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ミャスコフスキー:交響曲第24番、第25番

2016-05-05 22:58:06 | CD


ニコライ・ミャスコフスキー:
・交響曲第24番 ヘ短調 Op.63 ウラディーミル・デルザノフスキーの思い出に
・交響曲第25番 変ニ長調 Op.69

指揮:ドミトリ・ヤブロンスキー
モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団

NAXOS: 8.555376



 旧ソビエト連邦最大の交響作曲家とも言われるミャスコフスキー、交響曲を27曲も作っています。ソビエト共産党に迎合したということで長い間無視されてきましたが、近年は再評価がされているらしいです。私は現時点で、ミャスコフスキーの作品をこのディスクにある2曲しか聴いたことがなく、この作曲家をとても語れるわけがありません。まあけれども、第一印象として感じたことを述べることはできるかもしれないので、勇み足も恐れず記事を書いてみます。

 ソビエト共産党が芸術の内容にまで口出しして推し進めた「社会主義リアリズム」という芸術運動は、「革命の歴史を具体的に描写し、その(表向きの)主人公である人民を英雄的に描き、体制への不満をそらす」というものでした(後半は私の悪意ある解釈)。この運動に対し、先進性の強いショスタコーヴィチなどは激しく葛藤し、共産党に粛清される直前にまで至りました。一方このミャスコフスキーの場合は比較的うまくやったようです。政治的にというよりは、ミャスコフスキーがもともと持っていた音楽性(明快さ、ドラマ性、歌心など)が社会主義リアリズムと親和性が良かったからという気がします。というのがこの2曲を聴いた印象です。

 交響曲第24番は3楽章構成です。全体として音素材はそれほど多くはないですが、それらが次から次へと繰り返し淀みなく展開して、ある種の説得力を持っていると感じます。素材にはロシア民謡的な「歌えそう」なものが多く、それを半音階的なウネウネした伴奏が取り囲んでいます。ちなみに一部の素材の音型がショスタコーヴィチの交響曲第12番(体制に迎合的な一曲)と似ているように思えるのですが、これは私の考えすぎでしょう。ショスタコの方が随分と後の作品ですが。

 私が好きなのは3楽章です。特に気に入っているのが、トロンボーンとテューバによるコラールで、単純な旋律ながら半音階を駆使した複雑なハーモニーが現代的です。その後も主題の展開を次々に繰り出して、最後は非常に穏やかに終わります。下の動画はスヴェトラーノフ指揮の第3楽章で、2:31からがコラール。



 交響曲第25番も同様に3楽章構成。全体としてなんとなく24番と同じような雰囲気ではありますが、チャイコフスキーのような書法もあったり、第3楽章がアツかったりで、こちらを好む人の方が多いかもしれません。

 というわけで、社会主義体制の国家がなくなりつつある現在になってようやく純粋に音楽として評価され始めたミャスコフスキーの作品ですが、交響曲第24番と第25番に関して言えば、歌えそうな旋律を明快に展開させながら、ロマン主義的なニュアンスある曲に仕上がっていると感じました。2曲とも30分ちょっとであり、大作と言えるようなスケール感はないかもしれませんが、演奏会の中プロあたりで演ってみたい曲でした(その代わりメイン曲は軽めの組曲か何かで)。

 ミャスコフスキーには多くの弟子がいたようです。そして孫弟子にはシュニトケもいます。このディスクの2曲のように平易さと複雑さとドラマ性とその他様々な要素を包括しているミャスコフスキーの音楽が、シュニトケらの多様式主義の源流の一つであるとしても不思議ではありません。

 最後にどうでもいい話ですが、ミャスコフスキーの誕生日は4月20日で、それは私の誕生日でもあります。変なところで親近感が湧いてきたので、他の作品をいろいろと聴きたくなりました。

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