沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

中北組合(中城村・北中城村)の不適正な事務処理(その2)※ごみ処理の適正化

2016-06-13 09:25:44 | ごみ処理計画

その2の記事を書く前に、まず、下の画像を確認しておいて下さい。 

原寸大の資料(画像をクリック)

浦添市と中北組合(中城村・北中城村)は廃棄物処理法の基本方針に即して策定されている沖縄県の廃棄物処理計画を上位計画としてごみ処理計画を策定していますが、中北組合(中城村・北中城村)のごみ処理計画は沖縄県廃棄物処理計画と適合していません。したがって、廃棄物処理法の基本方針にも適合していません。

しかし、1市2村は今年度中に広域処理を前提としたインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」を策定しなければなりません。そして、平成30年度には広域施設の整備を前提とした「地域計画」を策定する予定になっています。このため、「行動計画」を策定する前に事務処理を適正化するための計画変更を行い、「地域計画」を策定する前に変更した計画を実施しなければならない状況になっています。

次に、下の画像を確認しておいて下さい。これはその1の記事に使用した1市2村の広域処理に関する資料とごみ処理に関する市町村の適正な事務処理の条件を整理した資料です。  

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【本題】

下の画像は、設備の処分制限期間を経過したときに設備の廃止を行うための適正な事務処理を整理した資料です。

環境省の場合は7年、防衛省の場合は10年で設備の処分制限期間を経過しますが、建物の処分制限期間は30年から50年はあるので、設備の処分制限期間を経過した時に設備を廃止する場合は、建物の目的外使用(転用)に関する財産処分の承認手続が必要になります。しかし、その場合は、建物の整備に利用した補助金(残存価額相当額)を返還しなければなりません。そして、このような事務処理を行った場合は、ごみ処理施設の整備に当って国の補助金を利用することはできないことになります。なぜなら、補助金適正化法に適合する事務処理であっても廃棄物処理法の基本方針を無視した事務処理になるからです。

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下の画像は、上の画像に暫定的な金額を入れて整理した資料です。

説明を分かりやすくするためにごみ処理施設の整備に当って100億円の補助金を利用した場合を想定しました。そして、設備に70億円、建物に30億円利用したという前提にしました。また、設備の処分制限期間を10年、建物の処分制限期間を30年としました。この前提で設備の処分制限期間を経過した時に設備を廃止すると、建物の処分制限期間が経過するまでの20年間は建物を補助目的とは異なる目的で使用(転用)することになります。したがって、設備に対する補助金の返還はゼロになりますが、建物に利用した30億円のうち20年分(20億円)を返還しなければならないことになります。

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下の画像は、市町村が設備の処分制限期間を経過した場合に行う、一般的(常識的)な事務処理を整理した資料です。 

普通の市町村は、常に中長期的なコストの見通しを立てながら事務処理を行っています。したがって、設備の処分制限期間を経過した場合に、いきなり設備を廃止するような事務処理は行いません。なぜなら、そのような事務処理を行うと、ごみ処理施設の更新を行うときに国の補助金を利用することができなくなるからです。このため、ほとんどの市町村が処分制限期間を経過した設備の長寿命化を行っています。そして、設備が老朽化して建物の処分制限期間を経過した時に廃止しています。もちろん、廃止する前に国の補助金を利用して新たなごみ処理施設を整備しています。

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これは、中北組合(中城村・北中城村)が設備の処分制限期間を経過した時に行った事務処理を整理した資料です。

設備の休止については財産処分に該当しませんが、防衛省の財産処分の承認基準においては、設備を1年以上休止する場合は建物の財産処分(転用)に対する承認手続が必要になります。中北組合は防衛省の補助金を利用してごみ処理施設を整備しているので、溶融炉を休止する前に建物(溶融炉のために増築した建物部分)の財産処分(転用)の承認手続を行わなければなりません。しかし、中北組合は財産処分の承認手続を行わずに溶融炉を休止しています。したがって、組合は地方財政法第8条と補助金適正化法第22条に違反する不適正な事務処理を行っていることになります。なお、事故や故障等が原因で修理を行うために溶融炉を1年以上休止する場合は法令違反になりません。しかし、運転経費が高いという理由で休止した場合は期間に関係なく法令違反になります。

 

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下の画像は、溶融炉の廃止や休止に当って包括承認事項が適用される場合を想定して作成した資料です。 

札幌市や仙台市は、15年分以上の最終処分場を整備していたことから、「包括承認事項」の適用を受けて溶融炉を廃止しています。また、まだ最終処分場に余裕のある東京都(23区で構成している一部事務組合)は溶融炉の多くを休止しています。しかし、中北組合は最終処分場を整備していません。そして、焼却灰の処分を民間に外部委託しています。したがって、財産処分を行う地域において同様の社会資源が充足していない状態になるので「包括承認事項」の適用を受けることはできないことになります。

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下の画像は、建物の処分制限期間を経過する前に溶融炉を廃止又は休止する場合の「包括承認事項」に対する考え方を整理した資料です。

このように、溶融炉を廃止又は休止する地域において、溶融炉の需要がある場合、つまり、最終処分場を整備していない場合は代替措置を講じなければ「包括承認事項」は適用されないことになります。したがって、中北組合(中城村・北中城村)は地方財政法第8条及び補助金適正化法第22条に違反する不適正な事務処理を行っていることになります。

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下の画像は、法令に違反して不適正な事務処理を行っている中北組合(中城村・北中城村)が、浦添市との広域処理を推進する場合を想定して作成した資料です。  

この資料は、中北組合(中城村・北中城村)が法令違反を是正せずに、広域処理の推進に必要となる事務処理においても、法令に違反する事務処理を行った場合を想定して作成しています。浦添市が法令違反を無視して事務処理を行っている市町村と広域処理を推進することは100%ありません。したがって、中北組合(中城村・北中城村)がこのような事務処理を行った場合は、広域処理は100%白紙撤回になります。

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下の画像は、あくまでも仮定の資料ですが、中北組合(中城村・北中城村)が上の画像にあるような事務処理を行った場合は、明らかに地方自治法第第2条第14項及び地方財政法第4条第1項の規定に違反する事務処理になります。

中北組合(中城村・北中城村)が平成28年度においても、上の画像にある1つ目と2つ目の法令違反を是正せずに、3つ目と4つ目の法令に適合する事務処理を行わなかった場合は、5つ目と6つ目の法令違反も確定することになります。その場合、2村は住民から40億円以上の自主財源を確保しなければならないことになりますが、このような事務処理は故意又は重大な過失に該当する事務処理になるので、ほぼ間違いなく、村長や担当職員は住民から損害賠償を求められる事態になると思います。

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下の画像は、中北組合の不適正な事務処理を適正化するための唯一の施策(選択肢)を整理した資料です。

このように、中北組合(中城村・北中城村)は上の画像にある2つの施策を決定すれば、浦添市との広域処理を推進することができます。なお、焼却炉の長寿命化については、代替措置を講じて溶融炉を廃止すれば自動的に実施できる施策になるので、組合にとっては代替措置を講じて溶融炉を廃止するかしないかが、運命の別れ道ということになります。

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下の画像は、上の画像にある中北組合(中城村・北中城村)の事務処理を、国の施策と浦添市の予定に合わせて作成した資料です。

市町村が広域処理を推進する場合は国の補助金を利用して広域施設を整備することが大前提になります。そして、平成28年度はインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定期限になっています。したがって、①1市2村は今年度中に広域処理を前提として国の補助金を利用することができる「行動計画」を策定しなければならないことになります。そして、②平成29年度には代替措置を講じて中北組合の溶融炉を廃止して、③平成30年度には国の補助金を利用して中北組合の焼却炉の長寿命化を行い、④広域組合を設立するための「地域計画」を策定しなければならないことになります。

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下の画像は、失礼ながら、1市2村の職員(中北組合の職員を含む)と県の職員、そして国の職員が関係法令の規定を知らないと想定して作成したし資料です。もちろんに、その場合は、1市2村の首長も議会も知らないことになります。

公務員が関係法令を知らずに事務処理を行うことは「重大な過失」に該当することになります。しかし、全員が知らなければ法令に適合する適正な事務処理を行っていることになってしまいます。そして、実際にそのようなことになった場合は、国の長寿命化政策は崩壊することになります。

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下の画像は、国と地方公共団体が法令を遵守して事務処理を行う前提で、中北組合が適正な事務処理を行った場合を想定して作成した資料です。

このブログの管理者は、1市2村による広域組合の設立に当って沖縄県と浦添市と中城村と北中城村が適正な事務処理を行った場合はこのような事務処理になると考えています。

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下の画像は、廃棄物処理法の規定に基づく市町村と都道府県と国の責務を整理した資料です。

中北組合は平成26年3月に県の計画を上位計画としてごみ計画を改正していますが、2年以上も県の計画を無視して事務処理を行っています。そして、県は2年以上も中北組合の不適正な事務処理に対して適正化するための技術的援助を行っていません。また、ごみ処理施設の長寿命化を促す技術的援助も行っていません。その結果、中北組合は国の補助金を利用できない状況になっています。しかし、これらの事務処理は単なる「過失」では済まされない事務処理になるので、県の職員は中北組合に対して積極的に適切な技術的援助を与える必要があると考えます。

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廃棄物処理法の規定は国が市町村に対して直接技術的援助を与えることができるような規定になっていますが、実務上は、①国から県に技術的援助を与えて、②県から市町村に技術的援助を与えるシステムになっています。したがって、県が市町村に対して適切な技術的援助を与えなかった場合は、市町村が不適正な事務処理を行う可能性が高くなります。

下の画像は、中北組合のごみ処理計画の適正化を想定して作成した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

おそらく、中北組合は国内では唯一、ごみ処理施設の整備(長寿命化、更新、新設等)に当って国の補助金を利用する権利を自ら放棄している自治体だと思われます。しかし、国の基本方針や県の計画等を無視して浦添市との広域処理を推進することは絶対にできません。法令違反はそれ以前の問題です。

したがって、県が適切な技術的援助を与えてごみ処理の適正化を図らなければ浦添市との広域処理は間違いなく白紙撤回になると思われます。

最後に、その1で使用した下の画像をもう一度ご覧下さい。なお、一番下の画像は、この記事のために県の廃棄物処理計画から抜粋した資料です。

原寸大の画像(画像をクリック)

   

このブログの管理者は内地からの移住者ですが、沖縄県民なので、沖縄県の職員の皆様には、廃棄物処理法の規定県の廃棄物処理計画に従って、県の計画や廃棄物処理法の基本方針を無視して不適正な事務処理を行っている中北組合とも連携・協力を図りながら諸施策を推進していただきたいと考えています。