沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

中北組合に対する沖縄県の責務を考える(その4)※中北組合方式

2016-06-20 08:06:33 | ごみ処理計画

その4は、中北組合方式について書きます。

なお、この方式は廃棄物処理法の基本方針や県の廃棄物処理計画をよく知らない中城村と北中城村の議員の皆様や住民の皆様には理想的な方式のように感じるはずです。

なぜなら、平成15年度に供用を開始したごみ処理施設(青葉苑)の更新を行わずに他の市町村(浦添市)に国の補助金を利用して新たなごみ処理施設を整備することができる方式になっているからです。

しかし、市町村(住民)が国の補助金を利用してごみ処理施設を整備するためには、廃棄物処理法の基本方針や県の廃棄物処理計画に適合する事務処理を行わなければなりません。それが日本のルールです。

ということで、まず、下の画像をご覧下さい。

これは、中北組合方式の特徴を整理した資料です。中北組合がこの方式を採用して平成26年3月にごみ処理計画を改正したときには他の市町村との広域処理は検討課題から除外していたので、中北組合方式は基本的にはこのような方式になっています。

中北組合方式の特徴は国の補助金を利用してごみ処理施設を整備した場合に、10年を経過した段階で廃止しても補助金の返還が不要になる「包括承認事項」が無条件で適用されるという前提になっていることです。そして、組合が必要と判断した施設(例えば焼却炉)については老朽化するまで(約20年間)使用して、不必要と判断した施設(例えば溶融炉)については廃止又は休止して、代替措置等は講じずに民間委託により次の施設を新設するまで繋いで行くという方式になっています。このため、この方式には国の補助金を利用して長寿命化計画を策定する事務処理や国の補助金を利用して長寿命化を実施するという事務処理はないことになります。そして、建物は20年程度で廃止することになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、その3で使用した資料と同じものです。なお、この資料は上の資料の30年のところが広域施設を新設する計画になっています。

中北組合(中城村・北中城村)は平成28年3月に浦添市との広域処理を推進することを決定していますが、平成28年度においても平成27年度までと同じ民間の発想で事務処理を行っている場合は、県の廃棄物処理計画との連携・協力を拒否したままでも国の補助金を利用して広域施設の整備を行うことができると考えていることになります。なお、市町村が県の廃棄物処理計画との連携・協力を拒否する事務処理は廃棄物処理法の基本方針を無視する事務処理になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、国や県から見た中北組合の事務処理になります。

中北組合方式を国や県から見た場合は、中北組合がごみ処理計画を改正して広域施設の供用を開始するまでの約10年間は「空白期間」ということになります。なぜなら、この10年間は地方公共団体(中北組合)が公共の発想ではなく民間の発想で事務処理を行っている期間になるからです。もちろん、そのような事務処理は国や県から見た場合は不適正な事務処理になります。なお、この中北組合方式を国が適正な事務処理と判断した場合は、廃棄物処理法の基本方針を見直さなければならないことになります。そして、地方財政法(第8条)や廃棄物処理法(第6条第3項)を改正しなければならないことになります。しかし、そうなった場合は国の長寿命化政策は完全に崩壊することになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、国の公式ルールを遵守した空白期間に関する適正方式です。2つ目の画像はその根拠を示す資料です。

 防衛省財産処分承認基準(包括承認事項)

 この方式は公共の発想で考えれば当たり前の方式になりますが、中北組合方式はこの「国の公式ルール」を無視した方式になります。なお、この適正方式における「溶融炉と同様の社会資源」としては最終処分場が該当しますが、国は平成27年度から5年分以上を確保していれば充足していると判断しています。ちなみに、それまでは15年分以上でした。

原寸大の資料(画像をクリック) 

 

下の画像も、国の公式ルールを遵守した空白期間に関する適正方式ですが、中北組合の区域内に既存施設と同様の社会資源が充足していない場合の特例方式になります。2つ目の画像はその根拠を示す資料です。

 防衛省財産処分承認基準(包括承認事項)

この方式が、このブログの管理者が溶融炉を再稼動したくないと考えている中北組合には最も適した方式になると考えているものです。また、最終処分場を整備していない中北組合が同じく最終処分場を整備していない浦添市との広域処理を推進するためにはこの方式を採用する以外に選択肢はないと考えています。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

 

下の画像は、全国共通の一般的な方式を整理した資料です。 上の2つの適正方式に適合しない場合は、この方式を採用することになりますが、この方式がいわゆる長寿命化方式(ストックマネジメント方式)ということになります。2つ目の画像は一番上の画像の中北組合方式と比較するために作成した資料です。

浦添市は一般的な焼却炉と溶融炉を所有している地方公共団体としてこのような事務処理を行っています。しかし、中北組合は国内で稼動している事例や長寿命化が行われている事例のない一般的ではない特殊な溶融炉を所有しています。もしかすると初めから10年だけ使用するつもりで整備した溶融炉かも知れませんが、この溶融炉を再稼動して長寿命化を行うことは中北組合だけでなく浦添市にとってもギャンブルになります。なぜなら、浦添市が中北組合(中城村・北中城村)と広域組合を設立すると、この溶融炉は広域組合の溶融炉になるからです。

 原寸大の資料(画像をクリック)

 

下の画像は、上の資料にある地域計画の策定に関する条件を整理した資料です。なお、地域計画を策定する場合は、適正方式であっても一般方式であっても、同じ事務処理になります。もちろん、中北組合方式であっても、同じ事務処理になります。 

中北組合が広域組合(一部事務組合)を設立する場合は、事前に広域施設を整備するための地域計画を策定して国(環境省)の承認を受ける必要があります。広域組合も中北組合も地方公共団体なので、その場合は、上の資料にある4つの条件をクリアしなければなりません。

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下の画像は、中北組合が平成28年度も平成27年度までと同じように民間の発想で事務処理を行っている場合を想定して作成した資料です。

このように、浦添市は上の3つの条件をクリアしていますが、中北組合がクリアしなければ、一番下の条件をクリアすることができないことになります。したがって、地域計画は非承認ということになり広域組合を設立することはできないことになります。

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下の画像は、中北組合と浦添市のごみ処理計画と地域計画との関係を整理した資料です。

浦添市は平成29年度から地域計画の策定に着手する予定でいますが、その前に廃棄物処理法第6条第3項の規定に基づいて中北組合のごみ処理計画との調和を確保しなければなりません。また、平成28年度はインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定期限になっているので、中北組合は「行動計画」を策定する前に法令違反を是正して公共の発想で事務処理を行わなければならないことになります。いずれにしても、中北組合が平成28年度も民間の発想で事務処理を行っている場合は広域処理を推進することはできないことになります。

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下の画像は、中北組合の不適正な事務処理によって広域処理が白紙撤回になった場合を想定して作成した資料です。

市町村が国の基本方針や県の計画を無視して民間の発想で事務処理を行っている限り、国から財政的援助を受けることはできません。したがって、中北組合は自主財源(40億円以上)により既存施設の単独更新を行うことになります。そして、更新が困難な場合は別な場所に新たなごみ処理施設を整備することになります。それも困難な場合は中北組合を解散して各村が別々に新たなごみ処理施設を整備することになります。 なお、既存施設(青葉苑)についても廃止するまでは自主財源により老朽化対策を行うことになります。

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下の画像は、中北組合方式の改正案ですが、この改正案は適正方式(2)と基本的に同じ方式になります。

浦添市との広域処理を前提にすると、県は中北組合に対して溶融炉の再稼動と長寿命化を行うように技術的援助を与えることはできないことになります。なぜなら、県は中北組合の溶融炉が国内では稼動している事例や長寿命化が行われている事例がない特殊な溶融炉であることを知っているからです。したがって、溶融炉については適正に廃止するための技術的援助を行うことになります。しかし、焼却炉(流動床炉)については、稼動している事例や長寿命化が行われている事例があるので、長寿命化を実施することについては問題なく技術的援助を行うことができます。ただし、中北組合は平成31年度に広域組合を設立する予定でいるので、平成30年度までには「地域計画」を策定しなければなりません。そうなると、平成30年度までには焼却炉の長寿命化を完了していなければならないことになります。したがって、平成29年度には代替措置を講じて溶融炉を廃止しなければならないことになります。

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下の画像は、浦添市の議会が中北組合(中城村・北中城村)との広域組合を設立することを承認しなかった場合を想定して作成した資料です。

中北組合と中城村と北中城村の議会は浦添市との広域組合の設立については、間違いなく承認するはずですが、浦添市の議会が承認するかどうかは、浦添市が決定することです。しかし、万が一、浦添市の議会が広域組合の設立を承認しなかった場合であっても、中北組合が、①代替措置を講じて溶融炉を廃止して、②焼却炉の長寿命化を行っていれば、国の補助金を利用して単独更新を行うことができることになります。なお、単独更新が可能かどうかはこのブログの管理者には分からないことなので、この資料はあくまでも単独更新ができるという前提で作成しています。

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下の画像は、平成28年度において県が中北組合に対して県の第四期廃棄物処理計画に基づいて適正な技術的援助を行い、中北組合が県の技術的援助に従って適正な事務処理を行った場合を想定して作成した資料です。 


中北組合は県内(本島)では唯一、県の第三期廃棄物処理計画との連携・協力を拒否している自治体です。そして、県は平成28年度から新たに第四期廃棄物処理計画をスタートしました。したがって、県の職員は中北組合と一体となって第四期廃棄物処理計画の達成を図るために最低でも上の資料にある3つの技術的援助を行わなければなりません。そして、中北組合が浦添市との広域処理を推進するのであれば、上の資料にある2つの施策を実施することを決定しなければならないと考えます。

原寸大の資料(画像をクリック) 

下の画像は、読者の皆さんが県の職員になったつもりで、中北組合に対して適正な技術的援助を与えることを想定して作成した資料です。

まず、1つ目の画像で沖縄県の職員の服務規定を再確認していただいてから、2つ目の画像で不適正な技術的援助適正な技術的援助の内容をチェックしてみてください。 


このように、沖縄県の職員が服務規程(第3条)に従って中北組合に対して技術的援助を行う場合は、全体の奉仕者として誠実かつ公正に行わなければならないので、少なくとも上の資料の左にあるような技術的援助はできないことになります。なお、このブログの管理者は平成26年3月に中北組合がごみ処理計画を改正する前に、県が上の資料の右にあるような技術的援助を行っていれば、中北組合が不適正な事務処理を行うことは防げたと考えています。したがって、このブログの管理者は中北組合がごみ処理計画を改正する前も改正した後も県は中北組合に対して適正な技術的援助を行っていないか、上の資料の左にあるような県の職員の服務規程に違反する不適正な技術的援助を行っていた可能性があると考えています。

 原寸大の資料(画像をクリック)

 

 【沖縄県に対する県民からの要望】

このブログの管理者は中城村や北中城村の村民ではありませんが、沖縄県民なので、県民の1人として、沖縄県の職員の皆様に廃棄物処理法の規定に基づく県の責務を果たしていただけることを要望します。

なお、このブログの管理者が考えている沖縄県による中北組合に対する廃棄物処理法第4条第2項の規定に基づく適正な技術的援助の具体的な内容は下記の通りです。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

この技術的援助は中北組合方式の空白期間を適正化して浦添市との広域処理を推進するための技術的援助を前提にしています。

その5に続く