ラストリゾート(ネオジオ)
2008年5月13日掲載
年の初めに「ラストリゾート」
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うちのネオジオが死んだ。
それが2007年の11月ですが、その4日後には新たなネオジオを調達しました。でも、これもまたいつ死ぬかわかりません。Wiiのバーチャルコンソールのように、最新機種で古いゲーム機をエミュレートする技術はゲームの歴史を積み重ねるために不可欠でしょう。
その一方で、ゲームソフトが、ダウンロード可能な単なるデータの集合となってしまうことに寂しさも感じます。先に進めなかったら消せばいい、一度エンディングを見たら消せばいい。しょせんゲームのことだからそれでも結構なのですが、どこか「希薄なゲーム体験だなぁ」と感じてしまうのです。
さて、「希薄」の反対は「濃厚」です。濃厚なゲームならネオジオ初期のものがいいですよ。この「ラストリゾート」もオススメです。南国のリゾート地のようなのどかなゲームではありません。ラストリゾートとは「最後の手段」という厳しめの意味です。本作は横スクロールシューティングで、いわゆる「R系」です。
一般的にマニアックとされるR系シューティングの特徴として、暗い世界設定、緻密なグラフィック、パズル的なゲーム性、特殊装備を使いこなす操作感覚、等が挙げられます。全体的にやっぱり厳しい雰囲気です。本作はいずれの特徴にも該当しますが、その割にはプレイしやすくなっています。
本作での無敵の特殊装備は「ユニット」と呼ばれ、その自転と公転をコントロールして敵の攻撃に対応するのが面白いところです。溜め撃ち操作でユニットを撃ち出すこともできます。ユニットにはグランド、リターンの二種類あり、グランドユニットの使い勝手が良好です。このほかにレーザー、ホーミングミサイル、対地ミサイルの武器が選択できますが、基本的に対地ミサイル、要所でホーミングミサイルを取るのがいいでしょう。
無敵の特殊装備を盾にしつつ硬い敵に接近してゼロ距離射撃、というのがR系シューティングによくあるプレイスタイルです。攻防一体となっている「紙一重」のプレイが要求されます。ところが本作は密着プレイの必要は無く、攻めと守りの局面がはっきりしていて、「今すべきこと」が明確に理解できるのです。この意外なわかりやすさが魅力で、実際以上に難易度が低く感じられます。緻密なようで実はアバウトで、誰もが使いこなせる特殊装備なのです。
このように、ゲームのルールやコンセプトを把握して思うままのプレイを展開し、時にはそれらを超越したプレイを編み出すのが「濃厚なゲーム体験」と言えるでしょう。そんなことを考えていると、ゲームがダウンロードファイルで供給されることは何ら気にすることではなくなってきました。ゲームはROMの中にあるのではなく、プレイの中にあるのですから。
ゲームの側にも、濃厚なプレイができるだけの懐の深さが欲しいですね。そして、初期ネオジオの多くのゲームになんとなく感じたアバウトさが、実は懐の深さでもあったような気がするのです。今にして思えば価値ある体験でした。
うちのネオジオが死んでも、私のネオジオ体験は死にません。