沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

中北組合に対する沖縄県の責務を考える(その2)※平成28年度から

2016-06-17 11:11:59 | ごみ処理計画

その1は平成27年度までの沖縄県の責務について書きました。その2は平成28年度からの沖縄県の責務について書きます。

その前に、その1に使用した下の資料(2つ)を確認しておいて下さい。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

このように、沖縄県の職員は法令を遵守して誠実かつ公正に事務処理を行わなければならないことになっています。

記事を書く前にもう1つ(2つ)、下の画像をご覧下さい。

これは、その1で使用した県内(本島)の自治体における長寿命化計画の策定状況と平成27年度における最終処分場の整備状況を整理した資料です。


原寸大の資料(画像をクリック)

 

平成27年度においてごみ処理施設の長寿命化計画を策定していない自治体は中北組合だけです。そして、最終処分場の延命化を無視して事務処理を行っているのは中北組合だけという状況になっています。

なお、浦添市については具体的な最終処分場の整備計画は検討していませんが、溶融炉を長寿命化して最終処分ゼロを継続することによって最終処分場の延命化に貢献しています。

したがって、県内(本島)においては、溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行っている中北組合だけが、沖縄県の廃棄物処理計画との連携・協力を拒否している自治体ということになります。

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では、平成28年度からの中北組合に対する沖縄県の責務について考えてみます。

沖縄県は平成28年度から第四期廃棄物処理計画をスタートしました。下の画像の下段の部分は、その概要を整理した資料になります。

第四期沖縄県廃棄物処理計画(平成28年度~平成32年度)

第四期における市町村のごみ処理施設の整備に関する計画については、溶融炉に関する記述がほとんどなくなっていることが特徴ですが、それ以外は第三期と基本的に同じような計画になっています。県の廃棄物処理計画は5年ごとに改正されますが、全体として第四期のごみ処理計画は温暖化対策に関する意識が高くなっているように感じます。

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下の画像は、第四期廃棄物処理計画に基づいて沖縄県と中北組合(中城村・北中城村)が適正な事務処理を行った場合を想定して作成した資料です。

このように、県の廃棄物処理計画は、①市町村のごみ処理計画と一体となって取り組む計画であり、改正した場合は、②市町村に周知して、③改めて連携と協力を要請する計画になっています。そして、要請を受けた市町村は、④ごみ処理計画を点検して、⑤必要に応じて見直しを行い、⑤県に報告することになっています。 

沖縄県は県の第四期廃棄物処理計画に基づいて中北組合に対して、①焼却炉の長寿命化と、②焼却灰の資源化(溶融炉の休止と焼却灰の民間委託処分の中止)を求めていることになります。したがって、中北組合が県の求めに応じない場合は、平成28年度も県との連携・協力を拒否することになります。

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下の画像は、平成28年度において沖縄県が中北組合に対して何の技術的援助も行わなかった場合を想定して作成した資料です。

このように、中北組合に対して沖縄県が何の技術的援助も行わなかった場合は、浦添市との広域処理は白紙撤回になります。 なぜなら、そもそも中北組合は県の廃棄物処理計画を無視して事務処理を行っているからです。しかし、その場合は、中北組合だけでなく沖縄県も「故意又は重大な過失」によって不適正な事務処理を行っていることになってしまいます。なお、行政の「故意又は重大な過失」によって住民に過大な経済的負担を与えた場合は事務処理を担当した職員も損害賠償の対象になります。2村の住民にとって40億円という金額は少ない金額ではないので、場合によっては沖縄県の職員にも累が及ぶことになる可能性があります。

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下の画像は、平成28年度に沖縄県が中北組合に対して適正な技術的援助を行い、中北組合が事務処理の適正化を行った場合を想定して作成した資料です。

浦添市との広域処理を前提にした場合は、中北組合は溶融炉の再稼動を選択肢から除外しなければなりません。その理由については何度も書いてきました。また、先に代替措置を講じて溶融炉を廃止しなければ国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化を行うことはできません。したがって、中北組合が県の技術的援助に従って事務処理を適正化する場合は、①平成29年度に代替措置を講じて溶融炉を廃止することを決定して、②その前提で平成29年度に焼却炉の長寿命化計画を策定することになります。そうすれば、浦添市のごみ処理計画との調和を確保することができます。そして、浦添市との広域処理を推進することができます。

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下の画像は、平成28年度においても中北組合が県の廃棄物処理計画を無視(連携・協力を拒否)した場合を想定して作成した資料です。

沖縄県には廃棄物処理法の規定(第5条の6)に従って県の廃棄物処理計画の達成を図るために必要な措置を講じる必要があるので、中北組合が県の廃棄物処理計画を無視(連携・協力を拒否)した場合は、広域処理のパートナーである浦添市を通じて事務処理の適正化を図る必要があると考えます。

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次に、下の画像をご覧下さい。

これは、沖縄県廃棄物処理計画に対する浦添市と中北組合の対応の履歴を整理した資料です。

沖縄県の第三期廃棄物処理計画は平成23年度からスタートしていますが、浦添市も平成23年度から新たなごみ処理計画をスタートしています。そして、浦添市のごみ処理計画は県の廃棄物処理計画と連携・協力を図っています。

一方、中北組合は平成26年度から新たなごみ処理計画をスタートしていますが、県の廃棄物処理計画との連携・協力を拒否しています。

このため、中北組合はごみ処理施設の整備(長寿命化、更新、新設等)に当って国の補助金を利用することができない状況になっています。

中城村と北中城村の村長は平成28年3月に浦添市との広域処理を推進することを決定しています。しかし、中北組合は平成26年度から民間の発想で不適正な事務処理を行ってきた自治体なので、平成28年度においても県の廃棄物処理計画との連携・協力を拒否する可能性があります。

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下の画像は、上の画像の中北組合の部分を整理した資料です。

中北組合は平成25年度までは沖縄県の第三期廃棄物処理計画と連携・協力体制を維持していましたが、平成26年度から連携・協力を拒否しています。したがって、平成28年度に連携・協力体制を復活して浦添市との広域処理を推進する場合は、実際に県の計画と一体となって取り組む計画を実施しなければなりません。

なぜなら、浦添市との広域処理がスタートするのは第五期(平成33年度以降)になるからです。


中北組合がこれまで一度も県との連携・協力体制を築いたことのない自治体であれば、浦添市との広域処理を推進することによって、初めて協力体制を築くことができます。しかし、中北組合は平成26年度から自らの判断で県との連携・協力を拒否しています。そして、長寿命化が必要な溶融炉を休止して焼却炉の長寿命化計画も策定せずに焼却灰の民間委託処分を行っています。その中北組合が、県の第四期廃棄物処理計画においても連携・協力を拒否したままの状態で広域処理を推進することはできないことになります。

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下の画像は、ごみ処理計画に対する中城村と北中城村と中北組合の意識を整理した資料です。

中北組合は平成26年3月にごみ処理計画を改正してから完全に民間の発想で事務処理を行っていますが、その最大の理由は中城村と北中城村がごみ処理計画に対して関心がないからだと考えています。

人口が少なく職員の数も少ない自治体が一部事務組合を設立して事務処理を行うと、かなりの確率でこのような状況になります。

したがって、県が適正な技術的援助を行わなければ中北組合の不適正な事務処理は是正されないことになります。

沖縄県が中北組合に対してどのような技術的援助を行っているのかは分かりませんが、県が中北組合だけを特別扱いすることはできません。なお、浦添市は公共の発想で事務処理を行っている自治体であり、県の廃棄物処理計画と連携・協力して事務処理を行っている自治体です。したがって、県の廃棄物処理計画を無視(連携・協力を拒否)して事務処理を行っている自治体と広域処理を推進することはできないことは十分に理解していると思います。

原寸大の資料(画像をクリック)

最後に、下の画像(4つ)をご覧下さい。

これは、このブログの管理者が考えている中北組合の考え方を想定して問題点を整理した資料です。

このブログの管理者は2村の村民ではないので、中北組合の考え方を正確に把握することはできません。しかし、平成26年度からの中北組合の事務処理を考えると、このように考えている確率はかなり高いと判断しています。

県内(本島)において沖縄県の廃棄物処理計画との連携・協力を拒否している自治体は中北組合だけです。しかし、このブログの管理者は中北組合が意図的に民間の発想で事務処理を行っているとは考えていません。上の画像にあるように、公共のルールを誤解して事務処理を行っている可能性が極めて高いと考えています。したがって、県には県が市町村と一体となって県の廃棄物処理計画の達成を図るために、中北組合に対して適正な技術的援助を与える(必要な措置を講じる)責務があると考えます。

原寸大の資料(画像をクリック)

   

上の画像の2つ目にある「包括承認事項」については、国の職員も良く理解していないところがあるので、追加説明のための資料を作成しました。

中北組合は経過年数が10年以上になり設備の処分制限期間を経過したという前提で溶融炉を休止していますが、建物の処分制限期間を経過していないので、溶融炉のために整備した建物部分を補助金の交付の目的に応じて使用していないことになります。

しかし、中北組合の行政区域内には溶融炉と同様の社会資源(最終処分場を含む)が充足していないので代替措置を講じなければ「包括承認事項」の適用を受けることはできないことになります。

なぜなら、そのような状態で「包括承認事項」を適用すると、中北組合が住民の福祉を増進するための適正なごみ処理を行うことができなくなるからです。

ちなみに、平成27年度からは5年分以上(それまでは15年分以上)の最終処分場を確保していれば「包括承認事項」が適用されることになっています。

中北組合が代替措置を講じれば溶融炉を休止又は廃止しても「包括承認事項」が適用されるので、補助金の返還は免除されます。また、ごみ処理施設の整備(長寿命化・更新・新設等)に当って国の補助金を利用することができるので、浦添市との広域処理を推進することができます。しかし、代替措置を講じなかった場合は建物部分の補助金を返還しなければならないことになります。また、焼却灰の民間委託処分を行うことは沖縄県の廃棄物処理計画との連携・協力を拒否していることになるので、国の補助金を利用する権利を放棄することになります。したがって、その場合は浦添市との広域処理を推進することはできないので白紙撤回ということになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

その3に続く