントロが素敵なリクエスト曲として、‘函館の女’‘北の宿から’
‘津軽海峡冬景色’‘有楽町で逢いましょう’‘月がとっても青いから’等々・・・
どの曲もほぼ20秒以上のイントロがあります。
イントロから歌の始まりまでの導入時間を、一人ひとりの世界として楽しみます。

最近は音楽を聞く媒体が沢山ありますので、個人で長く時間を費やすことを
好まない場合はスキップしたり、早送りするなどして選択するそうです。
その影響なのか分かりませんが、最近のヒット曲にはイントロが少ないと感じています。

‘夜に駆ける’(YOASOBI)、‘ダイナマイト’(BTS)、‘Lemon’(米津玄師)などの
現代のヒット曲はイントロの時間はゼロです。
始まった瞬間から歌が始まるのです。・・・時代の流れを感じます。

月一回の日曜日に村上春樹さんがラジオ放送されている‘村上RADIO’を聞いていると、
お薦めのイントロのリクエストとして「Steppin' Out」(Joe Jackson)が かかりました。
村上さんはロネッツの「Be My Baby」とドアーズの「Light My Fire」を印象的な
イントロとして話されていました。詳細な内容は‘村上RADIO’のHPに丁寧に書かれています。

お好きな歌のイントロをじっくり聞いて、‘わたし時間’をお楽しみください