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音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

レミニセンス・バンプ(回想の隆起) その2

2021-01-22 21:20:38 | 研究関連
前回のレミニセンス・バンプの続きとして、今回はその要因について述べます。
多くの研究論文から音楽に関わらず、思い出深い記憶は青年期から20才代前半に
回想バンプが起きることが明らかになっています。

その要因及び理由として、親の保護の世界から自立し始める青年期と20才代前半は
新しい体験が多いこと(新奇性)、同様に自己(アイデンティティ)の確立に
関する成長の時でもあり、記憶に深く残る要因になると考えられます。
記憶に残る思い出語りに音楽が有効な動機付けになると思っています

日本では平均寿命が男女共80才を超えて長寿社会になっていますが、
多くの高齢者が思い出深い時代の頃の自分を懐かしく、愛おしく思い出し、
人生を肯定的に捉えられることの幸福感を伴うことが考えられることから、
本人の語りに寄り添いながら傾聴する時間が家族及び、友人、関係者に
あることを望みます。話す本人だけではなく、聞かせてもらった側にも
心豊かな時間となり、次の世代へと繋がっていくと思います。

大学の医学図書館でレミニセンス・バンプの用語を検索すると、
学会誌に掲載された私の拙論が表記されて驚きました。
思い出語りが少しでも広がることになることを願って、以下にプレビューを記します

    *****  *****  *****     
『レミニセンスバンプの青年期に焦点化した「思い出深い音楽」による認知症ケア』

【目的】認知科学研究においてライフサイクルの青年期に
    レミニセンス・バンプが明示されており, 筆者が実施した
    「思い出深い音楽」に関するアンケート調査においても同様なバンプがみられた.
    本稿ではバンプを示した想起内容に焦点化し, エリクソンの青年期の
    社会発達を主とした分析から要因を探求し, 認知症ケアに役立つ
    「思い出深い音楽」研究として考察する.
【方法】認知機能が遂行されている60歳代から90歳代の114名へ,
    「思い出深い音楽」のアンケート調査を実施した.
    その結果得られた総数341曲の中で, バンプを示した青年期の105曲に焦点化して,
     思い出の内容として自由記述された想起内容に関して,
    エリクソンの青年期の社会発達関連項目(自己と他者, 場面とその詳細)と
    筆者の音楽関連項目(音楽類型, 音楽分野)による質的分析を行う.
【倫理的配慮】アンケート調査時に正式な研究依頼書を提示し,
       承諾を得て実施した後, 研究報告書を提出した.

*掲載誌:老年精神医学雑誌.2009.巻20.号増刊ー2
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