おかもろぐ(再)

趣味のブログ

プロコフィエフ:交響曲第2番、第3番

2014-12-28 21:48:05 | CD


セルゲイ・プロコフィエフ:
・交響曲第2番 ニ短調 作品40
・交響曲第3番 ハ短調 作品44

指揮:ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ
フランス国立管弦楽団

ERATO: ECD 75463



 プロコフィエフがパリに住み始めた頃、フランス六人組によるモダンな音楽が流行っておりました。そこでもともと負けず嫌いで野心家のプロコフィエフは、「奴らに劣らぬ『鉄と鋼』でできた音楽を作って一世風靡したる!」と考えて気合を入れて作曲したのがこの交響曲第2番。ところが聴衆の反応はサッパリだったそうです。さて一体どんな曲なのか聴いてみましょう。下の動画はクチャール指揮の第1楽章です。



 ……ああ、こりゃアカンですね。やかましいし、わけがわからんし、それを狙いすぎています。野心が空回りしすぎて痛々しいです。それでいて怒りのエネルギーは恐らく本心なのでしょう。聴いている方はもうシラケてしまいます。実際に動画の3:14からの旋律は小松政夫の「シ~ラケど~り~」のようにも聴こえます。構造もあるのか無いのかよくわかりませんが、あまりにもごちゃごちゃしているので分析するのも日が暮れるでしょう。実際に動画の7:47からの旋律は「ゆ~~や~け~こ~や~け~」と聴こえます。非常にくどくて胸焼けがする第1楽章でした。

 一方、第2楽章(最終楽章)は主題と変奏になっており、冒頭で薄暗い森の中を彷徨うような神秘的な主題が奏でられます。第1変奏は洋物RPGの序盤のBGMのような薄暗い曲想、第2変奏はバルトークのコピー、などのようにクセのある変奏が続き、第6変奏の終盤では第1楽章のような怒りのエネルギーが噴出して聴衆もボーゼン。かと思ったら再び神秘的な主題が現れてケムに巻かれて終わり。この体験は一体何だったのか、という疑問が頭をよぎります。

 もう一曲の交響曲第3番は4楽章構成で、通常のもの、と思ったら大間違い。なんでも、歌劇『炎の天使』を完成させたはいいけれど、上演のめどがたたないため、歌劇の主題を使って作ってしまったのがこの曲。歌劇とは独立した純粋音楽として聴くのが正しい聴き方だそう。交響曲第2番ほどではないけれど、晦渋な路線はある程度続いているようで。



 動画はロジェストヴェンスキー指揮の第1楽章。7:30からは後の作品である『ロメオとジュリエット』のような書き方をした音楽のように感じられます。9:13からはショスタコーヴィチの作品のような軍隊行進曲風の伴奏に乗せて妙にラテン的で大らかな旋律が奏でられるのがなんだか笑ってしまいます。

 残りの楽章もなかなかゴツゴツした耳触りで、中でも第3楽章のショワショワいってる弦楽器が聴きどころ。ただ、全体として音楽の作り込みは他の作品より手が込んでいる感じがします。ひょっとしたら主題をひねり出す手間が少なかった分だけ音楽の加工に手間をかけることができたからなのかな、などと考えてしまいますが。

 第2番と第3番はプロコフィエフの交響曲の中でも最もマイナーな2曲ですが、どちらもパリの不遇の時代に作られており、マイナーな理由もそのあたりにありそうです。けれども、それだけに私はこの2曲を気に入っているのあります。交響曲第1番「古典」とのギャップも面白いし。


クラシックCD紹介のインデックス


最新の画像もっと見る

コメントを投稿