アール・タイプ ファイナル(プレイステーション2)
2008年10月23日掲載
関連記事:クリアメモ
前編 後編
----------------------------------------------------------------
以前にプレステ2のメモリーカードが故障したことがある。その時の最大の損失が「アール・タイプ ファイナル」のデータであった……。
発売日に本作を購入して以来、メールで実家にいる兄と攻略法を教えあった。ゲーム全般的な腕前は私のほうがいくらか上だが、兄には一点集中的な冴えがある。そうやってお互いを補ってプレイを楽しんでいた。
クリアも安定し、スコア稼ぎを狙い始め、メーカーのホームページで開催されていたハイスコアのインターネットランキングに応募してみた。大したスコアではなかったが、誰でも名前が載りそうだったので、シャレのつもりであった。すると兄が食いついてきて、共に応募するようになった。
用いた機体や応募項目が異なるために兄と私のスコアを直接比較することはできないが、お互いのスコアを意識して記録を伸ばしていった。ランキングの更新のたびに健闘を称えあった。
実のところ、世間ではこのランキングはあまり盛り上がらなかった。無敵技が発覚してプレイヤーが白けたこと(ランキングには登録されないが)と、改造ツールや怪しげな裏技のためにランキングそのものに疑いが残ったことが理由として挙げられる。だがそんなことは、自分自身に挑戦する我々兄弟には全く関係が無かった。
ランキングとは言っても、機体も101種類から選べるために始めから公平な競い合いではなく、プレイスタイルのネタ披露という意味合いが強かったのかもしれない。だからこそ余裕を持って個人の好きなように楽しむことができたとも言える。
ちなみに、機体を101種類から選べるとなると、当然強いものや弱いものが出てくるし、弱い機体でもクリアできるようなゲームバランスが設定される。アールタイプシリーズの中では、本作の難易度は低いほうだ。
多数の機体の装備を使っているうちに、「このレーザーとあっちの波動砲が使える機体があればいいのに」と誰もが夢見るだろう。そして最後になって万能の「究極互換機」が出現したときに、その夢が現実化する。なかなかプレイヤーをくすぐるのがうまい。いろいろとサービス精神が旺盛な作品で、インターネットランキングもその一環だったのだろう。我々兄弟も見事にくすぐられてしまったのだ。
ランキングの最終集計後、兄のところにメーカーから参加賞としてステッカーが届いたそうだ。私は抽選ではずれたらしい。残念! 私はその後も楽しみ続け、全101機体のクリア(ノーコンティニュー、通常難易度、ステージF-Aエンド)を達成し、さらに多様なプレイを目指していたのであった。
……当時兄弟でそこまで盛り上がってプレイした本作のデータがメモリーカードから消えたときは本当にショックだった。3人目の兄弟が記憶喪失になったような感覚があった。
唯一の救いは、兄や全国のライバル達と戦ったときの私のスコアがメーカーのランキングページ上にまだ残っていることだ。それで十分じゃないか。それなのに、データ復活の可能性にすがって、私は壊れたメモリーカードをいまだに手元に残しているのである。